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第5章 魔戦士編
第298話 ネズミと、薬草と、治療
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待ちに待ったネズミからの伝言魔法が入る。
報告のあったのは22番のネズミ。
その匂いをリニアが辿って。
「あった。あれじゃない、アレグラジオン草」
「間違いない。こんな特徴的な薬草を間違えないよ」
良かった。
セレンが摘み取って刻んで、煮込む。
漉したら、薬の完成だ。
「飲んでみて」
「頂きます」
注目の中、ラチェッタが薬を飲む。
ベークの息を飲む音がやけに大きかった。
そして、ラチェッタが咳止めの魔道具を外す。
「ごほ、ごほ、ごほっ」
駄目か。
「諦めることはないわよ。薬と言っても即効性があるとは限らないから、大抵はじんわり効いてくるものなのよ」
セレンの言う事ももっともだな。
しばらく様子を見よう。
それから1時間。
咳がぴったりと止まった。
「薬が効いたのかな?」
「診てみる」
俺の問いを聞いて、セレンがラチェッタを診察する。
「治っているのは確かだけど、薬の影響かどうかははっきりしないのよ」
なんともあやふやなセレンの答え。
「残った薬と薬草で実験してみるしかないな」
「そうね。持って帰って実験しましょ。論文に書いてみたいわ」
さてと、これから後始末が大変だ。
うるさく伝言魔法を飛ばされたらかなわない。
ネズミに付けた魔道具を全て回収しないとな。
もっと良い、破棄の方法を考えておくべきだった。
100回作動させると自壊するような仕組みとか。
まあ、いいか。
これもいい訓練になるだろう。
薬草クエストが、ネズミ追跡クエストに切り替わった。
ベーク達に良い経験だろう。
ネズミの大半は食われていた。
これを突き止めるのは簡単だ。
ネズミの神秘魔法名が存在するか調べれば良い。
なので追跡クエストは半分で済んだ。
22番のネズミはなぜかセレンが確保した。
他にも数匹確保したみたいだ。
「それ、どうするんだ?」
俺はセレンに尋ねた。
「実験にでも使うつもり」
「気をつけろよ。病気を持っている可能性もあるからな」
「ウイルス性なら罹った時点で、ウイルス除去の魔道具があるわ」
「絶対ではないから」
「気をつける」
魔境から、安全運転で帰る。
一度薬を飲んだだけなのにラチェッタの病気は再発しない。
前世でも1粒飲んで治るような薬は少なかったように思う。
確かに風邪薬とか飲むと少し楽になった。
だが1粒で完治はしない。
1週間ぐらいは服用しないと効果がない物がほとんどだ。
王都に帰って、セレンは精力的に動いている。
ほどなくして、論文がまとまったので、俺達はそれを読んでいた。
「アレグラジオン草は、永続的な効果は無かったわ。症状の緩和効果はあったけどね」
セレンが結果を述べた。
「でもラチェッタは治っている」
「たぶんだけど、他の要因ね」
「なんで治ったか分かっちゃった」
「マイラには分かったのか。もったいぶらずに教えてくれ」
「魔力に過剰反応するんでしょ。慣れたのよ。チンピラが激戦区に行って、喧嘩しまくって、大人しくなるように」
「毒とか薬は摂取し続けると、慣れますわね」
「動物も慣れない環境でも次第に慣れます」
あー、魔力濃度の問題なのかも。
ラチェッタの病気は魔境に近づくにつれ悪化した。
その原因は魔力が濃くなったと考えれば納得できる。
「魔境の高濃度の魔力にさらされて、治ったのかも知れない。ショック療法という奴だな」
でもこれは非常に危険な行為に思える。
アレルゲンを摂取しないのが一番の近道だな。
でも魔力ではそうはいかないので仕方ないのかも知れない。
「魔力を濃くする魔法は作れる?」
「作れると思う」
魔力過敏症の人に、魔力濃度を濃くした場所で、何日か過ごしてもらった。
もちろん、医者の立ち合いの上で、抑制と咳止めの魔道具を装備してもらってもいた。
全員ではないが、大半の人が治ったようだ。
まだ病気の完全解明とはいかないらしい。
追加で出されたセレンの論文はかなりの評価を得た。
抑制の魔道具を売り出したところ、売れに売れた。
あれは花粉症などにも効くからな。
「アレルギーの抑制魔法を教えてよ」
ベークがそう言って来た。
売れる魔道具を出すとこれだからな。
「交換条件はなんだ?」
「ネズミの世話をやる。餌と水やりは魔道具がやってくれるんだろ。毎日一回掃除ぐらいわけないさ」
「まあいいか」
ベークに渡したヒスタミン抑制魔法はこうだ。
extern void suppresses_histamine(void);
void main(void)
{
while(1){
suppresses_histamine(); /*ヒスタミンを抑制*/
}
}
ベークの翻訳はこうなっている【外部にありて、返答はなしのヒスタミン抑制、贄はなし。魔法の応えはなし、何も渡されず。疾く魔法開始せよ。無限繰り返しを、開始せよ。ヒスタミン抑制。繰り返しの終わり。われ魔法終了せし】と。
この世界のヒスタミンという単語が分かれば誰にでも魔法は作れる。
神秘魔法名を使わない、劣化版の魔法にしておいた。
神秘魔法名は魔導師の資格者のみだからな。
魔法を教えてやったところ、改善点を上げてきた。
魔道具の残り魔力が少なくなったら、光で報せるようにしてくれと言われた。
それと、抑制に強弱をつけてくれとも。
ベークも考えるようになってきたな。
