上 下
41 / 168

第41話 アイアンタイガーにリベンジ

しおりを挟む
 シロガネの装備ができ上がる何日かを、グラトニーの採取をして過ごした。
 そしていよいよシロガネの装備ができ上がった。
 ヘルメットには角があり、胴体はきっちりガード。

「なかなか格好いいぞ」
「わふん」

 さて、アイアンタイガーにリベンジだ。
 うさぎをちらほら見かけたが、今回の目的ではないのでスルー。
 うさぎも攻撃されないのなら俺達に興味がないのか、素知らぬ顔で草を食んでた。

 アイアンタイガーはすぐに見つかった。
 アイテム袋から盾を取り出して装備した。
 さあ撃ってこい。

 アイアンタイガーは挨拶とばかりに砲弾を撃ち出してきた。
 ガツンと弥衣やえの盾に当たり、弥衣やえはゴロゴロと転がった。
 ダメージではないので俺の加護が働かないらしい。

【ヤエちゃん死ぬな】
【いきなり敵の攻撃が強くなったな】
【前はよろめきもしなかった】
【CGだからな。齟齬も出るだろう】

弥衣やえ、後ろに下がってろ」
「はい」

 砲弾は次々に撃たれ、キナコとモチはなんとか耐えている。
 シロガネは余分な重りを付けているので、動きが鈍くぜんぜん相手になってない。
 ダメージもないようなのでそこは安心だ。

 こうなったら、弾切れまで耐えるのだ。

 そして、アイアンタイガーの砲撃が止んだ。
 アイアンタイガーは踵を返すと一目散に逃げて行った。
 はへっ、どうして俺の考えは上手くいかないんだ。
 まあいい、砲弾を30個ほど確保した。
 1500万円の儲けだ。

【やはり、ノーダメで終わったか】
【弾一個50万円だったか。凄い儲けだな】
【事実ならな。砲弾が丸い石でも驚かない】
【事実に決まってる】

 今回の勝負は引き分けで、判定勝ちというところだろう。
 コボルトとケットシーに砲弾採取を任せてもいいな。

 さて、アイアンタイガーを仕留める方法を考えないと。
 今回は弥衣やえには聞かない。
 自分で解答を見つける。

 搦め手が良いだろう。
 どんな搦め手だ。
 『からめて』と言うぐらいだから拘束か。
 拘束魔法ってどうやるんだ。

 このぐらいは弥衣やえに聞いてみよう。

「拘束魔法を使いたい、どうやるんだ」
「簡単なのは石を出して拘束に使います」
「石だと弱くないか」
「なら鉄ですね」
「疑問に思ったのだが、どこらか石やら鉄が出て来るんだ」
「魔法は魔力で疑似物質を作ります」
「じゃあ、俺は鉄を理解しないといけないってことか。石は詳しくないが、鉄なら鉱石を毎日掘ってた。イメージは頭の中にある」

 試してみるか。

「拘束魔法」

 地面から鉄の蔦が伸びてきて絡まりあった。
 出来ているな。

「これじゃ駄目ね。もっと深くから生やさないと、こうやって持っていかれるわ」

 鉄の蔦が弥衣やえに引き抜かれた。

「地中深くだと、奇襲は無理だ。敵は常に動いているし」
「あなたは1000人から魔力を貰っているのでょう。じゃあ一帯に展開したら」

 ええと植物が根を張るみたいに一帯に張り巡らせてから、にょきにょきと生やすのか。
 これなら、深くしなくても、根が重しになって持ち上げられないはずだ。

 よし、出撃だ。

「今回の俺は一味違うぜ」

【いいかげんに仕留めろ。もったい付け過ぎ】
【ご都合展開を見てみようじゃないか】

「拘束魔法、展開」

【拘束してないんだが】
【CG忘れているぞ】

「そこは俺の領域だ。拘束魔法、生えろ」

【拘束できているぞ】
【凄い動きに追従してる】
【広範囲に展開してるから逃げ出せないのか。やる】

 よし、アイアンタイガーの足を止めた。
 こうなれば、横からボコるだけだ。

【殴って終わるのね。恰好いい】
【拘束魔法が2段階なのが分からん】

「最初は広範囲に根を展開するのだ。そこから蔓を生やす」

【えっと魔力量は?】
【そこで寄生スキル設定が生きてくるわけだ】
【納得】
【これってかなり強いんじゃ】
【CGだからな】
【CG言ってる奴。映像を検証して証拠出せよ】

「よし、アイアンタイガーはおいくらになるだろうな」

 俺は買取場にアイアンタイガーを持ち込んだ。

「こいつはあのミスリルの弾を撃ってた奴か。たぶん体の中にミスリルがあるな」
「1グラム10万だったよな」
「まあな。今日中に値段が分かるだろ。電話する」
「おう」

