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第86話 訴訟

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 トカゲの楽園の4階層。
 出てきたのは何だろな。
 見た目で分かるけどなんと言ったらいいか。
 トカゲが2足歩行して走ってる。

「あれ何」

【ランナーリザード】
【噛みつきが主な攻撃。走って来て飛び掛かる】

「めっちゃ弱そう」

 走って突っ込んだランナーリザードを鉄パイプでミンチ。
 肉取るならホームランぐらいにしとかないと。

 突っ込んでくる奴をリズミカルに叩く。
 なんかこんなゲームがあったよな。

【訴えてやったぞ。ざまぁみろ】
【訴えても仕方ないのに。おっさんの裁判での勝率は100%だぞ】
【それが生き甲斐なんだろ。生暖かく見守ってやれよ】
【なんでおっさん負けないの】
【ノアフォロは末期癌患者の集まりだぞ。寄生されると治るかもと一縷の望みを託して、おっさんを神と崇めている。ただそれだけ】
【ノアフォロメンバーですが、欲深い親戚は○ねば良い】
【粘る親戚、ワラタ】
【腐った食品みたいだな】
【お前らも訴えてやる】
【こんなんで名誉棄損されないだろ】

「お前ら訴えられたら俺の所にこい裁判費用持ってやる」

【その時はお世話になるよ】
【コメント見ながらの討伐、相変わらず余裕だ】

 弥衣やえ達も参戦し始めた。
 一直線に突っ込んで来るからボウガンが当たり易いのだろう。
 シロガネは機敏に首をひと噛み。

 こんなのは敵じゃないな。
 ずんずんと攻略は進んでいく。

【今回のアンチは数が少ないな】
【ノアフォロの親戚で、入っているのに反対してる奴は少ないと思われ】
【だよな。病院にも通っているし、ダンジョンの仕事もしてる】
【ノアフォロは解散すべき。即刻、信者を家に返せ】
【お前達はノアフォロの何を知っている。みんなおっさんに騙されている】
【だってノアフォロのホームページみると会費無料と書いてあるし、これが嘘なら訴えられるだろ。ここで文句を言うなら訴えろよ】
【だよな。気に入らなければ真実を調べて、警察でもどこにでも行けばいい】
【俺は妻を誘拐された】
【なら、警察に被害届を出せよ】
【出したさ。警察は本人に確認したが、帰らないと言っていると。きっと洗脳されているんだ】
【こいつ、DV男です。信じたらいけません】
【DVはいかん】
【早く離婚調停して、接近禁止令を出してもらうんだな】
【お前なのか?】

 あの胸倉男と、佐代子さよこさんが、書き込んだようだ。
 たぶんだけど。

「駆け込み寺になってやるよ。DVに苦しんでる人は気兼ねなく来てくれ。費用が掛かったらある時払いの催促無しだ」

【おっさん優しいな】
【ダンジョン労働が待っている】
【ダンジョン労働者です。毎日1時間の勤務で今月の給料300万を超えるぜ】
【くそう羨ましい】
【寄生スキルがなきゃな】
【裏切ったりしなきゃ問題ない】

「行き詰っている奴しか救わん」

【くっ、幸せな境遇が恨めしい】
【幸せなら良いじゃないか】

 おっと、もうボス部屋だ。
 ボスは足が4本の腕が2本の、こりゃなんだ。

【ケンタウロスリザードだな】
【強そうに見えない】
【機動力はある。攻撃が噛みつきだけなのは弱いけどな】

 俺かケンタウロスリザードに近づいたところ、噛みつきに来たので鉄パイプ一閃。
 下顎がなくなった。
 止めとばかりに脳天をかち割る。

【蛮族だな】
【おっさんなら仕方ない】
【おつかれ】
【おつやつれ】
【舌を噛みそうだ。おつカーレ】
【おつしゃれ】
【段々とネタがなくなってきたな。おんしゃれい】
【ぜんぜん違う。おしか合ってない。お、どつかれ】
【どつかれてどうする。お、ケツカセ】
【フランス語かよ】
【そろそろこれ辞めないか】
【だな】

 ダンジョンから出ると報道陣が待ち構えてた。

「誘拐で訴えられたそうですが、何かコメントを」
「ノアフォロは言わば俺のファンクラブ。俺は運営に一切タッチしてない。当たるなら他を当たれ。ただ裁判になったら俺は逃げも隠れもせずに戦う」
「自信がおありなようですね」
「逮捕しに来るなら来たらいい。俺は逃げない」
「あくまで誘拐の事実は認めないということですか?」
「ファンクラブが何をしても俺には関係ない。始末ならファンクラブ達でつけろ」

 そう言ってその場を去った。
 ノアフォロならダンジョンで元気に働いてやっているじゃないか。
 あれのどこが誘拐なんだ。
 理解に苦しむ。

 どうやら報道陣は俺を誘拐犯にしたいようだ。
 ここで炎上しそうなことを配信するか。

「俺は札束と健康の檻で誘拐監禁してる。文句があったら掛かって来い」

【俺も札束で監禁されたい】
【誘拐監禁をついに認めたな】
【日本語を知らないのか。札束と健康で誘拐監禁してると言ってるだろ。誘拐監禁といういうより勧誘に近い】

 家に帰ると誘拐監禁している、文句があったら掛かって来いという所だけ切り取られ動画が拡散していた。
 思った通りだ。
 飛んで火にいるなんちゃらだ

 返り討ちにする時が待ち遠しい。
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