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最終章 勇者編
第109話 実験場
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「マリリさん、ジェファス商会はどんな感じ」
ジェファス商会はマリリさんが作ったというか、マリリさんがお爺様の名前を受け継いだ商会だ。
「支店は増えたし、ゴーレム騎士団も日に日に拡大しているわ。なんでそんなそんな事を聞くの」
「どうなのかなと」
「どの支店も黒字だから、平気よ。もちろん商都市連合国にも支店を出すわよ」
「少し気になっただけだから」
雑談しているうちに商都市連合国には着いた。
ドワーフ国の隣だからというよりドワーフ国が小さい。
商都市連合国も同様に小さい国だ。
主要産業は商業でその資産は莫大だ。
過去なんども攻められたが、金の力で全てはねのけて現在がある。
首都は港町でその港には各国からの舟が頻繁に出入りしているのが輸送機からも見えた。
俺は着くなり、前線に駆り出された。
海の魔獣に対して毒ミートゴーレムと魔力ゴーレムの爆雷攻撃をして駆逐にかかった。
しかし、海は広い。
一日ではとうてい終わらず、何日もの滞在となった。
「うちの商船を優先してもらいたい」
「いやいや、うちが先だ」
俺の魔獣への攻撃が効いていると知った有力議員に俺は呼び出された。
自分の利益を上げようと議員達は俺の目の前で舌戦を繰り広げている。
俺を船の護衛にしたいらしい。
「毒ミートゴーレムなら、ゴーレム使いを雇えば事足りるぜ。俺は護衛なんてまっぴらだ」
「あの爆雷といったかな。あれは火魔法使いでも再現ができない」
「そんなの知ったことか」
「じゃあ君は船を出せずに破産しろと言うのかね」
「今でも船は行き来しているはずだが」
「難破率が高くてもう限界なんだよ」
「陸路で運べば良い」
「それでは儲けが出ない」
「とにかく護衛はしない。爆雷を再現するなら、魔力を海の中に伸ばして爆発させるんだな」
「それはもう試みた。設置スピードが遅くてどうにもならない」
「俺はある一定数魔獣を狩ったら帰る」
「そんな無責任な」
「いいですよね、ランデ男爵」
「仕方ないですな。我が国の属国にでもなるのなら考えますが」
「そんな、うちの商会は破産だ」
喧騒の会議場を俺達は後にした。
「無視して良かったのか」
「ええ、この国の議員の席は金で買えます。破産した議員の後釜はすぐに決まりますから問題ないですね」
「あの会議場にいた全てが破産してもか」
「ええ、たかが半数です。この国ではよくある事ですよ」
宿に帰るとリリオが男の子と庭の木に登り遊んでいた。
「落ちるなよ」
「師匠、お帰り」
「そっ……」
俺はそっちの子はと尋ねようとして絶句した。
魔力視で見たその子は魔力が一万を軽く超えていたからだ。
「師匠、黙り込んでどうしたんだ」
「そっちの子は?」
「近所に住んでるレンスだよ」
「遊んでくれてありがとな」
「どうも」
レンスはどこか影がある感じがした。
俺の魔力が百だから魔力一万はもの凄い才能だ。
才能に振り回されて暗い性格になったのだろうか。
「アルが待っているから帰る」
「またな」
気になった俺はレンスの後をつけた。
レンスは孤児院に入って行く。
出迎えたのはアルヴァルだった。
変装していたが、魔力視は誤魔化せない。
レンスを見ると魔力が二百ぐらいに減っている。
どういう事だ。
俺はアルヴァルに気づかれないように更に観察する。
孤児院の子の魔力がおかしい。
魔力が十ぐらいの子もいれば魔力が千ぐらいの子もいる。
それが数時間経つと逆転していたりする。
ようするに魔力の最大量が時間で刻々と変化するのだ。
アルヴァルがこの孤児院を実験場に選んだという事だけがはっきりと分かった。
俺は気づかれないようにそっとその場を後にした。
「マリリさん、セシリーンは?」
「いるわよ。セシリーン、なにかフィルが用なんだって」
セシリーンが隣の部屋から出てきた。
「どうした、血相を変えて」
「アルヴァルの野郎が孤児院で禁忌の実験をやっている」
「犠牲者は出たか」
「それは分からないがなんか嫌な予感がする」
「アルヴァルは教会で指名手配しているから逮捕できるが、この国の法律では他の国でやった犯罪は罪に問われない事になっている」
「ややこしいな」
「よし、案内しろ。この国の聖騎士にも声を掛けてみよう」
孤児院にセシリーンを案内すると建物の中にはアルヴァルはいなかった。
魔力視で確かめたから間違いない。
孤児院の子の魔力量はやはり刻々と変わっていた。
魔力量が一万ぐらいでは支障がない。
だが、それが百万、一千万となった場合はどうなるんだろう。
たぶん、辺りを巻き込んで爆発する。
そんな、ぞっとする未来が見えた。
実験を今すぐ辞めさせたい。
