貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太

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第62話 ゴブリンのゴミ捨て場

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 他のダンジョンにコボルトとケットシーが囚われているなら助け出さないと。
 俺達はFランクダンジョン、ゴブリンのゴミ捨て場に来ていた。
 ザコゴブリン程度、ボウガンの敵じゃない。
 ミスリルメッキの矢さえ要らない。

 1階層は洞窟だ。
 ゴブリンの体に合わせて作られているので狭い。
 俺だと天井に頭がつきそうだ。

【始まったね】
【よりによってゴブリンのゴミ捨て場とはオーバーキル過ぎる】

 ボウガンの矢を放つとゴブリンが一斉に群がってきた。
 弥衣やえ達は浸透撃で迎え撃った。

【おっさん、安定の監督】
【監督がいるから選手は働けるんだぞ】

弥衣やえ達にもモンスターを狩らせないと今後きつい場面が出てくると思う」

【むっ、おっさんがまともなことを言っている。雨が降らなきゃ良いが】
【やべっ、傘持ってない】
【サブキャラの育成は大事。メインキャラだけではしんどいこともある】

「ゴブリンの死骸は捨てていこう。どうせ大した金にはならない」
すぐる、それは驕りよ。初心を忘れたらだめ」
「はい、弥衣やえ先生」

【1円を笑う者は1円に泣くだな】
【勿体ないの精神は大事】
【そんなことだから貧乏なんだよ】
【金持ちの実態を知らないな。やつら使う所は使うけど、節約する所はめっちゃ締めているぞ】
【でもゴブリンはしょっぱい。1匹100円いかないと思われる】
【その分弱くて、数が多い】


 俺は死骸をアイテム袋に入れる係に徹した。

「それそろ進もう」

【おっ先に進むのか】
【このダンジョンはゴブリンしか出て来ないから初心者向けと思われそうだが、死亡率は高い】
【そうなん】
【一度に5匹とやると隙が出来て反撃を食らう】
【なる】
【稼げない、しんどい、危険の三点盛りだよ】

 弥衣やえ達は順調に進んでる。
 まだ酸の水鉄砲も蜘蛛毒も使われていない。

【3人はCランクぐらいの実力はあるな】
【うんうん、意外とやる】
【ヤエちゃん、恰好いい】
【キナコもモチも頑張れ】
【シロガネはお留守番なんだな】

「シロガネクラスのモンスターをダンジョンの外に出す許可が下りない」

【フェンリルだものな】
【初めて知った】
【モチが言っていたからな】
【それにしても3人は強いな。危なげがない】

 危なげない、それは俺も思ってた。

「おっと広間がある。こういうのはたいてい強敵がいるもんだ」

 弥衣やえが先頭で広間に踏み込んだ。
 むわっとくる臭い匂い。
 そこにはゴブリンがうじゃうじゃいた。

「貫通矢セット」
「はいですわん」
「オッケーにゃ」

「発射」

 アシッドの酸を付けた貫通する矢がゴブリンの一団を貫く。

【密集しているところに貫通矢はえぐい】
【モンスターハウス対策のテクニックのひとつ】
【それゲームだから】
【そもそも貫通スキルでもこの数は貫通しない】

「再射」

 ゴブリンは態勢を立て直せないように見えた。
 ほどなくして半数以上のゴブリンが死んだ。
 後は掃討戦だ。
 危なげなく討伐が進む。

【なんとなく無双感が漂う】
【おっさんより強いんじゃないかとの錯覚さえ覚える】
【おっさんなら連撃ひとつで、瞬く間に殺してた】

 アイテム袋に死骸を入れるのが忙しい。

【監督というよりゴミ拾い】
【指示とかしてないものな】

 もう、ボス部屋か。
 入ると、剣を持ったゴブリンだった。
 ゴブリンファイターね。
 そんなの瞬く間にボウガンの矢でハリネズミだ。

「ポータルに触ったら、今日は終りにしよう。お疲れ」
「お疲れ」
「ですわん」
「お疲れにゃ」

【お疲れ】
【お疲れ様】

「反省会だ。うん、ゴブリン相手にするには手数が足りてないな」
「ボウガンの装填が遅いのは仕方ないよ」
「機関銃はないのですわん」
「にゃは乱舞系の技が欲しいにゃ」

【とにかくゴブリンは数が多いからな】
【おっさんがまともだ】

「俺ならぶっ叩きまくるけどな」
すぐるみたいにはできないって」

【おっさんの連撃は真似できない】
【あれ、1分間に30回ぐらいしか叩いてなかったんじゃなかったか】
【情報が古い。1分間に1000回以上は叩いてる】

「ボウガンでマシンガン作ろう」

【えっ、予想外の答え】
【素直に銃火器の使用申請しろよ】
【あれってAランク以上じゃないと駄目で、Aランクだと殴ったほうが威力が高いという駄目制度】
【じゃあボウガンは良いのかもな】

 俺は武器工房にボウガンのマシンガンを依頼した。
 驚いたことに作れるらしい。
 ボウガンが大きくはなるが、可能とのこと。
 だよね。
 ロボットが作れるんだから、連射できるボウガンぐらい作れるよね。
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