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第23話 奇跡
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翌朝、連絡が入った。
アイアンスパイダーの肉から、高性能の造血剤が作れるらしい。
エリクサーでも流した血は戻らないと買取場のおっさんは言っていた。
画期的な薬なんだそうだ。
とりあえず健康食品として売り出すらしい。
アイアンスパイダーの値段は1体150万だった。
意外に安いな、ハズレかな。
乱獲するんだけどね。
これから怪我をして、血が足りなくなることもあるだろう。
造血剤は俺もほしい。
乱獲は順調に進むかと見えた。
「塩水酸化」
アイアンスパイダーは巣から落とされそうになって、弥衣に向かって飛んだ。
そして毒液を吐いた。
それをもろにかぶる弥衣。
【ヤエちゃん死ぬの?】
【ビックスパイダークラスの毒では即死はしない】
【安心した】
「弥衣! 邪魔だ」
俺は二人の間に立ち塞がるアイアンスパイダーを滅多打ちにした。
弥衣はと見るときょとんとした顔で立っている。
「解毒剤を飲んだのか?」
「飲んでないわ」
「気分はどうだ?」
「ベトベトするぐらいで、他に変な所はないけど」
【毒耐性でも付いたか?】
【蜘蛛の毒は実際は無毒じゃね。大げさに芝居しているけど。底辺おっさんも被っただろう。たぶん無毒】
【じゃあ安心だ】
念の為だ。
病院に行くことにする。
シャワーを浴びて、スッキリとした弥衣は色っぽい。
いつもより3割増しぐらいで美人さんだ。
病院に行き弥衣が診察を受ける。
俺は待合室でボーっとテレビを見ていた。
映像が見た事のある風景に切り替わる。
それはマンションの映像だった。
ええと、たしかここは?
そうだ、コボルトとケットシーを住まわせている俺所有のマンションじゃないか。
やつら何かやらかしたか。
「マンションの10階から、子供のモンスターが落ちましたのですが、無傷でした」
「色々と問題がありますね。テイムしたモンスターだそうですが、10階から転落して無傷というモンスターに襲い掛かられたら、一般市民はひとたまりもありません。付近の安全が危惧されます」
「テイムしたモンスターを住まわせるのは現在の法律では合法となっています」
おい、子供が無事だったことを喜べよ。
なに危険視しているんだ。
弥衣が診察室から出てきた。
「どうだった?」
「あの蜘蛛の毒は触れただけで即死なんだって。サンプルとして採った毒液を一滴マウスに付着させたら死んだらしいわ」
「何ともないのか」
俺は弥衣の体を触って確かめた。
「嬉しいけど、ここでは嫌」
「すまん。気が動転してた。それよりもコボルト達とケットシー達が大変だ」
俺達二人はマンションに到着。
キナコとモチが出迎えてくれた。
「落ちた子供に怪我はないのか? 医療費ならいくらかかってもいいぞ」
「落ちたのはケットシー族の子供にゃん。普通ならあの高さから落ちたら助からないにゃん。奇跡にゃん」
「弥衣どう思う?」
「たぶんスキルではないわね。私も病院でスキル鑑定受けたけど、スキルは生えてなかった」
「そうにゃん。鑑定スキルで子供のスキルを調べたにゃんが、高い所から落ちて助かるようなスキルは無かったにゃん」
俺にはまったくもってぜんぜん分からん。
分かるのはこのままだとコボルト達とケットシー達が悪者になるってことだ。
もう何が何だか。
言葉だって喋れるし、彼らは人と変わりない。
そうだ。
「コボルト達とケットシー達を人間にしてやろう」
「えっと姿形を変えるってこと?」
「違う。付近の人に人間としてみてほしい」
「ええと日本国籍を取るってことよね」
「難しいことは分からないが、それで人としてみて貰えるなら」
「難しいけど、日本語が操れて知性もある。何とかなるかも」
落ちた子供が助かった原因は分からない。
神様が助けてくれたってことかな。
弥衣もそれで助かった。
そういうことにしておくか。
キナコとモチを動物病院に連れてった。
一度検査してもらおうと思ってたのだ。
診察室には一緒に入る。
血液検査して、CTを取って貰った。
「別段異常はないね。寄生虫もいないようだし。モンスターを診断するのは初めてじゃないけど、彼らは本当にモンスターなのかい」
「というと?」
「魔石がないんだよ。モンスターならあるはずの魔石がない」
「先生ありがと。これで突破口がひとつで来た」
診察が終わって待合室で。
「にゃー達はモンスターじゃないにゃ。モンスターと同一視されて迫害されたけどにゃ」
「迫害された。誰にだ」
「この世界から見ると異世界人ににゃ」
「へぇ」
「迫害されたので仕方なく魔王と手を組んだにゃ。それで魔王は勇者に討ち取られて、にゃー達は神の怒りに触れてダンジョンに捕らわれたにゃ。異世界に来るとは思わなかったにゃ」
「コボルトとケットシーは異世界では人間だったのね。じゃあ難民認定が受けられるかも。迫害の事実もあるみたいだし」
