上 下
21 / 179

第21話 魔鉄

しおりを挟む
 アイアンウルフの領域に行く。
 武器強化された光るあみを持って、アイアンウルフにじりじりと近寄る。
 今だ。

 アイアンウルフは網に絡めとられた。
 アイアンウルフは大口を開け炎のブレスを吐こうとする。

「やらせんよ。陶磁器。冷却」

 アイアンウルフの口にセラミックで栓がなされた。
 冷却の魔法が熱を帯びるのを許さない。

 俺は魔法を維持しながら、呪いを込めた鉄パイプで、アイアンウルフを滅多打ちにした。
 アイアンウルフは死んだ。

「さすがですわん。メタルフェンリルがこうもあっさりですわん」
「こいつメタルフェンリルっていうのか。まあいいや。俺はアイアンウルフと呼ぼう」

【サクラの使い方が上手いな。コボルトにフェンリルなんて呼ばせて、さも強大な敵に見せかけている】
【本当にフェンリルかもよ】
【ないな】
【そうそう。フェンリルはSランク相当だぞ。大きさからみてCランクがいいところ】
【でも200万は美味しい】

 おやっ採取ポイントがある。
 鉄ノミとハンマーで砕こうとするとはじき返された。
 鉄ノミに武器強化を施す。
 今度は鉱石を採取できた。

 この鉱石は高そうな予感。
 軒並み採取するか。

「このような雑用私達にお任せ下さればですわん」
「にゃーも手伝うにゃ」

「奴隷共、ノミに武器強化してやるから掘りまくれ。今日の食事はお頭付きだ」
「やる気出たにゃん」

 アイアンウルフを退治する合間にキナコとモチが鉱石を掘る。

【仲間をこき使っているな】
【さすが極悪人。地味な仕事は仲間に振る】

「こういう仕事をさせるために奴隷達がいる」

【くっ、なぜモンスターには動物愛護法が適用されないのか】
【俺も警察に電話掛けたかが、取り合って貰えなかった】
【鉱石が採れるということは、鉱山持ちと変わりないってことね。素敵】
【おじさま、頑張って♡】
【応援してる】
【モンスターが出る鉱山だろ。そんなの一銭の価値もない】
【だな、千円でも買わない】

 どれぐらいになるか楽しみだ。

 買取場に行く。
 モンスターの死骸を出してから、鉱石を出した。

「こりゃあ、ただの鉄鉱石じゃないな」
「そうか。高く売れるのか」
「魔鉄だと思うから、大体キロ1000円だな」
「安っす」

 モンスターの死骸の方が高い。
 でも鉄鉱石の100倍だ。
 昔にこれがあればな。

 でもなんか希望が湧いてきた。
 2階層でこれなら、3階層は?

「1トンと253キロだな」

 とにかく大体1トンでええと、桁が多くて答えが出せない。
 こういう時にこそ電卓がある。
 スマホで電卓アプリを使う。
 最近覚えた技だ。

 ええとトンって何キロだったっけ。
 1万か。
 そんなに掘った記憶はないんだが。

「トンて何キロ?」
「1000キロだ。お前そんなことだと騙されるぞ」
「知ってる。ややこしいことは弁護士を通すことにしてるから平気だ」
「そうか。金持ちだからな」

 ええと1253万円か。
 そうだ。
 魔鉄っていうくらいだから鉄だろ。
 これでパイプを作ってもらおう。
 俺、専用武器だ。

「魔鉄で武器を作っている人を紹介してくれ」
「おう。俺は受付嬢じゃないが、お得意だからな。とびっきりを紹介してやるぜ」

 住所を貰った。
 着いた場所は町工場だった。

「入るよ」
「おう武器かい。防具かい」
「武器なんだけど」
「どんな得物だ。剣か刀か」
「ええと鉄パイプ」
「何だって? 俺はどうやら夢を見ているらしい」
「いや、魔鉄で水道管を作って欲しい」

「参ったな。色んな武器を作ったよ。変わったのだと鎖鎌やトンファーなんて物があったが、はっ水道管かよ。1億だ」
「それでいいよ」
「おめぇ馬鹿か。断るために吹っ掛けたに決まっているだろ。仕方ねぇ。100万でいいや。どんなのが良い」

「先っちょに曲がったのが付いているのがいい」
「エルボを付けろというんだな。分かった。待ってろ一瞬で作ってやる。成型」

 職人が手に持ったインゴットが鉄パイプになり先っちょにエルボだったかそれが付いた。

「理想通りだ」
「金を払って品物を受け取ったらとっとと帰れ」
「じゃあカードで」

「キャッシュカードじゃねぇか。クレジットカードならともかくそんな物使えるか」
「金を下ろして来る」

 俺は銀行で金を下ろした。
 残高を見て銀行員が盛んに定期預金を勧めてきた。
 勧誘お断りと言って金を貰って町工場に戻った。

「それにしても鉄パイプはないな。嫌な物を作っちまったぜ」
「また頼みに来る」
「もう来るな」

 塩を撒かれた。
 嫌な客扱いしなくても良いじゃないか。
 スキルを一回使っただけで、100万とるんだから。

 今度はキナコとモチと弥衣やえに武器を作ってあげよう。
 それなら文句ないだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。 見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。 僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。 咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。 僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...