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第7章 魔王大戦編
第387話 魔王と、リトマス試験紙と、嗅覚
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魔境の植物が育つのは早い。
おそらく魔力が関係しているのだろう。
3週間で収穫できる物さえある。
モンスターの育ちも早い。
それなので肥料にする材料には事欠かない。
久しぶりにエルフの村へ帰った。
「ドラゴンと戦うのを見ていたぞ」
クリアにそう問い詰められた。
「あのドラゴンは友達なんだ。あんなのはただのじゃれ合いさ」
「お前は何なんだ?」
「ただの魔王だよ」
「侵略に来たのか?」
「もう帰れるけど、ただの迷子」
「獣人の襲撃がぱったりやんだのは何かしたんだな」
「まあね。獣人に畑を作らせている」
「そんなことしたらやつら物凄い数に増えるぞ」
「それはどうかな。土地は限られている。ただ不思議なのは、結界でも張ってあるみたいに、ある地点に踏み込まない」
「魔王がいるからだ。この土地は火竜、地竜、リッチ、ベヒモスに囲まれている。エルフもそれらの土地には踏み込まない」
4体の魔王か。
東西南北に縄張りがあるのだな。
火竜はきっとアルゴのことだから、あとの3体にも会ってみたいな。
特にリッチ。
この世界はアンデッドがいないはずだ。
どうなっているんだろう。
「彼らとも話し合いたい。獣人とエルフの居住地域を移せば、摩擦が少なくなるはずだ」
「強引な解決方法だな。魔王に相応しい」
「エルフには水生成と肥料生成の魔道具を獣人に出荷してもらいたい」
「分かった。長老たちに打診してみよう」
獣人の村の畑は上手くいっている。
気候さえよければ、野菜は水と肥料があれば育つ。
連作障害とかの知識もいるが、そこら辺はエルフに聞こう。
対価として差し出す知識が必要だな。
俺は野菜の汁でリトマス試験紙を作った。
作り方は簡単だ。
紙を野菜汁で染めれば良い。
乾かせば、完成だ。
pH、酸性とアルカリに反応する物ができたのは当然だが、なにやら塩に反応する奴だとか、鉄分に反応するのとか色々とできた。
「野菜汁からこのような物ができるとは」
呆れた様子のクリア。
「意外に気づかないものだろ」
「まあな。野菜は食う物だとばかり思ってた」
「新しい薬を作ったりするのに重宝するだろう」
「さすが魔王の知識だな」
エルフから貰った連作障害の本を読む。
ふむ、野菜の連作障害を起こすのは実を付けるのと芋が大半だ
葉物はほとんど起こさないか。
同系統の植物を続けて植えると起こす。
どれが同系統なのか、獣人に理解させられるかな。
作付けのサイクル表を作った方が早いかも。
俺は絵付きの、作付けサイクル表を作った。
獣人に渡したところ分からんと言われた。
絵は分かるけど字が読めないからな。
うーん、どうしたものか。
獣人の一人が種をこぼした。
2種類の種が混ざってしまったようだ。
獣人は器用に種を分け始めた。
見ていると匂いで判別しているらしい。
そうか匂いで判別すればいいのか。
俺はサイクル表に種を貼り付けた。
「これでどうだ」
「くんくん、何の種か分かるよ」
「1年経ったら新しい種を何粒か貼りつけろよ。そうすれば匂いが抜けない」
サイクル表の保守もエルフにやってもらわないとな。
水を掛けたり、破いたりすることがあるかもしれない。
エルフなら新しいサイクル表を作れる。
獣人の記憶力は悪くないらしい。
すぐに匂いのサイクル表をまる暗記してしまった。
「どうだ?」
俺は獣人に土の状態を聞いた。
「くんくん、この土のだと肥料が足りない。水も足りてないね」
うわっ、匂い万能説。
人間である俺には分からない感覚だ。
案外、獣人に農業は向いているかも知れない。
微量な匂いを嗅ぎ取る魔法は作れる。
ただ、表示が文章になるから、ニュアンスの違いを理解できないかも知れない。
import smell
str = smell() # 匂い
print(str) # 結果表示
こんな魔法だけど、湿った牧草の匂いとか、乾いた牧草の匂いとか言われても分からない。
世界システムはきっと匂いを嗅いだら人がどう言うかを参考にしているのだろう。
獣人は匂いを敏感に感じ取る職業が合っているな。
調香師とかソムリエとか、他にもまだあるかも知れないが、いつかスライダー国に招待してみたいものだ。
エルフと獣人が魔境で暮らすようになった経緯は分からないが、たぶん人間との競争に負けたのだろう。
