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第7章 魔王大戦編

第391話 餌泥棒と、骨の利用と、テント

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 トプスとの仲は順調にとはいかなかった。
 家を建てるのにも雑草を抜く必要がある。

「餌泥棒。許さん」

 トプスが餌泥棒だと騒いだ。

『これはトプスに奉げるために採ったんだ』

 実際は邪魔だから抜いたんだが、それは言わない。

「なあみんな、捧げ物だろ」

 獣人はぶんぶんと首を縦に振った。

「分かった。ありがと」

 初めてトプスから感謝された。
 獣人たちは抜いた雑草を全部トプスに持って行って、トプスの機嫌が直った。
 トプスは食い意地が張っていて、みみっちい奴なのが分かった。
 家に使う木はどこから輸入しないとな。
 元の獣人の領域は木が多いので、とりあえずはそこからだな。

 ここの獣人が食べていく方法を見つけないと。
 野菜を食わないと病気になるのは獣人も一緒だ。
 ただ野草を摘むとトプスが怒る。

 それも輸入しないといけないとなると、大変だ。
 草食モンスターが狩っただけで暮らせるだろうか。
 獣人たちは家の柱や屋根の梁などを、トプスが殺した草食モンスターの骨で作り始めた。

 トプスに気にした様子はない。
 骨は邪魔者だったのだろう。
 獣人は骨を加工して色々な物を作り始めた。

 弓やナイフの柄などの武器。
 スプーン、皿などの食器。
 首飾りや、腕輪などのアクセサリー。
 本当に色々な物を作る。

 俺が考えなくても、彼らは必死になってやっている。
 この分だと骨のあるうちは骨製品を輸出するだろう。

 トプスが草食モンスターを殺して骨の墓場に持ってきた。

「わぁ」
「まだ待て、トプス様が去った後だ」

 はやる獣人達をリーダーが抑える。
 獣人達の目が輝く。

「よし、作業開始だ」

 トプスが去ったあと、草食モンスターの死骸に獣人達が群がった。
 皮を剥いで、肉は燻製に、爪や牙や骨も加工品になる。
 トプスが草食モンスターを狩り続ける限りは、獣人は飢えないな。
 ビタミン摂取の問題は残っているけど。

 骨製品と燻製肉の一部は交易品となり、果物に化けた。
 これでビタミン問題も解決だ。

 トプスの一日のサイクルは決まっている。
 今は何度目かの食事を終えて、居眠りの時間だ。
 獣人達がトプスに群がり寄生虫を採る。

 俺はあの虫を食う気にはなれない。
 トプスがどこから寄生虫を貰ってくるかと言えば、草食モンスターからだ。
 草食モンスターを仕留める時に寄生されるようだ。

 獣人達の家の屋根は毛皮製。
 腐ったりしないのかと心配になったが、油と防腐剤が塗ってあるらしい。
 獣人の知恵も馬鹿にならない。
 この水をはじく皮で作ったテントは王国でも売れるに違いない。

 テントの支柱は骨製が良いだろな。
 俺は獣人達に一つ作らせてみた。

 出来上がったテントに入る。
 水をはじく皮は良いんだけど、匂いがきつい。
 防腐剤と油の匂いだな。

 匂い消去魔法を作る。

import magic
smell = [] *10000 # 匂い一万立方センチ
global smell
mp=magic_make(smell,IMAGEUNDEFINED)  # 臭いを魔法として登録
magic_delete(mp)  # 臭いを消去
mclose(mp)  # 魔法を終わる

 こんなので良いかな。
 臭い消去と。
 これなら、このテントも使える。

「ふむ、私もそのテントが欲しくなった」

 使ってみてクリアも欲しがった。

「臭い消去魔法が必須だけど」
「それぐらい私にも出来る」

 テントの支柱が骨というのは案外いいな。
 軽くて丈夫だ。

 ところどころ金具を使えばもっと良くなるだろう。

「そんなんじゃ駄目だよ」

 テントを獣人から駄目出しされた。

「どこが駄目なんだ」
「臭いが抜けると虫がやってきて刺されるんだ」

 あの防腐剤の匂いは虫よけの効果もあったのか。
 匂いをなくせば良いってものでもないんだな。

「虫は魔法で退治するから平気だ」
「これだから毛なし人間は」

 獣人は魔法を使わない。
 魔法を使うことへの複雑な思いがあるに違いない。
 妬み、恐れ、憧れ、羨望、渇望、とにかく色々な思いがあるに違いない。
 獣人にも魔法を使わせてみたいな。

 草食モンスターの骨を魔法で変形させたりすれば、骨製品を作るときに楽になる。
 必要は発明の母だ。
 魔法の普及と貿易の活性化。
 特にエルフとの交易は視野に入れたい。
 骨と皮のテントはクリアにも受けたから、エルフの気に入る製品も出来るに違いない。
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