異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

文字の大きさ
上 下
301 / 409
第5章 魔戦士編

第301話 大掃除と、断捨離と、物の美しさ

しおりを挟む
 10月がやって来て、大掃除の季節。
 収納魔法の中の物を片付けたいと思う。

 靴下が出てきた。
 もちろん着替えのための物だから洗ってある。
 でも何年か前のだから、サイズが合わない。

「ちょっと懐かしいな」
「その柄なら覚えている。バリアブル動乱の時に履いてた奴ね」

 マイラが俺の片づけを手伝ってくれるようだ。

「狼モンスターの毛皮もあるな。魔導師が被っていた仮面もある」
「捨てるの?」
「いいや整理して収納魔法の中に入れておく」
「タイトは物を捨てられない人ね」

 バックアップとか消せないんだよな。
 消すと必要になった場面が出てくると大慌てだ。
 仕事柄、バックアップは消せないと思っている。
 そのソフトが使われなくなってもだ。

 他のソフトでそのプログラムが必要になったりもする。
 バックアップ=財産みたいな感じだ。

「オルタネイトの領地の本宅も、ガラクタが山ほどありますわ」

 レクティも話に入ってきた。

「どんなのがある」
「何代か前の当主が討伐したモンスターの骨などは、保管しておく意味があるのか常々思います」

 俺は慌ててモンスターの骨を収納魔法に入れた。

「骨は要らないよな」
「ドレスも流行遅れになるので要らないと思うのですが、実家のクローゼットの肥やしになってますわ」

 くそう、昔着た服もとってある。
 レクティの方が片付けが上手いように思える。

 たぶん容赦なく捨てているのだろう。

「古くなったら捨てるのは基本だ」

 ベークがそう言った。
 ベークは捨てる派のようだ。

 思い出の品って捨てられないんだよな。
 突然必要になる事がある。
 1年経って使わない物は処分した方が良いらしい。

「私の思い出の品は故郷と共になくなりました」

 悲しそうにラチェッタが言った。
 そんな事もあったな。

 そう言えば、前世の記憶が戻る前の品は持ってない。
 元バリアブル邸に保管されているのだろうか。
 あそこはニオブの品物もあるんだろうな。

 処分した方がいいのかな。
 いや、これも歴史だ。
 確かに古い品は要らないように思うが、積み上げてきた歴史のようにも思える。
 よし、保管する建物を地下に作るか。

 場所は適当でいいな。
 思い立ったが吉日。

 俺は王都を出て街道から外れて森に入った。
 鉄筋コンクリートで地下室を作る。
 場所は誰にも秘密だ。

 マイラ辺りにはばれているかもしれないが。
 収納魔法の中にあった1年経っても使わない物を収納した。
 ふうスッキリした。
 でもこれはDVDを焼いてデータを保管した行為となんら変わりがない。

 減っているわけじゃないんだよな。
 場所を移しただけ。

 学園に帰って、部室の片づけを手伝う。

「片付けは、さっぱりして、すっきりしますけど、どこか物悲しいですわ」
「ラチェッタ、新しい物で心を満たせば良いんだよ。僕が満たしてあげるよ」
「思い出の品は何物にも代えられません」

「ベーク、さっきの発言はマイナスポイントだな。プラスにしてみろよ」
「ラチェ、新しい思い出の品を作ろう。きっと気に入るさ」
「ベーク様、気遣いありがとうございます」

 まあまあだな。
 俺なら過去にあった品物を魔法で復元する。
 粉々になっても魔法なら復元できるはずだ。
 でも、物は壊れる所も良いのかも知れない。
 物が壊れると、いつまでも古い事にしがみつくなよと、言ってくれているような気がする。

「マイラはあまり物に対する執着がなさそうだ」
「違う、スラムでは自分の物が無かった。すぐ人に盗られてしまうから。だから、結婚記念ホールみたいなのを作ったのかも」

 何か、永久に残る物でも作ってみようか。
 タイムスタンプを操作すれば時間は止められる。
 その魔道具に、魔力自動供給システムを付けるだけだ。

 その行為を思い浮かべて辞めた。

「何か思われたのですね」

 レクティがそう言った。

「物は壊れるから美しいという面もあるような気がする」
「滅びの美学に通じるお話ですか」
「そこまでは考えていないけど」
「滅びは負け。美しい負けなんか存在しない。美しさは常に勝利にこそある」

 マイラらしいな。

「違うわ。美しさは多様性の中にあるの。だから物を保管しておくのは大切。そして多様性は変化をもたらす」

 リニアがそう言った。

「ええと、美しさは心の中にあると思います。物にある美しさはいずれ色あせる」

 セレンがそう言った。
 何となく深い考えのになった。
 美しいと感じるプログラムは確かにある。
 俺はそれを追求して残していかないといけないのかな。
 何となくそう思った。

――――――――――――――――――――――――
 鉄筋コンクリート魔法。
 別に読む必要はありません。

extern MAGIC *magic_make(char *obj,int obj_size,int imege);
extern void magic_alchemy(MAGIC *mp,char *process_data);
extern int mclose(MAGIC *mp);

char concrete[1000000]; /*合成する物質100万立方センチ*/
void main(void)
{
 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 char process[10]; /*工程データ*/


 mp=magic_make(concrete,sizeof(concrete),IMAGE_LIQUID); /*コンクリートを魔法登録*/

 process[0]=PLASTER; /*石膏*/
 process[1]=BAKE; /*焼く*/
 process[2]=WATER; /*水*/
 process[3]=VOLCANICASH; /*火山灰*/
 process[4]=SAND; /*砂*/
 process[5]=LIME; /*石灰*/
 process[6]=MIX; /*混ぜる*/
 process[7]=REBAR; /*鉄筋*/
 process[8]=DRY; /*乾かす*/
 process[9]='\0'; /*終わり*/

 magic_alchemy(mp,process); /*プロセスに従って錬金*/
 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。 果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

処理中です...