弥衣が良いことを思いついたみたいだ。
俺には難しくて分からないが。
アイアンスパイダーの肉から、高性能の造血剤が作れるらしい。
エリクサーでも流した血は戻らないと買取場のおっさんは言っていた。
画期的な薬なんだそうだ。
とりあえず健康食品として売り出すらしい。
アイアンスパイダーの値段は1体150万だった。
意外に安いな、ハズレかな。
乱獲するんだけどね。
これから怪我をして、血が足りなくなることもあるだろう。
造血剤は俺もほしい。
乱獲は順調に進むかと見えた。
「塩水酸化」
アイアンスパイダーは巣から落とされそうになって、弥衣に向かって飛んだ。
そして毒液を吐いた。
それをもろにかぶる弥衣。
【ヤエちゃん死ぬの?】
【ビックスパイダークラスの毒では即死はしない】
【安心した】
「弥衣! 邪魔だ」
俺は二人の間に立ち塞がるアイアンスパイダーを滅多打ちにした。
弥衣はと見るときょとんとした顔で立っている。
「解毒剤を飲んだのか?」
「飲んでないわ」
「気分はどうだ?」
「ベトベトするぐらいで、他に変な所はないけど」
【毒耐性でも付いたか?】
【蜘蛛の毒は実際は無毒じゃね。大げさに芝居しているけど。底辺おっさんも被っただろう。たぶん無毒】
【じゃあ安心だ】
念の為だ。
病院に行くことにする。
シャワーを浴びて、スッキリとした弥衣は色っぽい。
いつもより3割増しぐらいで美人さんだ。
病院に行き弥衣が診察を受ける。
俺は待合室でボーっとテレビを見ていた。
映像が見た事のある風景に切り替わる。
それはマンションの映像だった。
ええと、たしかここは?
そうだ、コボルトとケットシーを住まわせている俺所有のマンションじゃないか。
やつら何かやらかしたか。
「マンションの10階から、子供のモンスターが落ちましたのですが、無傷でした」
「色々と問題がありますね。テイムしたモンスターだそうですが、10階から転落して無傷というモンスターに襲い掛かられたら、一般市民はひとたまりもありません。付近の安全が危惧されます」
「テイムしたモンスターを住まわせるのは現在の法律では合法となっています」
おい、子供が無事だったことを喜べよ。
なに危険視しているんだ。
弥衣が診察室から出てきた。
「どうだった?」
「あの蜘蛛の毒は触れただけで即死なんだって。サンプルとして採った毒液を一滴マウスに付着させたら死んだらしいわ」
「何ともないのか」
俺は弥衣の体を触って確かめた。
「嬉しいけど、ここでは嫌」
「すまん。気が動転してた。それよりもコボルト達とケットシー達が大変だ」
俺達二人はマンションに到着。
キナコとモチが出迎えてくれた。
「落ちた子供に怪我はないのか? 医療費ならいくらかかってもいいぞ」
「落ちたのはケットシー族の子供にゃん。普通ならあの高さから落ちたら助からないにゃん。奇跡にゃん」
「弥衣どう思う?」
「たぶんスキルではないわね。私も病院でスキル鑑定受けたけど、スキルは生えてなかった」
「そうにゃん。鑑定スキルで子供のスキルを調べたにゃんが、高い所から落ちて助かるようなスキルは無かったにゃん」
俺にはまったくもってぜんぜん分からん。
分かるのはこのままだとコボルト達とケットシー達が悪者になるってことだ。
もう何が何だか。
言葉だって喋れるし、彼らは人と変わりない。
そうだ。
「コボルト達とケットシー達を人間にしてやろう」
「えっと姿形を変えるってこと?」
「違う。付近の人に人間としてみてほしい」
「ええと日本国籍を取るってことよね」
「難しいことは分からないが、それで人としてみて貰えるなら」
「難しいけど、日本語が操れて知性もある。何とかなるかも」
落ちた子供が助かった原因は分からない。
神様が助けてくれたってことかな。
弥衣もそれで助かった。
そういうことにしておくか。
キナコとモチを動物病院に連れてった。
一度検査してもらおうと思ってたのだ。
診察室には一緒に入る。
血液検査して、CTを取って貰った。
「別段異常はないね。寄生虫もいないようだし。モンスターを診断するのは初めてじゃないけど、彼らは本当にモンスターなのかい」
「というと?」
「魔石がないんだよ。モンスターならあるはずの魔石がない」
「先生ありがと。これで突破口がひとつで来た」
診察が終わって待合室で。
「にゃー達はモンスターじゃないにゃ。モンスターと同一視されて迫害されたけどにゃ」
「迫害された。誰にだ」
「この世界から見ると異世界人ににゃ」
「へぇ」
「迫害されたので仕方なく魔王と手を組んだにゃ。それで魔王は勇者に討ち取られて、にゃー達は神の怒りに触れてダンジョンに捕らわれたにゃ。異世界に来るとは思わなかったにゃ」
「コボルトとケットシーは異世界では人間だったのね。じゃあ難民認定が受けられるかも。迫害の事実もあるみたいだし」
弥衣が良いことを思いついたみたいだ。
俺には難しくて分からないが。
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