しかし、孤児院の事情もあるのだろう。
その辺は聖騎士の捜査に期待だ。
ジェファス商会はマリリさんが作ったというか、マリリさんがお爺様の名前を受け継いだ商会だ。
「支店は増えたし、ゴーレム騎士団も日に日に拡大しているわ。なんでそんなそんな事を聞くの」
「どうなのかなと」
「どの支店も黒字だから、平気よ。もちろん商都市連合国にも支店を出すわよ」
「少し気になっただけだから」
雑談しているうちに商都市連合国には着いた。
ドワーフ国の隣だからというよりドワーフ国が小さい。
商都市連合国も同様に小さい国だ。
主要産業は商業でその資産は莫大だ。
過去なんども攻められたが、金の力で全てはねのけて現在がある。
首都は港町でその港には各国からの舟が頻繁に出入りしているのが輸送機からも見えた。
俺は着くなり、前線に駆り出された。
海の魔獣に対して毒ミートゴーレムと魔力ゴーレムの爆雷攻撃をして駆逐にかかった。
しかし、海は広い。
一日ではとうてい終わらず、何日もの滞在となった。
「うちの商船を優先してもらいたい」
「いやいや、うちが先だ」
俺の魔獣への攻撃が効いていると知った有力議員に俺は呼び出された。
自分の利益を上げようと議員達は俺の目の前で舌戦を繰り広げている。
俺を船の護衛にしたいらしい。
「毒ミートゴーレムなら、ゴーレム使いを雇えば事足りるぜ。俺は護衛なんてまっぴらだ」
「あの爆雷といったかな。あれは火魔法使いでも再現ができない」
「そんなの知ったことか」
「じゃあ君は船を出せずに破産しろと言うのかね」
「今でも船は行き来しているはずだが」
「難破率が高くてもう限界なんだよ」
「陸路で運べば良い」
「それでは儲けが出ない」
「とにかく護衛はしない。爆雷を再現するなら、魔力を海の中に伸ばして爆発させるんだな」
「それはもう試みた。設置スピードが遅くてどうにもならない」
「俺はある一定数魔獣を狩ったら帰る」
「そんな無責任な」
「いいですよね、ランデ男爵」
「仕方ないですな。我が国の属国にでもなるのなら考えますが」
「そんな、うちの商会は破産だ」
喧騒の会議場を俺達は後にした。
「無視して良かったのか」
「ええ、この国の議員の席は金で買えます。破産した議員の後釜はすぐに決まりますから問題ないですね」
「あの会議場にいた全てが破産してもか」
「ええ、たかが半数です。この国ではよくある事ですよ」
宿に帰るとリリオが男の子と庭の木に登り遊んでいた。
「落ちるなよ」
「師匠、お帰り」
「そっ……」
俺はそっちの子はと尋ねようとして絶句した。
魔力視で見たその子は魔力が一万を軽く超えていたからだ。
「師匠、黙り込んでどうしたんだ」
「そっちの子は?」
「近所に住んでるレンスだよ」
「遊んでくれてありがとな」
「どうも」
レンスはどこか影がある感じがした。
俺の魔力が百だから魔力一万はもの凄い才能だ。
才能に振り回されて暗い性格になったのだろうか。
「アルが待っているから帰る」
「またな」
気になった俺はレンスの後をつけた。
レンスは孤児院に入って行く。
出迎えたのはアルヴァルだった。
変装していたが、魔力視は誤魔化せない。
レンスを見ると魔力が二百ぐらいに減っている。
どういう事だ。
俺はアルヴァルに気づかれないように更に観察する。
孤児院の子の魔力がおかしい。
魔力が十ぐらいの子もいれば魔力が千ぐらいの子もいる。
それが数時間経つと逆転していたりする。
ようするに魔力の最大量が時間で刻々と変化するのだ。
アルヴァルがこの孤児院を実験場に選んだという事だけがはっきりと分かった。
俺は気づかれないようにそっとその場を後にした。
「マリリさん、セシリーンは?」
「いるわよ。セシリーン、なにかフィルが用なんだって」
セシリーンが隣の部屋から出てきた。
「どうした、血相を変えて」
「アルヴァルの野郎が孤児院で禁忌の実験をやっている」
「犠牲者は出たか」
「それは分からないがなんか嫌な予感がする」
「アルヴァルは教会で指名手配しているから逮捕できるが、この国の法律では他の国でやった犯罪は罪に問われない事になっている」
「ややこしいな」
「よし、案内しろ。この国の聖騎士にも声を掛けてみよう」
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魔力視で確かめたから間違いない。
孤児院の子の魔力量はやはり刻々と変わっていた。
魔力量が一万ぐらいでは支障がない。
だが、それが百万、一千万となった場合はどうなるんだろう。
たぶん、辺りを巻き込んで爆発する。
そんな、ぞっとする未来が見えた。
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しかし、孤児院の事情もあるのだろう。
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