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第4章 樹聖エルフ王国編
第100話 日常に戻る
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帰りの空の旅は順調だった。
途中休憩を兼ねて、アドラムに降りる。
門の前でリンナとお別れをした。
「王都で一緒に工房をやりたくなったら何時でも声を掛けて」
「気が変わったらな」
「モリーちゃんとユフィアちゃん、頑張りなさい。あなたの師匠は最高だわ」
「頑張る」
「はい」
「じゃあ、行くわね」
リンナは街に入ろうとする人ごみに消えて行った。
「私達もしばらくアドラムに居るわ」
マリリ達一行もアドラムで降りるようだ。
「商品が無くなったら言って。輸送機で届けるから」
「ありがとう。また知らない国に行く時は声を掛けてね。支店をバンバン増やすから」
「そうするよ」
さあ、王都に帰ろう。
王都に着くとそこは何時もの賑わいで見慣れた町並みが何故か郷愁を感じさせた。
「後で王から褒美が貰えると思いますが。何が良いですか」
ランデ男爵がそう言った。
「現金が一番良いな」
「欲が無いですね。でもそれが摩擦が一番少ないでしょうね」
「領地なんか要らない。爵位もだ。自由に冒険者させてくれ」
「その要求は無理でしょうな。自由は望めない。厄介事はついて回るでしょうから」
「有名税だと思っておくよ」
ランデ男爵と別れて、孤児院の前でモリーとユフィアに話し掛ける。
「どうだった今回の旅は」
「うん、おもしろかった」
「楽しめました」
「そうか、ならまた連れて行ってやる」
「探したぞ」
皮鎧を着た冒険者風の男が孤児院から出て来て言った。
「ええっと誰だっけ」
「ケネスだよ。いいかげん覚えろよ」
ああ、ゴーレムマスターの人か。
「そうだった。何か用」
「勝負だ」
「俺もなんとなく今日はやっても良い気がするな」
草原でケネスと対峙する。
ケネスの傍らには何時ものミスリルゴーレムが居た。
何時もと違うのは両手に剣を持っている事だ。
俺は魔力結晶ゴーレムを一体出して準備を完了した。
「銅貨が地面に落ちたら勝負開始だ」
「よしやろう」
ケネスが銅貨を弾く。
地面に効果が落ちるとケネスはミスリルゴーレムが持っていた剣を一振り受け取った。
ゴーレムが剣を二つ持っていたから二刀流で来ると思ったが、違うのだな。
なんとケネスとミスリルゴーレムはぴったりくっ付いて魔力結晶ゴーレムに攻撃し始めた。
ミスリルゴーレムの剣を魔力結晶ゴーレムが受けるとケネスが斬撃を当ててきた。
こちらがミスリルゴーレムを攻撃しようとするとケネスが割り込んで来る。
こちらの剣が止まったところでケネスとミスリルゴーレムに散々打たれてしまった。
ずるい、汚い。
ゴーレム勝負なのに操り手が攻撃に参加するってありなのか。
やりにくい事この上ない。
ゴーレム使いに攻撃が当たったら反則負けだろう。
そうか俺も同じ事をすればいいのか。
俺はアイテム鞄から槍を出して魔力結晶ゴーレムに加勢する。
難しい。
ケネスは双子の様にゴーレムと連携しているが、こんなの練習しなきゃ出来ない。
俺の槍がケネスの胴に当たって皮鎧に弾かれた。
「今回は俺の負けだ」
俺は手を挙げて降参した。
「やったぞ。ゴーレムマスターの称号を取り戻した」
「それにしてもゴーレムの扱いが上手いな。もういっそうの事、道場でも開けよ。そうだ、ケネス無敵流を名乗るのを俺が許す」
「貴族様に名前を付けて貰えるとは光栄だ」
「もう再戦はしないからな」
無敵同士なら負けてもいいだろう。
もっとも評判なんてたいして気にしてないけどな。
ケネスが吹聴した所で俺の実績は揺るがない所まで来ている気がする。
今の俺のとりあえずの目標は立派な弟子を育てる事だけだ。
『ところでリンナはあれで良かったのか』
ライタが話し掛けて来た。
「王都の工房の件だろう。あれがプロポーズだってのは分かる」
『マリリさん一筋って訳か』
「なるようになるさ。今は時期じゃない。そんな気がする」
『このもてもて男。憎いね。ひゅーひゅー』
今、時代は激動の真っ只中だと思う。
色恋にうつつを抜かしていると生き残れないそんな気がした。
魔獣の大繁殖が収まったら色々な事に決着をつけよう。
久しぶりに屋敷に帰る。
「ただいま」
ドアを開けるとヴェラがほうきで床を掃いていた。
「おかえりなさい。お土産は」
「もちろんあるよ」
「久しぶりの再会で感極まってキスしたりしないですからね」
「それは遠慮するよ」
「泊まっていけってのも無しですからね」
