異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第6章 特使編

第310話 サバンナと、通過儀礼と、戦利品

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 ディッブ国のサバンナ地帯を大邸宅が飛行する。
 景色は灌木とちょぼちょぼと高い樹が生えているだけの場所。

「こんな場所で暮らすのは大変だな。もっとも水は魔法で出せるから何とかなるかも知れないけど」
「ディッブ人しか知らない秘密の井戸があるんだよ」

 リッツが自慢げに教えてくれた。

「しかし、住んでいるモンスターは凶悪なのばかりだ」

 眼下に見えるモンスターを見て俺は言った。
 前世の象の何倍もあるモンスターが闊歩しているのだ。

「ディッブ人の男は一人でモンスター倒すのが通過儀礼なんだって」
「リッツも挑戦するのか? トレンに認めて貰いたいんだろ」
「くっ、男にはやらねばならぬ時がある。ソ・ミミカ語の呪文さえあれば出来るはずだ」
「頑張れよ」

「くそう、何で誰も止めないんだ」
「止めて欲しかったのか」

「同志よ、この飛んでる家の庭から魔法を降らせてみたらどうだ」

 ベークがアイデアを出した。

「ありがとう。それなら、俺にもできる」

 そんなんで良いのかよ。
 安全地帯から嵌め技を使うなんて、男らしくない。

 トレンはもくもくと筋トレしていて、興味を示さない。
 リッツ、無視されているぞ。
 呆れられているだけかも知れないが。

 リッツ達が庭に出て行く。

「前進を停めてくれ!」

 家を操縦している文官に向かってリッツが叫んだ。
 家がゆっくりと停まる。

 窓から見ていたがリッツは魔法を撃ち始めた。
 30発ほど魔法を撃ってなんとか仕留めた。

 俺は庭に出てみた。

「通過儀礼はまだ終わってない。戦利品を死骸からはぎ取って持ち帰らねば」

 トレンも外に出て来てそう言った。

「えっ」

 倒したモンスターの死骸には肉食のモンスターが群がっている。
 さあ、リッツよ、降りて勇気を示すのだ。
 リッツの顔は青くなり、冷や汗をかいているようだった。

「がんば」

 俺はリッツの肩を叩いた。

「同志、どうしたらいい?」
「僕が考えるに、死骸が骨と皮になって、モンスターが散ってから、下に降りるべきではないかな」

「そんなに待てないぞ」

 俺は無慈悲に告げた。

「魔法で引き寄せればいいんだ」

 まあ、安全にやるんだったらそうだな。
 ソ・ミカカの魔法を作り出すには、C言語の呪文が必要だ。
 それを考えたのかリッツは俺を見つめた。

「条件次第では魔法を作ってやる」
「分かった。ディッブ国にいる間の通訳は無料でする」
「おも研のメンバー全員からの要請に応えろよ。それと期限は一生だ」
「くっ、足元を見やがって」

「文句があるのか。嫌だったら家を進ませるぞ。この特使の一団で一番偉いのは俺だからな」
「もってけ泥棒」

 まいど。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <conio.h>

extern MAGIC *magic_make(char *obj,int obj_size,int imege);
extern void magic_lift(MAGIC *mp,int lift_height_cm);
extern int mclose(MAGIC *mp);

char bone[100000]; /*骨*/
void main(void)
{
 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 int i=0;
 mp=magic_make(bone,sizeof(bone),IMAGEPIPE); /*骨を魔法として登録*/
 while(1){
  magic_lift(mp,i); /*石を浮かす*/
  i++;
  if(kbhit()) break; /*何か入力されたら止める*/
 }
 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}

 ベークとリッツで翻訳して、ソ・ミカカ語の魔法が完成した。
 魔法で骨がゆっくりと持ち上げられて、僅かに付いている肉と皮も一緒に持ち上がる。
 リッツが血まみれになって、やっとのことで庭に残骸が引き上げられた。

 うわっ臭いな。
 腐敗が既に始まっている。
 内臓の匂いかも知れない。

「しかし、でかいな。餌はどうしたんだ。草食獣の餌がふんだんにあるとは言えないぞ」
「河があるんだ。それも形を常に変えるのが。河ができた跡は緑の絨毯ができるんだ。イミキリニトク・ミカカ語で、キスイイミ・スラチシというらしいよ」
「そうか。草食獣は河を追って常に移動しているんだな」
「そうみたい」

 定住する環境ではないな。
 ディッブ人は狩猟民族らしい。
 相手がモンスターだと強くなるのも頷ける話だ。

「それにしても家がないな。どこで暮らしているんだろう」
「草食獣を追って、テント暮らしらしい。首都は違うらしいけどね。首都は森の中にあるとトレンが言っていた」

 ディッブを豊かにするなら、魔法で水を出して、畑をやるべきだな。
 モンスターの対処ができれば、開拓は容易いだろう。
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