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第60話 ダンジョン制覇

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 ドラスレは盾を並べてボスと対峙している。
 防御の構えだな。
 耐えているだけのように見える。

「来てくれたのね。すぐる、若くなったわね」

 そう言ってほほ笑んだのは留美るみ
 たがその姿は無残な物だ。
 刃物で斬られたような跡が無数にある。

「まあな」

 ボスはと見ると3メートルはある巨大な女性。
 だが体は透き通り、まるで氷女だ。

 氷女が大きく息を吸った。

「来るわ。盾の陰に隠れて」
弥衣やえ達は隠れてろ」
「はい」

 俺はどんな攻撃が来てもいいように鉄パイプを構えた。
 氷女が氷の刃物を吐く。
 それはまるで吹雪のようだった。

 切り刻まれて堪るかよ。
 俺は鉄パイプで何度も薙ぎ払った。
 吹雪は俺の所で割れた。
 まるでバリアでもあるように。

 くっ、魔鉄パイプが持たないか。
 魔鉄パイプが削られていくのが分かった。
 片手で薙ぎ払い、片手でスペアを出して、持ち替えた。

 吹雪が止んだので、氷女の所に駆け寄り呪いを込めた一閃。
 氷女にひびが入った。
 だが、ひびはすぐに塞がる。
 連打するまでよ。

 俺はそうやってやってきた。
 氷女が砕かれ削られていく。
 ついに氷女は全てバラバラに砕けた。
 強くもなかったな。
 これならアイアンクロウのほうが強敵だった。

【ダイヤジャイアントだよな】
【うん。SSSランクの】
【一撃とはいかないが連打で押し切るんだものな】
【凄かった】
【ダイヤ吹雪を捌いたところなんか圧巻だった】

 留美るみが足を引きずりながら寄って来る。
 俺はポーションを出すと留美るみに向かって投げてやった。
 他のドラスレメンバーも似たような感じだったのでポーションを投げる。

「はははっ、ざまぁ、追放したメンバーに助けられるってどんな気分」

 そう言って俺はウインクした。

「最悪よ。死にたいぐらい愛してる」
「駄目よ。すぐるは渡さない。この泥棒猫」

【あそこに私も混ざりたい】
【おっさん、もてるな】
【羨ましい】

「はははっ、今回は死ぬと思ったぜ」

 ドラスレリーダーの宮原みやはら

「盾は頑丈なんだな。なんで出来ている?」
「アダマンタイトだ。盾ひとつで5億円だ」
「鉄パイプなら1000万もあれば足りるか。こんど作ってもらおう」

 弥衣やえ留美るみは言い争っている。
 でもなんか楽しそうだ。

「リーダー、宝箱の中にエリクサーがあったぜ」

【稼ぎ1億なり】

 ドラスレの与野よのがそう言って虹色に光るポーションを掲げた。
 エリクサーなら使ってやりたい奴がいる。

「今回の謝礼にエリクサーを貰って行くが文句はないな」

【まあ、順当な報酬だよな。ドラスレは形無しだったし】
【ダイヤジャイアント討伐依頼っていうと1億円はかたいよな】

 誰からも文句は出ない。
 でたらお金を払って譲ってもらったところだ。
 エリクサーはお金で手に入るが、あの二人には出るまで頑張れと言ったからな。
 出てしまった以上使ってやらにゃなるまい。

「見て、ダンジョンコアよ」

 留美るみがボス部屋奥の扉を開けて喜びの声で言った。
 弥衣やえも一緒にそれを観察している。

【ダンジョンコア初めて見た】
【ダンジョンコアってどんな能力】
【魔力を注ぐと品物を生み出せる】
【創造魔道具ってわけか】
【効率は悪いけどな。エリクサー生み出すには1万人ぐらいの魔力が要る】

 ふーん、そうなのか。
 俺はダンジョンコアに手を掛けて台座からもぎ取った。
 このダンジョンは死んだのだな。

 宮原みやはらにダンジョンコアを手渡す。

「いいのか?」
「俺には要らない物だ」

「あれっ更に奥がある」

 弥衣やえが隠し扉を見つけたみたいだ。
 開けると、光る目が何対も。
 よく見たらコボルトとケットシーじゃないか。

「$%&#」

 言葉が分からない。

「キナコとモチ、来てくれ」
「はいですわん」
「ですにゃ」

「$%&#」
「&%#$&%$」

 キナコが彼らと知らない言語で会話し始めた。

「ダンジョンコアに魔力を注いで、必要な品物を出していたらしいにゃ」
「なるほどね。そうやって生活してたのか」

「寄生スキルを使ってもいいそうにゃ」

 俺は彼らに寄生スキルを使った。
 そして地上まで先導。
 ダンジョンから出るとテレビ局が来ている。

 ドラスレのメンバーがフラッシュを浴びている。
 ダンジョンコアが掲げられるとどよめきが起こった。

【Aランクダンジョンのコアだと100億でも買えない】
【創造魔道具だからね。Fランクのコアでも10億で買えない】

 惜しくはないよ。
 あんなのだったら何時でも取れる。
 それより俺って強いんだな。
 うちのダンジョンにいるといまいち実感がない。
 ランクアップ試験でも受けてみるか。
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