「今日は一人でゆっくりしたい」
なんとなくヴェラのうざい言葉を聞いていると帰って来た気分になるな。
短い間だったが色んな事があった。
しばらくはつかの間の休息を楽しもう。
途中休憩を兼ねて、アドラムに降りる。
門の前でリンナとお別れをした。
「王都で一緒に工房をやりたくなったら何時でも声を掛けて」
「気が変わったらな」
「モリーちゃんとユフィアちゃん、頑張りなさい。あなたの師匠は最高だわ」
「頑張る」
「はい」
「じゃあ、行くわね」
リンナは街に入ろうとする人ごみに消えて行った。
「私達もしばらくアドラムに居るわ」
マリリ達一行もアドラムで降りるようだ。
「商品が無くなったら言って。輸送機で届けるから」
「ありがとう。また知らない国に行く時は声を掛けてね。支店をバンバン増やすから」
「そうするよ」
さあ、王都に帰ろう。
王都に着くとそこは何時もの賑わいで見慣れた町並みが何故か郷愁を感じさせた。
「後で王から褒美が貰えると思いますが。何が良いですか」
ランデ男爵がそう言った。
「現金が一番良いな」
「欲が無いですね。でもそれが摩擦が一番少ないでしょうね」
「領地なんか要らない。爵位もだ。自由に冒険者させてくれ」
「その要求は無理でしょうな。自由は望めない。厄介事はついて回るでしょうから」
「有名税だと思っておくよ」
ランデ男爵と別れて、孤児院の前でモリーとユフィアに話し掛ける。
「どうだった今回の旅は」
「うん、おもしろかった」
「楽しめました」
「そうか、ならまた連れて行ってやる」
「探したぞ」
皮鎧を着た冒険者風の男が孤児院から出て来て言った。
「ええっと誰だっけ」
「ケネスだよ。いいかげん覚えろよ」
ああ、ゴーレムマスターの人か。
「そうだった。何か用」
「勝負だ」
「俺もなんとなく今日はやっても良い気がするな」
草原でケネスと対峙する。
ケネスの傍らには何時ものミスリルゴーレムが居た。
何時もと違うのは両手に剣を持っている事だ。
俺は魔力結晶ゴーレムを一体出して準備を完了した。
「銅貨が地面に落ちたら勝負開始だ」
「よしやろう」
ケネスが銅貨を弾く。
地面に効果が落ちるとケネスはミスリルゴーレムが持っていた剣を一振り受け取った。
ゴーレムが剣を二つ持っていたから二刀流で来ると思ったが、違うのだな。
なんとケネスとミスリルゴーレムはぴったりくっ付いて魔力結晶ゴーレムに攻撃し始めた。
ミスリルゴーレムの剣を魔力結晶ゴーレムが受けるとケネスが斬撃を当ててきた。
こちらがミスリルゴーレムを攻撃しようとするとケネスが割り込んで来る。
こちらの剣が止まったところでケネスとミスリルゴーレムに散々打たれてしまった。
ずるい、汚い。
ゴーレム勝負なのに操り手が攻撃に参加するってありなのか。
やりにくい事この上ない。
ゴーレム使いに攻撃が当たったら反則負けだろう。
そうか俺も同じ事をすればいいのか。
俺はアイテム鞄から槍を出して魔力結晶ゴーレムに加勢する。
難しい。
ケネスは双子の様にゴーレムと連携しているが、こんなの練習しなきゃ出来ない。
俺の槍がケネスの胴に当たって皮鎧に弾かれた。
「今回は俺の負けだ」
俺は手を挙げて降参した。
「やったぞ。ゴーレムマスターの称号を取り戻した」
「それにしてもゴーレムの扱いが上手いな。もういっそうの事、道場でも開けよ。そうだ、ケネス無敵流を名乗るのを俺が許す」
「貴族様に名前を付けて貰えるとは光栄だ」
「もう再戦はしないからな」
無敵同士なら負けてもいいだろう。
もっとも評判なんてたいして気にしてないけどな。
ケネスが吹聴した所で俺の実績は揺るがない所まで来ている気がする。
今の俺のとりあえずの目標は立派な弟子を育てる事だけだ。
『ところでリンナはあれで良かったのか』
ライタが話し掛けて来た。
「王都の工房の件だろう。あれがプロポーズだってのは分かる」
『マリリさん一筋って訳か』
「なるようになるさ。今は時期じゃない。そんな気がする」
『このもてもて男。憎いね。ひゅーひゅー』
今、時代は激動の真っ只中だと思う。
色恋にうつつを抜かしていると生き残れないそんな気がした。
魔獣の大繁殖が収まったら色々な事に決着をつけよう。
久しぶりに屋敷に帰る。
「ただいま」
ドアを開けるとヴェラがほうきで床を掃いていた。
「おかえりなさい。お土産は」
「もちろんあるよ」
「久しぶりの再会で感極まってキスしたりしないですからね」
「それは遠慮するよ」
「泊まっていけってのも無しですからね」
「今日は一人でゆっくりしたい」
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