上 下
42 / 120
第2章 Sランク成り上がり編

第42話 情報を掴む

しおりを挟む
 トレントゴーレムの補充は余っていた木材で足りたが、マリリの所で雇う女ゴーレム使い用の魔木が要る。
 早速補充するためにオークの領域に出かけた。

 オークの領域で良さそうな魔木を伐採してスキルを使い乾燥。
 そして、アイテム鞄に収納した。
 百本ほど丸太を入れたが満杯になる気配が無い。
 どれだけ入るのだろう。
 まあ大きい分には問題が無い。

 ちなみにアイテム鞄、生き物は入らない。
 しかし、草木は生きたままでも入る。
 魔石が生き物でも入るって事は何か超越者なりの考えがあるのだろう。
 アイテム鞄の中でも時間は止まらない。
 食料を入れる時は気をつけないと。

 伐採のついでに薬草になる雑草を集める。
 一日掛かりの作業になった。



 帰りに材木屋に寄って魔木の値段を聞く。
 魔木の値段が下がっていなければ魔木で一財産築いたのだけど、元ゴブリンの森の開拓は今もやっていて魔木は安かった。
 やっぱりダンジョンで金策だな。

 という事で冒険者ギルドで魔道具を売る。
 種火の魔道具が二つで銀貨二十枚。
 生水の魔道具が銀貨十三枚。
 照明の魔道具が銀貨十二枚。
 オルゴールの魔道具が銀貨五枚。
 虫を遠ざける結界の魔道具が銀貨三十枚。
 斬撃を出せる魔剣が金貨十五枚。
 少し切れ味が良くなる魔剣が三本で金貨九枚。

 一番高いであろうアイテム鞄は使うので売れない。
 一日の稼ぎとしてはまあまあだ。



 やっぱり稼ぐのなら、効率が良いのはラスボスを連戦することだろう。
 飛ぶ敵に対する備えも必要だな。
 ドラゴンは当然、魔法防御を使ってくるのだろうな。
 今のところ打つ手なしだ。

 ライタの世界にある誘導ミサイルが欲しい。
 無ければ作るしかないか。
 簡易魔道具で再現できるかな。

 いや、無敵なんて物があるのかな。
 ドラゴンが無敵なんて聞いた事がない。
 過去には倒した事があるとマリリから聞いた事がある。
 調べるべきだろう。



 資料を漁り、そして分かった。
 ドラゴンは飛んでいる時は魔法防御は使えないらしい。
 なぜなら風魔法で飛ぶのを補助しているのだそうだ。
 そうだ、アースドラゴンも突進の時は魔法防御を切っていた。
 なんだ、空中に居る時は魔法で火の玉か風の刃を撃ちまくれば解決だ。
 心配して損したよ。

 でも、対空ミサイルの簡易魔道具は良い案に思える。
 要検討だな。



 雑草置き場の場所をルシアラの店に聞きに行く事にした。
 忘れてアイテム鞄に入れたままにして枯れたら目も当てられない。

「こんちは」
「おう、マリリなら出ているよ」

 ルシアラが俺を迎えてくれた。

「雑草を採ってきたんで、置き場所を教えてくれないか」
「それなら市場の外れの空き地だ。ジェファス商店借地と看板が立ててある」
「ジェファス商店?」
「ああ、すでに亡くなったマリリのじいさんの名前らしい。ニエル商店の元の名さ。最近名乗り始めたんだ」

 マリリのお父さんが商売していた時の商店の名前かな。

「そうなんだ。今日は他に寄る所があるから、もう行くよ」

 市場の外れの空き地にポットを並べる。
 薬草化は次の機会で良いだろう。
 薬草にすると警備の費用が掛かるからな。



 そろそろ、仕掛けた盗聴の簡易魔道具を回収しないと不味い。
 夕暮れの街を急ぐ事にした。
 迷彩スキルを使い見えないようにして、水魔法の流動の乗り物で移動する。
 凹凸の無い道ならかなり早いけど、普段使うのは目立つのがどうにも。

 ニエル商店に入るとネットと母親が話をしている。

「今週も売り上げ落ちてるよ」
「しょうがないよ母さん。行商に行けないんだからさ。行商は仕入れも兼ねてるんだから」
「タイン商会から安い荷を回してもらえる話はどうなってるのさ」
「リステリーさんによると十日後ぐらいらしい」
「荷が入ったらじゃんじゃん売るよ」

 会話を聞いていても仕方ないので事務所に仕掛けた簡易魔道具を回収。
 さっさと次の目的地商業ギルドに行く。

 リステリーの執務室にはお茶汲みに訪れた女職員と一緒に入った。
 リステリーの膝の上に女が座り、いちゃいちゃしている。
 リステリーは女職員の冷たい視線も無視している。
 仕事しろよと言いたいが潜入がばれるのは不味い。

「ねぇ、欲しい宝石があるの」
「なんでも買ってあげるよ。十日後に店に見に行こう」
「絶対よ。約束破ったら承知しないんだから」

 俺は椅子の後ろの棚に置いてある簡易魔道具を回収して、女職員の退出のタイミングに合わせて部屋を出た。



 ニエル商店とリステリーの執務室の分はあっけなく回収できたが、問題はタイン商会だ

 タイン商会の中に入り、天井を這ってタイン商会の四階に侵入。
 ここまでは上手くいった。
 問題はここからだ。
 どうやって執務室に入ろう。
 そうだ、リステリーの愛人になりたいと受付嬢の名前で手紙を書いて廊下に置くとするか。

 使用人の一人が廊下に置かれた手紙に気がついた。
 執務室に入る時に俺も一緒に入る。
 しめしめ、簡易魔道具は置かれた位置から動いていない。
 そばに寄り音を立てない様に回収する。

「むっ、何か気配が」

 用心棒一人が俺に気づくが、その時俺は使用人と一緒に部屋の外に出ていた。
 パタンとドアが閉まりほっと胸を撫で下ろす。
 間一髪だ心臓に悪い。



 家に帰り、簡易魔道具の分析に入った。

 ニエル商会の映像と音声からは重要な事は分からなかった。
 分かったのは店の経営が行き詰っていて、借金がある事ぐらいだった。

 リステリーの映像と音声から分かったのは女といちゃいちゃしているのと偶に手紙を書いているぐらいだった。
 手紙の内容までは分からない。
 執務室の金庫の中が見れれば申し分ないのだけど。

 本命のタイン商会の映像と音声からは色々な事が分かった。
 まず闇ギルドの残党には用心棒の一人が会いに行っているという事。
 ニエル商店は事が終わったら、全員が始末される予定みたいだ。
 そして、分かったのはタイン商会は盗賊団に伝手があり商売敵の情報を渡しているという事だ

 次の襲撃の場所と日時は分かったけど、商業ギルド長に知らせるのは悪手だな。
 情報がタイン商会に漏れてきっと空振りに終わるだろう。

 魔木のゴーレム軍団で対処しよう。
 魔木の在庫は幾らでもある。
 三十体も居れば十分だろう。
 魔力ゴーレムもついでに三十体だ。

 盗賊に対する準備がばっちり出来た。
 襲撃までにはまだ間があるので、明日からはラスボス連戦だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...