 しばらくして電話が掛かってきた。
 買取場に行く。

「聞いて驚け、体の中のミスリルが210グラムだ。皮も使えるし、睾丸とかも薬になるらしい。締めて2550万円だ」

【出たご都合主義】
【素敵、抱いて♡】
【ほんとならウハウハだな】
【CGとサクラだからな。実際は25万5千円じゃね】
【それでも大金だ】
【腐ってもトラだからな】

 アイアンタイガーは今のところ俺しか倒せないが、砲弾を撃たせて弾を採取するのは簡単な仕事だ。
 いいカモと言えるだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

リフォーム分譲ダンジョン~庭にダンジョンができたので、スキルを使い改装して、分譲販売することにした。あらぬ罪を着せてた奴らにざまぁしてやる~

喰寝丸太
ファンタジー
俺はソフトウェア開発会社の社員だった。 外注費を架空計上して横領した罪に問われ会社を追われた。 不幸は続く。 仲の良かった伯父さんが亡くなった。 遺産が転がり込むかと思われたら、貰った家の庭にダンジョンができて不良物件に。 この世界は10年前からダンジョンに悩まされていた。 ダンジョンができるのは良く聞く話。 ダンジョンは放っておくとスタンピードを起こし、大量のモンスターを吐き出す。 防ぐ手段は間引きすることだけ。 ダンジョンの所有者にはダンジョンを管理する義務が発生しますとのこと。 そして、スタンピードが起きた時の損害賠償は所有者である俺にくるらしい。 ダンジョンの権利は放棄できないようになっているらしい。 泣く泣く自腹で冒険者を雇い、討伐する事にした。 俺が持っているスキルのリフォームはダンジョンにも有効らしい。 俺はダンジョンをリフォーム、分譲して売り出すことにした。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

身バレしないように奴隷少女を買ってダンジョン配信させるが全部バレて俺がバズる

ぐうのすけ
ファンタジー
呪いを受けて冒険者を休業した俺は閃いた。 安い少女奴隷を購入し冒険者としてダンジョンに送り込みその様子を配信する。 そう、数年で美女になるであろう奴隷は配信で人気が出るはずだ。 もしそうならなくともダンジョンで魔物を狩らせれば稼ぎになる。 俺は偽装の仮面を持っている。 この魔道具があれば顔の認識を阻害し更に女の声に変える事が出来る。 身バレ対策しつつ収入を得られる。 だが現実は違った。 「ご主人様は男の人の匂いがします」 「こいつ面倒見良すぎじゃねwwwお母さんかよwwww」 俺の性別がバレ、身バレし、更には俺が金に困っていない事もバレて元英雄な事もバレた。 面倒見が良いためお母さんと呼ばれてネタにされるようになった。 おかしい、俺はそこまで配信していないのに奴隷より登録者数が伸びている。 思っていたのと違う! 俺の計画は破綻しバズっていく。

元探索者のおじいちゃん〜孫にせがまれてダンジョン配信を始めたんじゃが、軟弱な若造を叱りつけたらバズりおったわい〜

伊藤ほほほ
ファンタジー
夏休み。それは、最愛の孫『麻奈』がやって来る至福の期間。 麻奈は小学二年生。ダンジョン配信なるものがクラスで流行っているらしい。 探索者がモンスターを倒す様子を見て盛り上がるのだとか。 「おじいちゃん、元探索者なんでしょ? ダンジョン配信してよ!」 孫にせがまれては断れない。元探索者の『工藤源二』は、三十年ぶりにダンジョンへと向かう。 「これがスライムの倒し方じゃ!」 現在の常識とは異なる源二のダンジョン攻略が、探索者業界に革命を巻き起こす。 たまたま出会った迷惑系配信者への説教が注目を集め、 インターネット掲示板が源二の話題で持ちきりになる。 自由奔放なおじいちゃんらしい人柄もあってか、様々な要因が積み重なり、チャンネル登録者数が初日で七万人を超えるほどの人気配信者となってしまう。 世間を騒がせるほどにバズってしまうのだった。 今日も源二は愛車の軽トラックを走らせ、ダンジョンへと向かう。

底辺ダンチューバーさん、お嬢様系アイドル配信者を助けたら大バズりしてしまう ~人類未踏の最難関ダンジョンも楽々攻略しちゃいます〜

サイダーボウイ
ファンタジー
日常にダンジョンが溶け込んで15年。 冥層を目指すガチ勢は消え去り、浅層階を周回しながらスパチャで小銭を稼ぐダンチューバーがトレンドとなった現在。 ひとりの新人配信者が注目されつつあった。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

処理中です...