異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第6章 特使編

第308話 どこに行くのと、風でなぜ切れると、星の意思

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 ゆっくりとした速度で家が飛んで行く。
 30人が暮らせる規模の邸宅に特攻をかけようとするモンスターはいない。
 平和な物だ。
 家を降ろせる場所は限られるので、途中で観光などができないのが、難点だ。

 飛ぶ板で降りていくのは出来るんだけども、高所恐怖症にはつらい。
 問題になるのはトイレ。

 そこで活躍するのが魔法。

char dirt[100000]; /*汚れ百万立方センチ*/
extern MAGIC *magic_make(char *target_obj,int target_size,int image);
extern void magic_delete(MAGIC *mp);
extern void mclose(MAGIC *mp);
void main(void)
{
 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 mp=magic_make(dirt,sizeof(dirt),IMAGEUNDEFINED); /*汚れを魔法として登録*/
 magic_delete(mp); /*汚れを消去*/
 mclose(mp); /*魔法を終わる*/
}

 それがこれ、大規模汚れ消去魔法。
 消えた物質がどこにいくか考えると、なかなか答えは出ない。

 魔法は基本的に召喚魔法だから、地中深く葬り去られているのかも知れない。
 宇宙に放出されて、降って来るとかは嫌だな。
 魔力消費量からすると地中の線が濃い。

 だが、謎空間にという説もありえる。

「何考えてたの?」

 リニアにそう問われた。

「魔法って不思議だなと」

 汚物の行く先だと、答えたくなくてやんわりとぼかして答えた。

「そうね。風で物が切れたりするのも不思議」
「あれは真空で吸い出して斬っているんだ。あれ待てよ。切れないよな」

 よく考えると切れない。
 俺は考え始めた。

「ええと【真空】。うん斬れない」

 試しに紙に真空をぶつけたが斬れない。
 空気が吸い出されて、紙に穴が開いただけだ。

「【風の刃】」

 今度はスパっと刃物で斬ったようになった。

 違いはどこにあるんだ。
 刃をイメージしているかどうかだ。
 真空の中に刃ができるのか。

 何の刃だ。
 真空に存在する物。
 魔力しかないだろう。

 魔力は体の中に重なって存在している。
 魔力で物を斬れたりするという話は聞いた事がないな。
 斬れるなら体がズタズタになっている。

 ああ、真空プラス魔力の刃が、風の刃の正体だ。
 真空にすると、魔力の性質が変わるのだろう。
 空気が鞘みたいなもんだ。

 面白い性質だ。

「何か分かったの?」
「風の刃は存在しない。真空と魔力の刃というのが正しい」
「真空という言葉は聞いた事がないわ。難しいのね」
「真空というのは物質がない状態だ。宇宙空間は真の真空とは言い難いが、まあ真空だと言って良いだろう」
「空の上は空気がないのね。なんで知っているの?」
「魔力にとって物質は鞘みたいな物らしい。真空にするとその性質を現す。だけど深く斬れたりはしない。物質に触ると刃の性質が無くなるからだ」

 何で知っているのという問いを誤魔化した。

「なぜ真空になると性質が変わるのかしら」
「えっと」

 またまた、難問だ。
 魔力は人間の感情というか精神エネルギーみたいなもので、色々な魔法に姿を変える。
 体の中にあるうちはニュートラルという状態がない。
 自然界にあるときはどうなのだろう。

 星の意思の影響を受けているのかな。
 星に意思があるとしたら面白い。

「たぶんだけど、星に意思があって空気にその意思が含まれるんだ」
「星に心があるの?」
「分からないけど」
「ちょっと待って」

 リニアは手を突き出して、神経を集中した。
 風が吹いた。

「凄い。魔法じゃないよね。どうやったの」
「星と共生してみたけど、戦いには使えなさそうな力ね」
「上手く使えば地形とかも変えられるんじゃない」
「そう上手くは行かないみたい。星は必要のない変化を好まないから。風は常に吹いているから許してくれたようね」

 星に意思があるなんて凄い発見だ。
 あんまり役に立たない発見だけども。

 風の刃、改め、真空魔力刃は良い攻撃だ。
 マイラ以外に見えないと思うからだ。
 威力が低いと思っていたけど、本質をつかんだいまなら、高出力の攻撃ができると思う。

 何にでも意味はあるらしい。
 ただ気がつかないだけだ。

 リニアは脳筋が入っているけど、意外に賢いかも。
 判断する元になる知識が足りないだけかも知れない。
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