上 下
89 / 179

第89話 ポイズンリザード

しおりを挟む
 トカゲの楽園の7階層。
 出てきたのは紫色の液体を吐くトカゲ。

【今度こそおっさんの息の根を止めるんだ】
【なんてモンスター?】
【ポイズンリザードだな】

「何だ毒かよ」

 毒は対処済みだ。
 でも弱い毒だと加護による回復が発動しないかも。

弥衣やえ、気をつけろよ。いま盾を出す」

【おっさんは盾なしか】
【毒喰らって苦しめば良い】
【いいかげん。誘拐した人たちを解放しろ】
【まるで一つ覚えだな】
【まったく違うことを言えないのか】
【妻を返せ】
【はいはい、DV夫ね】

 DVの駆け込み寺は好調だ。
 衣食住に掛かる金はある時払いの催促なしだからな。
 離婚調停に掛かるお金も俺が立て替えている。
 離婚が成立したら、ダンジョンで働きたい人は働けば良いと言ってある。

 おっと毒が掛った。

【毒が効かないってGよりしぶといな】
【人妻誘拐野郎、氏ね】
【お前が誘拐した人は重病人なんだぞ。働けるわけないんだ】
【くそっ、裁判所から離婚調停の通知がきた。きっと騙されているんだ】
【こいつらなんで自分の都合しか考えないのかね】
【犯罪者を擁護する奴も同罪だ】

 はいはい、キャメルクラッチ、ボキっとな。
 キャメルクラッチしていると毒を浴びせまくられる。
 もう体はベトベトだ。

【こいつなんなん】
【この毒って浴びたら死ぬってホームページに書いてあるのに】
【それがおっさんクオリティ】
【もう諦めろよ。遺産も手にできないし、DV夫の元に嫁は戻らない】
【俺は最後まで戦うぞ】
【くそっ、遺言書のコピーが送られて来た。お前には一銭もやらんだと、こんな遺言書は破り捨ててやる】
【離婚調停がなんだ。ごねまくってやる】
【くそう、傷害罪で告訴すると言ってきた】
【DV男ならそうなるわな。おっさんが裁判費用持つと言っているし】
【氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね】
【発狂者多数】
【なんだかちょっとメシウマになってきた】
【おう、おっさん頑張れ】

 応援ありがとよ。
 キャメルクラッチ、ボキっとな。

「ところでポイズンリザードの死骸って売れるの?」

【売れるぞ。毒が薬の材料になる】
【肉は食えるけど、ふぐを捌くときみたいに注意が必要】
【尻尾なら関係ないんじゃね】
【まあな】
【ここに集まるおっさん信者氏ね】
【もうモンスターには期待しない。おっさんを殺してやる】
【はい、ひとり告訴】
【馬鹿な奴だ。殺害予告は訴えられるのに】
【妻と会わせろ】
【監禁してる人間と面会させろ。話せば分かってくれるはずなんだ】
【警察は何してる。何で俺達が逆に訴えられる】
【妻をどこに隠している。場所を吐け】

 キャメルクラッチ、ボキっとな。
 攻略はサクサク進んだ。
 毒さえ掛からなければ、ボウガンでも仕留められる相手だからな。

 ボス部屋に到着。

「ボスはどんな奴?」

【デッドリィポイズンリザード。おっさんなら容易いはず】

 さっそく毒を盛大に吐かれたが構わず馬乗り、キャメルクラッチ、ボキっとな。
 あっさりと終わった。

 ダンジョンから出るとマスコミがいた。

「ひとこと、警察からは何か言ってきましたか」
「ぜんぜん」
「家族を返すつもりは?」
「ないっていうか、嫌なら自分の判断で帰れば良い」
「監禁を認めたそうですが、そのことは?」
「札束と健康の檻で監禁してる。檻から出たければ破りゃいい」

「モンスター素材の不買運動に関しては?」
「俺はモンスター素材が毒なのか薬なのか全く分からない。そういうのを調べるのは偉い研究者さんがやれば良い。そして役に立つって研究者さんがいうのなら、その人が責任を持つべきだ。俺は欲しいというから売っているに過ぎない。要らなきゃ買わなければ良いんだ」
「警察から出頭要請があれば応じますか?」
「応じるよ。いいか言っておく。人の幸せを壊すような奴は、訴える隙があればこっちから告訴してやる。震えて眠れ」

 俺は背中を向けた。

「もう一言」

 俺は振り返った。

「訴えるのはマスコミもだ。無責任な発言は許さない。じゃあな」

 弁護士事務所は大忙しだな。
 キャパシティオーバーにならないのかと思ったら、仕事が多過ぎると他所の事務所に回しているらしい。
 横のつながりもあるようだ。
 過労死がでないみたいでほっとした。

 しかし、DV夫を傷害罪で訴えることのなんと多いことか。
 民事と刑事、両方で訴えているから刑事が不起訴になっても大丈夫だ。

 証拠集めもばっちりだ。
 そういう奴は訴えられるとか考えてないから、隙がある。
 痣とかを診察した医者の診断書をつければほとんど1発だ。
 そういうのが無くても友人の証言とかでもいける。
 複数の人間が知っている場合がほとんどだからな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう

なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。 だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。 バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。 ※他サイトでも掲載しています

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう

果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。 名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。 日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。 ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。 この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。 しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて―― しかも、その一部始終は生放送されていて――!? 《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》 《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》 SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!? 暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する! ※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。 ※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。

処理中です...