貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太

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第56話 泉

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 第3階層の探索を再開する。

【待ってた】
【ワクワク、どんな敵が現れるのか】

 トレントを倒しながら、森を進むと開けた所に出た。
 綺麗な澄んだ泉が湧いている。
 いくら俺でも、いきなり飲むようなことはしない。
 水を採取して今日の探索を終わった。

【もう終わり】
【トレントはもういいよ。別なのが見たい】
【無茶言うなよ】

 買取場で水を出す。

「この水を分析すれば良いんだな。ちょっと待て」

 待たされている間に解体の様子を見学する。
 アイアンオークの皮が綺麗にはがされたりする。
 アイアンウルフはいない。
 狩らないように通達を出しているからな。

「出たぞ。ミネラルとしてミスリルが含まれている。効能はお肌ツルツルすべすべだ」
「確かめたのか?」
「女性職員がな。100ミリリットル10万円の値段がついた」

【あの泉にそんな効能が】
【おっさんのダンジョンで普通の物など無い】
【猿とトレントはあの泉の水を飲んでいるのだろうか】

「病原菌は?」
「強烈な殺菌作用があるから心配要らないぞ。ちなみに飲んでも平気だ」

 残りは弥衣やえに進呈しよう。
 泉の水を使った弥衣やえは5割増し美人になった。

 俺は自慢したくて、高性能のカメラで弥衣やえを配信した。
 チャンネル登録者が爆発的に増えたとだけ言っておこう。

 コボルトとケットシーの支援団体から、1万人分の署名が届いた。
 彼らに感謝だ。

 ノワフォロの方も順調に署名を集めている。
 わらび権蔵ごんぞう議員からも10万人を超える署名が送られて来た。
 政治家のネームバリューと人脈は凄いな。

 目下の仕事は水汲みだ。
 あの泉がなんで肌にいいのかと言えば、ミスリルの同位体元素が含まれていて、これが肌を回復させるらしい。
 同位体元素、なんのこっちゃ。

 泉に着くと弥衣やえが水浴びしたいなどと言い始めた。

「えっとその水を化粧水に使っても良いの?」

【水浴び見たい】
【俺も】

「駄目だ」
「駄目なの。泉の外で洗面器を使って水を被るだけだけど」
「いや駄目なのは配信。泉の外で水を被るだけなら、許可しよう。配信は絶対にしないぞ」

【酷い】
【そうだ、そうだ】
【横暴だ】

「俺は悪党だからな」

【くそっ】
【血の涙を流せる自信がある】
【おっさんのダンジョンに凸しようぜ】

 弥衣やえが脱ぎ始めた。
 衣擦れの音が静まり返った森に聞こえる。
 もちろん俺達は後ろを向いた。
 見張りはシロガネだ。

「もういいよ」
「はへっ」

 振り返ったら肌色が見えたので、手で視界を隠した。
 指の隙間から、水着を着て水浴びしている弥衣やえが見える。

 何だ水着じゃないか。
 びっくりさせやがって。

【ヤエちゃんの水着姿いい】
【眼福】
【ものすごく髪とかがキラキラしている】
【肌も透き通るような感じだ】

 そうだな。
 全身エステ以上の効果があるのは間違いない。

 全身、泉の水に浸った弥衣やえはそりゃ美しかった。
 思わず絶句した。
 美の女神が現れたようだ。
 泉の水はヴィーナスウォーターと名付けよう。
 そしてこの泉はヴィーナスの泉だ。

「後ろ向いて」

 弥衣やえは水着から着替えるらしい。
 ハプニングは起こった。
 着替えの最中にアイアントレントが来たのだ。

 俺は慌てない。
 同調スキル発動。
 シロガネの目を通してアイアントレントを見た。
 そして、ボウガンを背中越しに撃つ。
 ボウガンの矢はアイアントレントの額を貫いた。
 シロガネの視線が弥衣やえに。
 もろに見てしまった。
 済まぬ。

 俺は同調を慌てて切った。

「あなたになら見られても平気だから」

 ばれてるよ。

「そうだな見飽きてるし」

 照れ隠しに嘘を言った。

【俺は見えなかった】
【やり直しを要求する】
【シロガネは見た】
【シロガネになりたい】

「次からはお風呂で水浴びするように」
「それじゃ爽快感がないの。この水って気持ちいいのよ」

「タオル濡らして拭くなら、500ミリリットルもあれば足りる」
「嫌よ。全身で浴びたいわ。サウナから出て水に浸かった感覚かしら」
「全身で浴びたい気持ちは分かるけどもな。5リットルぐらいで勘弁してくれ」
「分かったわ」

【一回500万円の水浴びか。贅沢だな】
【ヤエちゃんなら許せる】
【私も泉で水浴びしたい】
【俺は泳ぎたい】

 水浴び騒動が終わった。
 次からはコボルトとケットシーにヴィーナスウォーターの採取を頼もう。
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