無限魔力のゴーレム使い ~無力な奴隷から最強への一歩は逆転の発想から~

喰寝丸太

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第1章 禁忌活用編

第13話 魔木で荒稼ぎ

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 魔道具の納品に行くとマリリは留守で、人に会いに行ったとルシアラが言っていた
 マリリに簡易魔道具を渡すようにルシアラに頼のみ、その場を後にする。
 さて、ゴブリン退治に行こう。

 西門から出て少し行った所の森の中は暗く不気味だ。
 この森も魔境の端っこに当たった。
 微かな物音もせずに静まり返っている。
 理由は分かっていた。
 小動物や昆虫などをゴブリンがみんな食べてしまう為だ。
 小鳥なども餌食になってしまうから、飛んでる鳥はいない。

 魔力視で空気の中の魔力を調べ驚いた。
 とても魔力が濃い、まるで光のミルクの中にいるみたい。

 よく見ると木が半分以上、魔木のようだ。
 ティルダに聞いた特徴と一致した。
 ゴブリン狩るより、この木を伐採した方が儲かるんじゃないか。

 ゴーレム十体を護衛に木を切る。
 魔力を溜めて威力の上がった3メートラの風の刃が木に向かって放たれる。
 一撃で木が何本か倒れた。

 グギャグギャと声がする。
 ゴブリンが棍棒を持って森から、わらわらと出てきる。
 何匹いるか分からないほど居るな。

 とりあえず、ゴーレムから試そう。
 ゴーレム対ゴブリンの戦闘になる。

 魔木製のウッドゴーレムの方が戦闘力ではゴブリンより上らしい。
 瞬く間に駆逐。

 ゴブリンから魔石を抜き取り、木をクレイ馬ゴーレムで引っ張って西門に戻った。

「えっーと、木は買取所で買い取って貰えるんでしょうか?」

 俺は西門の買取所で聞いた。

「依頼を受けて伐採したんじゃないのか」
「違います」
「なら、木は木材屋だな」
「それと、ゴブリンの魔石を売ります」

 ゴブリンの魔石は小さくて簡易魔道具にもマリリの売り物にもならない。

「魔石三十二個で銀貨三枚と大銅貨二枚になります。Fランクですので、ポイントが32アップです」



 材木屋は買取所から三分も歩かなくて良い、隣とも言える距離にあった。
 敷地の外まで木の爽やかな香りがして、中を覗くとスキルで板や柱を作っている。

「すいませーん。魔木持って来たんですけど」
「おや、依頼の達成かい。何時ものギルドの人と違うね」

 外から声を掛けると職人が一人様子を見に来た。

「飛び込みというか、気まぐれで木を取ってきました」
「ほうほう、木を五本ね。次に持ってくる時は枝を落としてきて欲しいな」

「そうだ、この木と乾燥した丸太と交換できませんか」
「そうだね、三本と一本なら良いよ」

 木を交換してもらい乾燥した丸太一本を貰い、残り二本はお金に換えた。
 丸太からは二体の正目の模様が美しいウッドゴーレムが完成。

「ライタ、どんな感じ」
『もの凄く扱いやすい。今までの苦労は何だって感じだ』
「へぇー、ゴーレムを作る為に魔木を切って来たんだ」

 いつの間にかさっきの職人がゴーレムを見ている。

「後八体ぐらい作るので、これからもお世話になります」
「魔木の入荷は今止まっているんだ。どんどん伐採してきてくれ」

 魔獣の活性化の影響かな。
 どうやら、ゴブリン森の木はいくら切っても良いらしい。
 元々は開拓する予定だったとか。

 木を切り始めるとゴブリンが沢山寄ってくるらしい。
 特に斧の音はもの凄く引き寄せると言っていた。

 それよりも、ゴーレムを入れて置く部屋が欲しい。
 継ぎ接ぎのウッドゴーレムも記念で保管したいな。
 そうだ、馬ゴーレムを門外の倉庫に入れる人もいたぞ。

 西門の外の馬ゴーレム用の倉庫は行商に行くルートではないのに沢山ある。
 事情を聞いたところ、オークの領域から獲った魔獣を運ぶ為に馬ゴーレムが必要なのだとか。

 十二体のゴーレムに驚かれた。
 隊列を組んで行進しているのもあって、同時に同じ動作なら出来るのですと誤魔化す。
 魔力量は一万を超える猛者もいない訳ではないようだから問題ない。
 魔法使いギルドの加入条件の一つは魔力千以上だ。
 だから、魔法使いにはごろごろとそういう奴らが居るんだろう。
 倉庫は無事借りる事が出来た。