古代の人間の魔力量は今の何千倍はあったと文献にある。
そりゃ勝てないよね。
エルフと獣人とは国交を結びたいものだ。
おそらく魔力が関係しているのだろう。
3週間で収穫できる物さえある。
モンスターの育ちも早い。
それなので肥料にする材料には事欠かない。
久しぶりにエルフの村へ帰った。
「ドラゴンと戦うのを見ていたぞ」
クリアにそう問い詰められた。
「あのドラゴンは友達なんだ。あんなのはただのじゃれ合いさ」
「お前は何なんだ?」
「ただの魔王だよ」
「侵略に来たのか?」
「もう帰れるけど、ただの迷子」
「獣人の襲撃がぱったりやんだのは何かしたんだな」
「まあね。獣人に畑を作らせている」
「そんなことしたらやつら物凄い数に増えるぞ」
「それはどうかな。土地は限られている。ただ不思議なのは、結界でも張ってあるみたいに、ある地点に踏み込まない」
「魔王がいるからだ。この土地は火竜、地竜、リッチ、ベヒモスに囲まれている。エルフもそれらの土地には踏み込まない」
4体の魔王か。
東西南北に縄張りがあるのだな。
火竜はきっとアルゴのことだから、あとの3体にも会ってみたいな。
特にリッチ。
この世界はアンデッドがいないはずだ。
どうなっているんだろう。
「彼らとも話し合いたい。獣人とエルフの居住地域を移せば、摩擦が少なくなるはずだ」
「強引な解決方法だな。魔王に相応しい」
「エルフには水生成と肥料生成の魔道具を獣人に出荷してもらいたい」
「分かった。長老たちに打診してみよう」
獣人の村の畑は上手くいっている。
気候さえよければ、野菜は水と肥料があれば育つ。
連作障害とかの知識もいるが、そこら辺はエルフに聞こう。
対価として差し出す知識が必要だな。
俺は野菜の汁でリトマス試験紙を作った。
作り方は簡単だ。
紙を野菜汁で染めれば良い。
乾かせば、完成だ。
pH、酸性とアルカリに反応する物ができたのは当然だが、なにやら塩に反応する奴だとか、鉄分に反応するのとか色々とできた。
「野菜汁からこのような物ができるとは」
呆れた様子のクリア。
「意外に気づかないものだろ」
「まあな。野菜は食う物だとばかり思ってた」
「新しい薬を作ったりするのに重宝するだろう」
「さすが魔王の知識だな」
エルフから貰った連作障害の本を読む。
ふむ、野菜の連作障害を起こすのは実を付けるのと芋が大半だ
葉物はほとんど起こさないか。
同系統の植物を続けて植えると起こす。
どれが同系統なのか、獣人に理解させられるかな。
作付けのサイクル表を作った方が早いかも。
俺は絵付きの、作付けサイクル表を作った。
獣人に渡したところ分からんと言われた。
絵は分かるけど字が読めないからな。
うーん、どうしたものか。
獣人の一人が種をこぼした。
2種類の種が混ざってしまったようだ。
獣人は器用に種を分け始めた。
見ていると匂いで判別しているらしい。
そうか匂いで判別すればいいのか。
俺はサイクル表に種を貼り付けた。
「これでどうだ」
「くんくん、何の種か分かるよ」
「1年経ったら新しい種を何粒か貼りつけろよ。そうすれば匂いが抜けない」
サイクル表の保守もエルフにやってもらわないとな。
水を掛けたり、破いたりすることがあるかもしれない。
エルフなら新しいサイクル表を作れる。
獣人の記憶力は悪くないらしい。
すぐに匂いのサイクル表をまる暗記してしまった。
「どうだ?」
俺は獣人に土の状態を聞いた。
「くんくん、この土のだと肥料が足りない。水も足りてないね」
うわっ、匂い万能説。
人間である俺には分からない感覚だ。
案外、獣人に農業は向いているかも知れない。
微量な匂いを嗅ぎ取る魔法は作れる。
ただ、表示が文章になるから、ニュアンスの違いを理解できないかも知れない。
import smell
str = smell() # 匂い
print(str) # 結果表示
こんな魔法だけど、湿った牧草の匂いとか、乾いた牧草の匂いとか言われても分からない。
世界システムはきっと匂いを嗅いだら人がどう言うかを参考にしているのだろう。
獣人は匂いを敏感に感じ取る職業が合っているな。
調香師とかソムリエとか、他にもまだあるかも知れないが、いつかスライダー国に招待してみたいものだ。
エルフと獣人が魔境で暮らすようになった経緯は分からないが、たぶん人間との競争に負けたのだろう。
古代の人間の魔力量は今の何千倍はあったと文献にある。
そりゃ勝てないよね。
エルフと獣人とは国交を結びたいものだ。
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