上 下
43 / 179

第43話 アイアンラビット

しおりを挟む
 ウサギが目について仕方ない。
 アイアンラビットと名付けた。
 シロガネも食いたそうにしている。

「シロガネ、食っていいぞ」

 シロガネがアイアンラビットに食らいつく。

【おお、野生だ】
【弱いな】
【ウサギ型でも、強いのはいるぞ。首狩りウサギとかだな】
【トラの餌として設置されているんじゃね】

 俺もサンプルとして1匹狩ろう。

「シロガネ、アイアンラビットを押さえてくれ」
「わふっ」

 シロガネがアイアンラビットを追い回し捕まえた。
 器用に前足で押さえ込んでいる。
 俺は鉄パイプで殴って止めを刺した。

 さて、買取場に行こう。

「今回はアイアンラビットだ」
「ウサギ型は安いのが多い期待するなよ」

 おっちゃんは手際よく解体。
 魔石が小さいな。
 肉片を焼いてから食った。

「あー、締めて10万円だな。ほとんどが魔石の値段だ」
「手出ししないと向かって来ないモンスターだから、無視すれば良いだけだ」

【でも普通のウサギだと1000円ぐらいだ】
【ウサギ一匹10万か。羨まし過ぎる】
【そう言えば底辺おっさん、悪党発言がないな。普通の人になったようだ。つまらん】

「くくっ、良いことを思いついた。ウサギ肉を施設に寄付する。そして俺らは和牛を食う。貧乏人はウサギでも食ってろ」

【聞き捨てならん。どういう施設か知らないが、施設の人を馬鹿にしてる】
【拡散しようぜ】
【そうだな。マリーアントワネットより酷い】
【おー、アンチが復活したな】
【落ちが見えたぞ】

 俺はカメラを切った。

「このウサギ肉高級だぞ。和牛に引けを取らない」
「そうか。それならそれで良い」

 『貧乏人はウサギでも食ってろ』タグがSNSで広まった。
 良い感じに広まっているな。
 さて、コボルトとケットシーのマンションにでも行くか。

 マンションの周りの張り紙と立て札は相変わらずだ。
 敷地内の物は全て撤去する。

 マンションの遊具で遊んでいる子供はいない。
 あんなことがあったなら、仕方ないが。

 何かしたい。
 そうだ、コボルトとケットシーの子供達を学校に通わせよう。
 卒業資格とか得られなくても良い。
 友達が一杯できるといいな。

 そういう施設としてフリースクールというのがあるらしい。
 ただ、教育委員会が運営しているんだよな。
 コボルトとケットシーは入れないだろう。

 無ければ作れば良い。
 塾なら大した認可もいらないはずだ。
 受験のための塾ではなくて遊ぶための塾。
 もちろん希望する子には勉強も教える。

 土呂とろの所に行った。

「コボルトとケットシーの学校をやりたい。もちろん人間の子供も入れる」
「それぐらいならどうってことも」
「大変だぞ。食事から、先生の確保まで、俺なら絶対に出来ない」

「食事は業者がいますし、先生も給料さえ良ければ来るはずです」
「じゃあ任せた」

 アイアンタイガーで懐は暖かい。
 しばらく、討伐は休んで、学校の設立の書類の手続きをしよう。
 3日で場所が決まった。

 元はダンスホールだった場所だ。
 とにかく広い部屋だ。
 机やパソコンなど機材をいれると学校らしくなる。

 教室の半分は運動場にした。
 フットサルができる設備になっている。

 その様子を配信した。

【金があるので事業を起こしたか】
【フットサルとネットカフェか】
【経営は厳しいと思うな。でもおっさんなら】

「ここはコボルトとケットシーの子供を遊ばせるための施設だ。もちろん人間も通う。なんと無料で使える。ただし子供だけだがな」

【フットサルして人間の子供が怪我をしたらどうするんだ】
【責任とれるのか】
【ほんとアンチが復活してるな。どっか行ってほしいものだ】

「ナイスな指摘だ。治癒魔法が使える人を常駐させよう。バンバン指摘してくれたまえ」

 治癒魔法持ちはコボルトとケットシーの中にいたな。
 メジャーなスキルだものな。
 介護の現場でも治癒魔法は重宝するが、一人ぐらい良いだろう。

 試しに、コボルトとケットシーの子供にフットサルをさせる。
 オーバーヘッドキックとか普通にやっている。
 こりゃ人間の子供がすねるかもな。

【やっぱ異世界の住人だな。子供であのプレーはない】
【ワールドカップに招集されたりして】
【見ている分には面白い】
【サッカーのフェイントで残像が見えたのは初めてだ】
【モンスターのフットサルのどこが面白いのか】
【人間の子供が混ざって遊ぶのは危険すぎる】
【コボルトとケットシーは優しい生き物なんだぞ。怪我なんかさせるわけない】
【モンスターと言った奴ソースを出せ】

 重りでも付けてハンデを与えるか。
 それとオーバーヘッドみたいな危険なプレーは禁止だ。
 体当たりも禁止しないといけないな。
 色々とルールが必要だな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう

なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。 だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。 バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。 ※他サイトでも掲載しています

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう

果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。 名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。 日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。 ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。 この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。 しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて―― しかも、その一部始終は生放送されていて――!? 《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》 《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》 SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!? 暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する! ※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。 ※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。

処理中です...