 さあ、木を切るぞ。
 再び森に行き、伐採を開始する。
 一日で木は百本以上、ゴブリンにいたっては千匹の戦果を出した。

 魔木にも色々あって例えばネバネバの木と呼ばれている物は木を傷つけると樹液を盛んに出す。
 この樹液には虫や小鳥を引き寄せる匂いが含まれていて、くっ付いた物を養分にしてしまう。
 ゴブリンはこれを利用して小鳥や虫を獲った。
 この木が無い所にゴブリンはいない。
 この木一本の売値は銀貨三枚だ。

 値段の高い木と言えば黒鋼の木がそれになる。
 とても硬い木で高級家具の代名詞だ。
 樹齢にもよるが、丸太一本で金貨五枚以上はする。

 材木屋の庭は積み上げられた丸太で一杯になり、よその材木屋にも木を納入。
 十体のウッドゴーレムは全て丸太から作った物に切り替えた。



 冒険者クラスは一つ上のEに。
 Eランクではゴブリンを討伐してもポイントはつかない。
 グラスウルフをもう一度やるのもなんだかな。

 それより、木の代金が金貨二百枚を超えたのが嬉しい。
 一挙にお金持ちになった気分だ。
 このまま木を切り続ければ大富豪になれるかもと思った。
 しかし、ゴーレムの武器を全て鋼鉄製の剣にしたら、ほとんど無くなった。
 先は長いな。

Side:セシリーン

 この如何にも商人という風体の女がマリリか。
 到底、人殺しには見えんな。

「ようこそ。貴殿がマリリか。私は聖騎士のセシリーンだ。少し聞きたい」
「はい、なんでしょう」

「フェリライト村近くの街道で遺体を見つけてな。気になったので調べている」
「それは、伯父さんだと思います。フォレストウルフに殺されて魔力の源に召されました」

「そうか、ちなみに職業上の理由で聞くが殺人を犯した事は?」
「ありません!」

「罪状鑑定を掛けてもいいか?」
「はい、どうぞ」

「罪状鑑定。済まなかったな」

 この女は違うようだ。
 罪状鑑定は反応しない事があるとはいえ、勘が違うと言ってる。
 報告書では禁忌が六度暴走、犠牲者が必ず出たはずとあった。
 犯罪者は目を見れば大体分かる。

「どういたしまして」

「護衛の事を聞いても良いか?」
「護衛? えーと、あっ、フィルの事ね。彼ならこの街で冒険者してます」

 フィルを探るのなら、冒険者ギルドに伝言を入れておけば良いだろう。
 逃げ出すようなら黒だ。
 そうすれば、教会のある所なら指名手配できる。

 会ってみて感触で答えをだそう。
 空振りなら振り出しだ。

「伯父さんが亡くなった時に変わった事が無かったか」
「ありません」

 特に怪しいそぶりは無いな。

「そうか、手間を取らせたな」

 禁忌が暴走すれば必ず犠牲者は出るはずだ。
 この街でもここ最近、人攫いや行方不明者の情報はない。
 奴隷を使った可能性もある。
 奴隷商にここ最近売られた奴隷を聞きだし安否は確認済みだ。
 昔に買った奴隷やさらった人間を使ったという事も考えたが、旅をしているのでその可能性は薄いと見ている。
 大掛かりな組織が背後にいる可能性も考えた。
 その場合、道端で実験したり、辺鄙な村で実験するのはおかしい。

 六度も暴走して犠牲者ゼロか。
 この謎を解くのが近道な気もするが、推論より証拠だ。
 追加で届いた報告書にはアドラムの街でも禁忌の実験の失敗があったと書いてあった。
 急がねば、犯人に逃げられる。

Side out
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