異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第6章 特使編

第328話 同盟破棄派と、ドラゴンと、楽しみ

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 ジェフトが話したいことがあると言ってきた。

「何かな?」

 俺はジェフトの屋敷に出向き、尋ねた。

「同盟を破棄しろと、どこからも力を借りたくない同盟破棄派が騒いでる」

「どうなんだ。同盟をひっくり返されそうか」
「いいや試合には勝てそうにないから、かげで騒いでいるだけだ。だが多数派だから侮れないのだ。上級戦士の誰かが動くかも知れぬ」

「試合には負けないつもりだけど」
「連戦になるかも知れない。貴殿とて集中力に限りはあろう」

「その時はマイラとリニアにでも出て貰うよ」
「女を出すと侮られて更に同盟破棄派が増えるぞ」
「そんなの気にしないよ」

「大変です。ドラゴンが出現しました」

 下級戦士が報せにきた。

「上級戦士を集めろ」

 慌ただしくなった。
 俺もジェフトについて行く。

 アルゴを二回りぐらい小さくしたドラゴンが城壁の外側に見えた。
 上級戦士達は手足を光らせ、ドラゴンに立ち向かっていく。
 上級戦士をうるさい蠅みたいに手足を使い叩きのめすドラゴン。
 どうした。
 ディッブの戦士の力はそんなものか。

 まあ、死人は出てないようだから、互角と言えば互角なんだろうけど。
 ドラゴンクラスだと上級戦士でも手こずるんだな。

 ドラゴンが打たれ強いってのもあるのだろうけど。
 ドラゴンがブレスを吐く。
 上級戦士達は手を光らせ突き出して盾にした。

 おー、ブレスを防いでる。

「同盟の力をお見せしましょう!!」

 俺は魔法で大声を出して呼び掛けた。

「【リフト】【必滅掌】」

 ドラゴンの頭の横に浮かび上がり、頭にそっと手の平を添えた。
 そして、魔力の衝撃波がドラゴンを襲う。
 ドラゴンは脳震盪を起こして倒れた。

「言葉は分かるか。分かったら、もうここには来るな」
「ガウウン」

 ドラゴンは言葉が分かったのか、逃げて行った。

「クナモニリニチカニラミ」
「ニトミやカ・カクニト・ミラカ・チミ・チリリニチミソイネ・コナカ・チ・ヒチトトチリ・トカチカイ・ラハ・トリニシイスめ」
「ニ・クチヒイ・カラ・カスチニミ・モラスイ」

 上級戦士達はしょげている。

「リッツ、何だって?」
「屈辱だと、これではスライダーの属国ではないかと、もっと鍛えねばと言っている」

「これで同盟破棄派はとうぶん黙るだろう」

 ジェフトがそう言った。

「魔王との間にはこんなに開きがあるのか」

 トレンも来て、驚愕した口調でそう言った。

「どっちかと言うとモンスター相手の方が得意だな。人間だと殺さないように手加減するのが難しい。ドラゴンも知能は高いから殺さないけど」
「手加減してあれか。貴殿の底はどこにある」
「強敵だと100万魔力で魔法を使っているけど、1億ぐらいは平気だろう。ただ地形が変わるからやらないけど」
「ラク・モン・キラシ」

 ミカカ語は分からないけど、トレンの表情をみるとそんな馬鹿なと言っているに違いない。

「ドラゴンよりディッブ人の議会を操作する方が大変だ。分からず屋が多過ぎる」
「議会は単純だ。武力を持つ者の発言力が強い」

 そうトレンが言った。

「それじゃ駄目なんだ。俺が壮健なうちはいいよ。戦えなくなったら、また騒ぎ始めるだろう。そんなのじゃ駄目だ。それに俺はディッブに何時までもいられない。俺が去ったら騒ぎ出すのだろうな」
「それは仕方ない」
「仕方ないじゃ、来た甲斐がない。成果を出さないと」
「成果なら出ているぞ。是非、腕を上げた陶芸を見てくれ」
「じゃあ、拝見するとしようか」

 トレンに案内されて、工房に出向く。
 そこには色とりどりの焼き物が並べられていた。
 青磁みたいなのもある。
 緑色や青や赤や白もある。
 少しみない間に進歩したな。
 ディッブ人の陶芸は窯を使わないから、偶然できたみたいな面白みがない。

 だが、特産品としては十分だ。

「見事だ」
「私も陶芸をやって奥義をひとつ会得した」

 そう言ってトレンが手を光らせる。

「何の技か分からないけど、おめでとう」
「だが、私の伸びしろはここまでのようだ。いくら陶芸に打ち込んでも進歩がない」
「じゃあ次は、鉄製品を作れ。砂鉄なら地中にいくらでもある」
「地面の土から鉄を集めるのか。それは奥義にもない技だな」
「魔力で干渉して、鉄製品が作れるはずだ」
「やってみよう」

 トレンが地面に手を置いた。
 そして、くず鉄みたいな物を作った。

「不純物が多いな。鉄だけを取り出すようにしないと」
「難しい。陶芸は土から形を作るだけで済んだのに」
「精進だ」
「ところでこれを鍛えるとどんな技が可能なのだ?」
「知らん。でも面白そうだろう」
「トナスイ。こういう考えが貴殿の強みなのだな」

 トレンは頷きそう言った。

「そうだ。魔法を作るのは楽しんでやっている」

 鉄製品ができたら特産品になるな。
 それもまた良いだろう。
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