貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太

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第24話 アイアンマンティス

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 アイアンスパイダーの乱獲をした。
 鉄を錆させるスキルは凄い威力だ。
 蜘蛛の糸さえなければそこいらにいる虫と変わりない。
 毒液も大丈夫みたいだしな。

 そして、さらに奥に進むとでかいカマキリが現れた。
 俺はカマキリの鎌に不穏な物を感じ取った。
 たぶん凄い切れ味なんだろう。

 さて、どう始末しようか。

【ビックマンティスだな】
【やっぱりDかCランクだな】
【となるとこのダンジョンはCランク?】
【いいや、5階層ぐらいで終りだと。初めの敵がスライムなのはFランクだな】
【付け加えるなら、このクラスのダンジョンでも、ラスボスはドラゴン】

 俺はでかいカマキリにアイアンマンティスと名前を付けた。
 アイアンマンティスは待ちの姿勢だ。
 やはりカマキリだな。
 昆虫採集を子供の頃にした俺は知っている。
 カマキリは獲物を待って一撃で仕留める。
 こいつも同じだろう。

 一当てしてみるか。
 俺は予備の普通の鉄パイプを突き出すように構えて、ジリジリとすり足で前進した。
 鉄パイプが僅かに揺れると、アイアンマンティスの鎌が素早く動き、鉄パイプを切断した。

【なんか知らん間に鉄パイプの先端が落ちた】
【あらかじめ切っておいて、ご飯粒でも付けといたんじゃね】
【ビックマンティス程度なら、鉄パイプは切断しない】
【なんだぁ。納得】

 俺はいったん下がった。
 切断された鉄パイプの断面を見るとヤスリで削ったように滑らかだ。

 魔鉄でもたぶん同じだろうな。
 居合と同じだと考えた方が良いだろう。
 俺は馬鹿だが、時代劇は好きだから居合に関しての知識はある。

 俺の知る居合を破る方法は2つ。
 ひとつは柄を抑えて抜けなくさせるのだ。
 もうひとつは空振りさせて、その隙に後の先を取る。

 問題は鎌が二つあるってことだ。
 片方を何とかしても、駄目だろうな。
 馬鹿な俺にも分かる。

 俺はカメラを切った。

「やられそうな予感がする」
「いいこと教えてあげましょうか」

「教えて下さい弥衣やえ先生」
「よろしい。君はあれを剣の類の武器だと見ましたか」
「はい、居合と同じだと感じました」

「敵が近づいてこないなら遠距離攻撃すればよろしいのです。所詮、剣では銃には敵いません。この場合目潰しが良いでしょう」

 俺はカメラのスイッチを入れてダンジョンから出て、ペンキスプレー缶を買った。

 そして、アイアンマンティスの元に戻りペンキスプレー缶を投げつけた。
 爆散するペンキスプレー缶。
 アイアンマンティスの体にペンキが掛った。
 どんどんいくぜ。
 そして、投げる缶に反応しなくなった。
 鎌の外側で目を磨く様な仕草をしている。
 チャンスだ。

 俺はアイアンマンティスを滅多打ちにした。

【外道な倒し方だ。男なら、正面からやらんかい】
【カメラを切った時に何が起きたのか気になる】

「ああ、あれな。ムラムラきたので弥衣やえを目隠ししてプレーを楽しんだ。そして閃いた。見えなければ、やりたい放題だとな」

【くっそ】
【そんなことだと思ったぜ】
【目隠しプレーだとけしからん】

「アイアンマンティスは殺傷圏に入らなければ動かないからな。プレーを見せつけてやったぜ」

【くそっ、この怒りをどこへ持っていったらいいんだ】
【底辺おっさんを○○しにでも行ったら】
【なめしに行ったに1票】
【かましに行ったに1票】
【つるしに行ったに1票】
【おろしに行ったに1票】
【こけしに行ったに1票】
【たけしに行ったに1票】
【たけしワラタ。殺人教唆はしないのな】
【当たり前だろ。底辺おっさんのために人生を棒に振ることはない】

 さてとアイアンマンティスはいくらになるかな。
 買取場に持ち込んだ。

「ふむ、ビックマンティスの系統だな。魔石以外使えないところだが、外羽が武具に使えるな。それとこの鎌は剣呑だ。魔力を込めると何でも斬っちまう。剣に使えば魔剣ができ上がる。1000万といったところか」

 やった、1000万。

【でたエキストラ】
【いくらで雇ったかしらないがよくやるよ】
【宝くじで1億当たればそれぐらいはできる】
【お金、素敵】
【でた守銭奴。こんな所にコメントしても手に入らないのにな】
【行動しないと何も手に入らない】
【そうよ。出会いは切っ掛け】

 悪役ムーブで金を使いたい。
 何をすべきかな。
 ビルから金をばら撒くのは嫌だ。
 金の苦労を知っている身としては地べたに金を投げるなんてとてもできない。

 やるならこうだ。
 有名な彫刻家にでもお菓子で芸術作品を作らせる。
 それを無残にも食い散らかすのだ。
 コボルトとケットシー達に食べるのを手伝って貰おう。
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