異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第6章 特使編

第344話 魔石泥棒と、捜査と、発信機

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 とりあえず、対処は侵攻が始まってからで良いだろう。
 ステータスアップの魔道具さえあれば一方的に負けることは考えられない。

「泥棒が多発している。盗まれたのは魔石だ」

 街に戻るとトレンがそう報告してきた。
 魔石なら隠しておけよと言いたいが、ディッブ人ならではの理由があるに違いない。

「なぜ、魔石を厳重に保管しておかなかったんだ」
「なぜ?」
「魔石は金貨と同じだぞ。価値があるものだ。だから盗まれないように対策しておく」
「そんなことをしたら誇れないじゃないか」

 ええと魔石は誇りか。
 というとトロフィーと一緒か。
 強大なモンスターを倒したという証拠なのだろう。
 そういえばジェフトの家でも魔石が飾ってあった。

「どこの家でも飾っているのか?」
「もちろん」

 それは簡単に盗まれるな。
 応接間に飾ってあるのだろう。
 盗んでくれと言わんばかりだ。

「盗まれたら悔しいよな」
「それほどでもないな。モンスターなどまた狩れば良い」

 大らかと言うか、なんと言うか。
 俺は捜査に乗り出した。

「ええと、盗まれた時の様子を話してくれるか」
「カイリリ・モイ・テクチカ・クチセセイミイシ・テクイミ・ニカ・テチト・トカラリイミ」

 リッツが翻訳する。

「ニ・シラミやカ・ノミラテ」
「分からないって」

「ソラモイ・カラ・カクニミノ・ラハ・ニカネ・ニ・カクニミノ・ニ・モイカ・チ・ハスニイミシ」
「友人と会っていた気がするってさ」

「ニ・ソチミやカ・スイモイモコイス・モン・ハスニイミシやト・ミチモイ」
「友人の名前は思い出せないって」

 この手口は催眠術師だな。
 れいの催眠術師の残党がやっていると思う。
 狙われているのは一般家庭が多い。

 これじゃ警備の手が足りない。
 罠を仕掛けるのがいいな。

 魔石を魔道具化して発信機代わりにするのはどうだろう。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>

extern void time_wait(long time_ms);

void main(void)
{
 while(1){
  system("dir > カニキクカ"); /*情報を俺に送る*/
  time_wait(60000); /*600秒待つ*/
 }
}

 こんな感じの簡単な魔法だ。
 俺はいくつか魔道具を仕掛け、賊が網に掛かるのを待った。

 待っている間は暇だ。
 眠っても困るので、リバーシをみんなとやる。
 夜、寝静まった頃に動きがあった。
 魔道具は現場の状況を刻一刻と伝えてくる。

 盗んだ者の神秘魔法名は魔道具で分かっている。
 場所の情報も送られているから、捕まるだろう。
 俺はトレンを呼び出して指示を出した。

「逃げられた。トクニカ」

 アマゾネスが帰ってきて、トレンに報告。
 トレンは悔しそうに顔をゆがめた。

「全員か」
「実行犯は自殺した。魔石がどこにもないんだ」
「ああ、魔石は移動中だな。サバンナのどこかだ。地名がない場所は探知できないんだ。運んでいる者の神秘魔法名は分かるけど、たぶん捕まえられないな」
「貴殿が言うのならそうだろう」
「くそう。自爆装置でもつけておけば良かった。まさか、逃げられるとは。相手もまるっきり馬鹿じゃないか」

 盗まれた魔石は、魔闘術破りの魔道具の量産に、充てられるのだろう。

「さて、どうするか?」

 俺は思案した。
 ロータリの陣を潰すというのは出来る。
 ただ、特使の権限を越える。
 国で俺の排斥論などが出たら、それはそれで厄介だ。
 ディッブの面目というのもある。
 潰したら、根に持ちそうだ。

「サバンナに誘い込んで、始末したらいかがです」

 レクティがそう助言した。

「でも俺が始末したら不味いような」
「攻め込んで来たら戦争です。同盟国として手助けしたと言えばいいのでは」
「それもそうだな。その時には無双するとするか」

「魔王の本気を見せられたら、ディッブ人は属国になるとか言い出しそうだ。強い者には従うのがディッブだ」
「それで俺が衰えたら、反乱を起こすのだろう」
「それもディッブだ」

 そんな属国は要らん。

「スライダー以外は更地にしてしまえば良いのよ」

 マイラが物騒なことを言い始めた。
 セレンのメテオ魔法でも更地に出来るけどもな。
 敵を作ってばっかりだと、あとでしっぺ返しを食らいそうだ。

 ロータリも何か考えないとな。
 あの国は商売の利で考えているから、今回の戦争でディッブを征服できなければ、とうぶん大人しくなるに違いない。
 ロータリが戦争に負けて、立て直すまでの時間に何とか手を打つさ。
 これは規定路線だ。
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