ちなみにネズミの世話は最初はベークがやっていたが、すぐに他の人にお金を払って任せていた。
人を使う事も覚えたか。
少しずつ成長しているんだな。
報告のあったのは22番のネズミ。
その匂いをリニアが辿って。
「あった。あれじゃない、アレグラジオン草」
「間違いない。こんな特徴的な薬草を間違えないよ」
良かった。
セレンが摘み取って刻んで、煮込む。
漉したら、薬の完成だ。
「飲んでみて」
「頂きます」
注目の中、ラチェッタが薬を飲む。
ベークの息を飲む音がやけに大きかった。
そして、ラチェッタが咳止めの魔道具を外す。
「ごほ、ごほ、ごほっ」
駄目か。
「諦めることはないわよ。薬と言っても即効性があるとは限らないから、大抵はじんわり効いてくるものなのよ」
セレンの言う事ももっともだな。
しばらく様子を見よう。
それから1時間。
咳がぴったりと止まった。
「薬が効いたのかな?」
「診てみる」
俺の問いを聞いて、セレンがラチェッタを診察する。
「治っているのは確かだけど、薬の影響かどうかははっきりしないのよ」
なんともあやふやなセレンの答え。
「残った薬と薬草で実験してみるしかないな」
「そうね。持って帰って実験しましょ。論文に書いてみたいわ」
さてと、これから後始末が大変だ。
うるさく伝言魔法を飛ばされたらかなわない。
ネズミに付けた魔道具を全て回収しないとな。
もっと良い、破棄の方法を考えておくべきだった。
100回作動させると自壊するような仕組みとか。
まあ、いいか。
これもいい訓練になるだろう。
薬草クエストが、ネズミ追跡クエストに切り替わった。
ベーク達に良い経験だろう。
ネズミの大半は食われていた。
これを突き止めるのは簡単だ。
ネズミの神秘魔法名が存在するか調べれば良い。
なので追跡クエストは半分で済んだ。
22番のネズミはなぜかセレンが確保した。
他にも数匹確保したみたいだ。
「それ、どうするんだ?」
俺はセレンに尋ねた。
「実験にでも使うつもり」
「気をつけろよ。病気を持っている可能性もあるからな」
「ウイルス性なら罹った時点で、ウイルス除去の魔道具があるわ」
「絶対ではないから」
「気をつける」
魔境から、安全運転で帰る。
一度薬を飲んだだけなのにラチェッタの病気は再発しない。
前世でも1粒飲んで治るような薬は少なかったように思う。
確かに風邪薬とか飲むと少し楽になった。
だが1粒で完治はしない。
1週間ぐらいは服用しないと効果がない物がほとんどだ。
王都に帰って、セレンは精力的に動いている。
ほどなくして、論文がまとまったので、俺達はそれを読んでいた。
「アレグラジオン草は、永続的な効果は無かったわ。症状の緩和効果はあったけどね」
セレンが結果を述べた。
「でもラチェッタは治っている」
「たぶんだけど、他の要因ね」
「なんで治ったか分かっちゃった」
「マイラには分かったのか。もったいぶらずに教えてくれ」
「魔力に過剰反応するんでしょ。慣れたのよ。チンピラが激戦区に行って、喧嘩しまくって、大人しくなるように」
「毒とか薬は摂取し続けると、慣れますわね」
「動物も慣れない環境でも次第に慣れます」
あー、魔力濃度の問題なのかも。
ラチェッタの病気は魔境に近づくにつれ悪化した。
その原因は魔力が濃くなったと考えれば納得できる。
「魔境の高濃度の魔力にさらされて、治ったのかも知れない。ショック療法という奴だな」
でもこれは非常に危険な行為に思える。
アレルゲンを摂取しないのが一番の近道だな。
でも魔力ではそうはいかないので仕方ないのかも知れない。
「魔力を濃くする魔法は作れる?」
「作れると思う」
魔力過敏症の人に、魔力濃度を濃くした場所で、何日か過ごしてもらった。
もちろん、医者の立ち合いの上で、抑制と咳止めの魔道具を装備してもらってもいた。
全員ではないが、大半の人が治ったようだ。
まだ病気の完全解明とはいかないらしい。
追加で出されたセレンの論文はかなりの評価を得た。
抑制の魔道具を売り出したところ、売れに売れた。
あれは花粉症などにも効くからな。
「アレルギーの抑制魔法を教えてよ」
ベークがそう言って来た。
売れる魔道具を出すとこれだからな。
「交換条件はなんだ?」
「ネズミの世話をやる。餌と水やりは魔道具がやってくれるんだろ。毎日一回掃除ぐらいわけないさ」
「まあいいか」
ベークに渡したヒスタミン抑制魔法はこうだ。
extern void suppresses_histamine(void);
void main(void)
{
while(1){
suppresses_histamine(); /*ヒスタミンを抑制*/
}
}
ベークの翻訳はこうなっている【外部にありて、返答はなしのヒスタミン抑制、贄はなし。魔法の応えはなし、何も渡されず。疾く魔法開始せよ。無限繰り返しを、開始せよ。ヒスタミン抑制。繰り返しの終わり。われ魔法終了せし】と。
この世界のヒスタミンという単語が分かれば誰にでも魔法は作れる。
神秘魔法名を使わない、劣化版の魔法にしておいた。
神秘魔法名は魔導師の資格者のみだからな。
魔法を教えてやったところ、改善点を上げてきた。
魔道具の残り魔力が少なくなったら、光で報せるようにしてくれと言われた。
それと、抑制に強弱をつけてくれとも。
ベークも考えるようになってきたな。
ちなみにネズミの世話は最初はベークがやっていたが、すぐに他の人にお金を払って任せていた。
人を使う事も覚えたか。
少しずつ成長しているんだな。
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