402 / 409
第7章 魔王大戦編
第401話 人質と、腹下しと、祟りじゃあ
しおりを挟む
アルゴとベヒモスを伴ってアスロン侯爵軍に対峙した。
「こっちにも魔王の味方が2体いる!! 恐れることなどない!!」
あー、駄目か。
「何するんだ」
縄を掛けられた獣人が前面に押し出された。
人質を取るとは卑怯な奴だ。
一旦退くしかないか。
「アルゴ、ベヒモス、ご苦労様」
2体の魔王が退場して、アスロン侯爵軍の空気が弛緩したように見える。
そして、スケルトンの大軍が出てきた。
リッチの野郎、アスロン侯爵になんかくみしやがって。
「【マシンガン礫】」
腹いせとばかりに石弾の雨をスケルトンに浴びせる。
スケルトンはなすすべなく壊れていった。
アスロン侯爵軍はその隙に守りを固めたようだ。
盾を持って方陣を組んでいる。
今日はこのぐらいにしておくか。
俺達は獣人の村に引き上げた。
「脅しに屈せずか。上手くない展開だな」
「スパッとやらないと、ストレスが溜まるよ」
「そうはいってもな。皆殺しには抵抗がある。3割ぐらい見せしめに殺しても、敗残兵は各地で野盗になるに違いない。ひとの迷惑も考えないと」
「私達は、相手が死なないように戦闘を勝利しないといけないのですね」
「まあな。それが理想だ」
4人が話し合い始めた。
「この地を見捨てるというのはどうでしょうか。自分達で守れないのは蹂躙されても仕方ありません」
「不人情だと思う」
「こう、スカッとぶっ飛ばしてという展開に持って行きたいねぇ」
「幹部の暗殺しかないんじゃない」
それは俺も考えた。
「仕方ありませんね。毒を使いましょう。食事に混ぜれば戦闘不能です」
「蜘蛛女はすぐに毒を使う。それだと敗残兵が脱落しまくるでしょう」
「私も毒はちょっと」
「刃物に毒を塗ってスパンとやるのは賛成だけど」
毒か、うん、後始末が大変そうだ。
でも嫌がらせするのは悪くない。
兵士の1割ほどが腹を壊せば、戦闘するのが嫌になるかも。
「よし、食事に毒を混ぜよう。レクティ、腹を壊す毒で味と匂いがしないのを選んでくれ」
「はい。それですとバイ菌の出番ですね」
俺達はレクティが培養した菌を持ってアスロン侯爵軍の陣地に向かった。
姿隠しを使ってだ。
ある地点まで近づいた時に警報音が鳴った。
くそっ、敵もやるな。
姿を隠しても魔道具は欺けない。
俺は撤退の合図をした。
兵士が警報を聞いて駆けつけてくる。
「誰もいないぞ」
その時、ウサギが走り去った。
「なんだウサギかよ。モンスターでなくて良かったぜ」
「侯爵様から貸与された古代魔道具があれば、モンスターも容易いぜ」
うん、敵もそれなりに考えているようだ。
帰って作戦の練り直しだな。
「で、どうする?」
「私の出番のようね。姿を隠して空から侵入するわ」
「リニア、任せた」
リニアが服を脱ぎ下着姿になる、そして背中から蝶と蝙蝠と鳥の羽を生やした。
あまりグロテスクではないな。
見ようによっては美しい。
「キメラ女、がんば」
リニアが姿を消して飛び始めた。
さて吉報を待とう。
リニアは問題なく帰ってきた。
「出来た料理に腹下しの菌を仕込んだけど。上手くいくかどうか」
「上手く行っても行かなくても、有効な手として、次はこの遠征は呪われていると周知することだ」
「ビラを撒くのだとあまり効果が出ないでしょうね」
「そこは魔道具だ。ホログラフィで老婆を出して、呪われている、祟りだとやればいい。空から侵入できるのが分かったから、魔道具を幾つかばら撒くさ」
「固有名詞が必要ですね」
○○村の祟りじゃあみたいな奴ね。
「腐敗竜ディケイの祟りで良いだろう」
「その腐敗竜というのは?」
「物が腐るのは腐敗竜の仕業なんだよ」
「雑菌のことですか」
「まあな。人質になっている獣人に物語を吹き込め」
腐敗竜ディケイ作戦が始まった。
魔道具のホログラフィの老婆役は獣人の老婆がやってくれた。
ぼろきれを着せておどろおどろしくする。
顔によく分からない紋様を描き込んだ。
紋様はマイラがノリノリで考えた。
そして、ホログラフィの魔道具を投下。
いくつか放り込んだから、そのうちのひとつでも兵士の目に触れれば良い。
捕まっている獣人はリニアから腐敗竜ディケイの話を聞いて震えあがった。
作り話なのに信じてしまったらしい。
信じてくれた方が都合いいけど、なんだかな。
リニアが兵士の様子を偵察する。
腐敗竜ディケイの話は兵士に広まった。
迷信深いのが多いからな。
まあこんなもんだろ。
