貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太

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第69話 ダークゾーン

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 8階層は、ダークゾーン。
 懐中電灯の光を頼りに進む。
 これでは物陰にいる敵の接近に気づかない。

【今度こそ死んだな】
【ヤエちゃんに被害が出ないことを祈る】
【くそ、ビッチ女などどうでもいい】
【それにしても、おっさん逮捕されないな】
【傷害罪か暴行罪じゃないのか。警察は何してる】

「金と弁護士をと言ったのを忘れたか」

【いや、警察は金積んでも事件をもみ消せたりしない】
【民事と刑事は違う。そして、親告罪もあるけど、傷害罪と暴行罪は違う。事実さえあれば捜査は進むはずだ】
【じゃあなんで逮捕されない?】
【CMだと制止したが聞かなかったので叩いたとなっているな】
【あのままダンジョンにいたら怪我をしていることは明白だから、それを加味して不起訴になったんじゃね】
【おっさんの味方するのか】
【事実を言っている。CMのアニメが本当ならな】

 殴ったことは事実だから、裁判になったら事実を話す。
 だがこいつらに言われる事でもない。

「俺は逃げも隠れもしない。堂々と悪事を働く。子供が心的外傷で家から出られないのなら金で外に出して、心を満たす」

【心的外傷が金で治るかぁ!】
【治らんな】
【でも親は黙るかもな】
【ニートが生まれるわけか。極悪人だな。人ひとりの人生を滅茶苦茶にしておいて、反省の色がない】

「がぁ」

 くそっ、攻撃を受けて、懐中電灯が破壊された。
 受けた方向に鉄パイプを振るうが、レンガの壁が崩れた音がしただけだ。

「撤退だ」
「任せて。ロープがあるから帰り道は分かるわ」

 弥衣やえ、ナイス。

 ロープを掴んでそれを頼りに道を戻る。

「にゃ、端までついたけど、出口がないにゃ」
「やられた。ロープが切られている」
「くっ、みんな固まれ」

 どうにか4人で陣を組んだ。

【暗闇だから状況がわからん。ナレーションしろよ】
【くくくっ、このダンジョンを舐めているからだ。ここを突破した奴はほとんどいない】
【突破した奴はどうやったんだ?】
【教えたらおっさんが助かるだろう】

 今はスマホのライトが頼りだ。

「光魔法を使ったらしいわ。懐中電灯などは壊されるみたい」

 弥衣やえがヒントをくれた。
 スマホで検索掛けたのか。
 短い時間なのにやるな。

【あーあ、お前がヒント言うから、ヤエちゃんが気づいてしまった】
【光魔法使うと術者が最優先で狙われるらしい】
【今度こそ。おっさん死んだな】

「光魔法、ペカーっとな」

【いきなり昼になった。おっさんの光魔法凄いな】
【寄生しているからな。この寄生虫野郎が】
【光魔法って使えない魔法代名詞なのにな】
【コボルトとケットシーで持っている奴はどれぐらい?】

「500人は超えるにゃ」
「何でそんなに多い?」
「無いと不便にゃ。異世界ではみんな持っているにゃ」
「必要は発明の母だったな」

【電気がないのか異世界は?】
【無理言うなよ】

 黒い装束を着たゴブリンが壁の陰にチラッと見えた。
 俺は壁ごとゴブリンを破壊。

「このゴキブリ野郎が。こそこそしやがって」

【その言葉はブーメラン】
【くっ、ここも突破されてしまうのか】

 見えりゃゴブリンなんかわけない。
 簡単にボス部屋に入った。
 ボス部屋は暗闇で何も見えない。
 どういう仕組みか分からないが光を吸収されている。
 完全なダークゾーンだ。

 風を感じろ。
 俺は皮膚の感覚を鋭くした。
 動く物が脳内に見えた。
 手でそれを掴んだ。

 服の感触とゴブリンの匂い。
 俺はそれを鉄パイプで滅多打ちした。
 突然、ダークゾーンが消えた。
 ダークゾーンはボスの能力だったらしい。

【悲報、ボス突破される】
【やはりゴブリン程度では駄目か】

 強敵だった。
 今日の討伐は終りだな。

 ダンジョンを出てメールをチェックすると、俊介しゅんすけ君からメールが来てた。

 【私立学校に転校したよ。学校楽しい】とあった。
 【そうか良かったな】と返事を送る。
 【コボルトとケットシーの学校でも遊んでる。フットサルでシュートを決めたんだ】とすぐに返事が。
 【どうだ世界は楽しいだろ】と送った。
 【うん】と返事が

 弁護士からもメールが来ている。
 俊介しゅんすけ君を虐めてた相手を、心理的外傷ストレスを与えたということで、民事刑事ともに訴えたとあった。
 そう言えば相手の小学生のことを知らないな。
 弁護士に調べてくれと頼むと、すぐにまとめられたものが送られてきた。
 赤羽あかばねおさむ君の両親の仲は悪く喧嘩が絶えない。
 離婚間近とある。
 こいつもストレスを抱えているんだな。

 だが、やったことの責任は取ってもらう。
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