「こっちにも魔王の味方が2体いる!! 恐れることなどない!!」
あー、駄目か。
「何するんだ」
縄を掛けられた獣人が前面に押し出された。
人質を取るとは卑怯な奴だ。
一旦退くしかないか。
「アルゴ、ベヒモス、ご苦労様」
2体の魔王が退場して、アスロン侯爵軍の空気が弛緩したように見える。
そして、スケルトンの大軍が出てきた。
リッチの野郎、アスロン侯爵になんかくみしやがって。
「【マシンガン礫】」
腹いせとばかりに石弾の雨をスケルトンに浴びせる。
スケルトンはなすすべなく壊れていった。
アスロン侯爵軍はその隙に守りを固めたようだ。
盾を持って方陣を組んでいる。
今日はこのぐらいにしておくか。
俺達は獣人の村に引き上げた。
「脅しに屈せずか。上手くない展開だな」
「スパッとやらないと、ストレスが溜まるよ」
「そうはいってもな。皆殺しには抵抗がある。3割ぐらい見せしめに殺しても、敗残兵は各地で野盗になるに違いない。ひとの迷惑も考えないと」
「私達は、相手が死なないように戦闘を勝利しないといけないのですね」
「まあな。それが理想だ」
4人が話し合い始めた。
「この地を見捨てるというのはどうでしょうか。自分達で守れないのは蹂躙されても仕方ありません」
「不人情だと思う」
「こう、スカッとぶっ飛ばしてという展開に持って行きたいねぇ」
「幹部の暗殺しかないんじゃない」
それは俺も考えた。
「仕方ありませんね。毒を使いましょう。食事に混ぜれば戦闘不能です」
「蜘蛛女はすぐに毒を使う。それだと敗残兵が脱落しまくるでしょう」
「私も毒はちょっと」
「刃物に毒を塗ってスパンとやるのは賛成だけど」
毒か、うん、後始末が大変そうだ。
でも嫌がらせするのは悪くない。
兵士の1割ほどが腹を壊せば、戦闘するのが嫌になるかも。
「よし、食事に毒を混ぜよう。レクティ、腹を壊す毒で味と匂いがしないのを選んでくれ」
「はい。それですとバイ菌の出番ですね」
俺達はレクティが培養した菌を持ってアスロン侯爵軍の陣地に向かった。
姿隠しを使ってだ。
ある地点まで近づいた時に警報音が鳴った。
くそっ、敵もやるな。
姿を隠しても魔道具は欺けない。
俺は撤退の合図をした。
兵士が警報を聞いて駆けつけてくる。
「誰もいないぞ」
その時、ウサギが走り去った。
「なんだウサギかよ。モンスターでなくて良かったぜ」
「侯爵様から貸与された古代魔道具があれば、モンスターも容易いぜ」
うん、敵もそれなりに考えているようだ。
帰って作戦の練り直しだな。
「で、どうする?」
「私の出番のようね。姿を隠して空から侵入するわ」
「リニア、任せた」
リニアが服を脱ぎ下着姿になる、そして背中から蝶と蝙蝠と鳥の羽を生やした。
あまりグロテスクではないな。
見ようによっては美しい。
「キメラ女、がんば」
リニアが姿を消して飛び始めた。
さて吉報を待とう。
リニアは問題なく帰ってきた。
「出来た料理に腹下しの菌を仕込んだけど。上手くいくかどうか」
「上手く行っても行かなくても、有効な手として、次はこの遠征は呪われていると周知することだ」
「ビラを撒くのだとあまり効果が出ないでしょうね」
「そこは魔道具だ。ホログラフィで老婆を出して、呪われている、祟りだとやればいい。空から侵入できるのが分かったから、魔道具を幾つかばら撒くさ」
「固有名詞が必要ですね」
○○村の祟りじゃあみたいな奴ね。
「腐敗竜ディケイの祟りで良いだろう」
「その腐敗竜というのは?」
「物が腐るのは腐敗竜の仕業なんだよ」
「雑菌のことですか」
「まあな。人質になっている獣人に物語を吹き込め」
腐敗竜ディケイ作戦が始まった。
魔道具のホログラフィの老婆役は獣人の老婆がやってくれた。
ぼろきれを着せておどろおどろしくする。
顔によく分からない紋様を描き込んだ。
紋様はマイラがノリノリで考えた。
そして、ホログラフィの魔道具を投下。
いくつか放り込んだから、そのうちのひとつでも兵士の目に触れれば良い。
捕まっている獣人はリニアから腐敗竜ディケイの話を聞いて震えあがった。
作り話なのに信じてしまったらしい。
信じてくれた方が都合いいけど、なんだかな。
リニアが兵士の様子を偵察する。
腐敗竜ディケイの話は兵士に広まった。
迷信深いのが多いからな。
まあこんなもんだろ。
26
お気に入りに追加
1,138
あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる