異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第5章 魔戦士編

第280話 戦闘勃発と、トレンと、決着

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「大変だ。魔戦士が暴れている」
「こっちもよ」

 俺達とは離れて、別のグループと狩りに行っていたベスとコネクタが駆け込んで来た。

「仲間を見捨てたの?」

 セレンが二人を咎める。

「この判断は正しい。学生の手に負えないなら、俺達が対処するしかない。是非はともかく急ぐぞ。みんなは別れて対応してくれ」
「「「「はい」」」」

 さあ、ラチェッタとベークの理想は通用するかな。
 現場に行き、暴徒鎮圧用の重力球の魔法を起動すると、魔戦士と生徒が一塊になる。

「ラチェッタ、説得してみろ」
「愚かな争いは辞めるのです。あなた達は何の信念で暴れているのですか」
「暴れたいから、暴れているのに決まっているだろう」

 さあ、どう応える。

「私達は誇り高いファラッドの民ではなかったのですか」
「知らねぇなぁ。栄耀栄華を夢見て何が悪い」
「別の地で楽園を実現しようとは思わないのですか」
「はははっ、奪った方が楽しいし、らくだろう」

 ラチェッタも説得が無理だと思ったのか、何も言い返さなくなった。

「法には従ってもらう。王族への反抗は死刑だ」
「ちょっと待って下さい」

 まだラチェッタには言いたい事があるらしい。

「言いたい事があるなら早く言え。こうしている間にも生徒に被害が出るかもな」
「心を入れ替えて下さい。お願いします」
「やなこった。命などとうに捨てている」

「気絶させて下さい」

 俺は言われた通りに魔戦士達を気絶させた。
 ラチェッタが後で説得できるか見物だ。

 マイラの所に行くと、足を斬られて気絶した魔戦士が転がっていた。

「殺した方が良いけど、今回はラチェッタの顔を立ててあげたわ」
「ありがとうございます」

 リニアの所に行くと、魔戦士は殴られて気絶していた。
 手加減したんだな。

 レクティの所に行くと、魔戦士は麻痺していた。

「ラチェッタさんの顔を立てたわけではありませんよ。情報を絞り出すためです」

 セレンの所に行くと、魔戦士は痛みでのたうち回っていた。

「心臓に一撃の方が、残酷ではないですね」

 たぶん、魔戦士の本隊はトレンの所だろう。

 トレンを探してうろつく。
 途中、魔戦士の集団と何度か会ったが問題なく対処できた。
 即死でなければ生徒達は回復する。
 魔戦士も殺しまではしてないようだ。

 戦闘音がする。
 駆け付けると、トレンとミカカ語クラブの面々が奮闘していた。
 魔戦士にはモンスターが味方している。
 モンスター使いがいるようだ。

 どうやら、魔戦士幹部のペントードがその人物らしい。
 それと見知った顔を見つけた。
 ロータリ国商人のアルニコだ。

 魔戦士の中にロータリ人がいるとは知っていたが、商人で支援している人がいるとはな。
 トレンに魔法の集中砲火が浴びせられる。
 火球は効果が薄いとなり、石弾が主戦力になっている。
 トレンは被弾しているが、意に介さないようだ。

 次々に魔戦士を討ち取っている。

「何をしているのですか。この一戦にロータリの命運が掛かっています」
「トクナカ・ナセ」

「魔力で体の強度を増している」
「なるほどクレーターを作る程、壁に叩きつけられても平気なのはこのせいか。セレン、モンスターをやってしまえ」
「はい」

 俺と腸内細菌の毒化で、セレンは石を転移させてモンスターを倒す。

「マイラとリニアは魔戦士を気絶させろ」
「任せて」
「こんなの簡単よ」

「わたくしの出番はないようですね」
「レクティは暗殺を警戒してくれ」
「分かりましたわ」

 ペントードにマイラが肉薄。
 足を斬ってから顎に肘を打ち込んだ。
 モンスターの支配が解ける。
 大半のモンスターは逃げたので、俺とセレンは楽になった。

 マイラがペントードを引きずろうとして、何かに気づいた。

「毒を飲んでいる」

 故意か事故かは分からないがペントードはあっけなく死んだ。
 やはり魔導師、とくに魔戦士の質が良くないな。
 魔導師の落ちこぼれだったのかな。

 リニアがアルニコを捕まえてきた。
 トレン達は掃討戦に移っている。

「アルニコだったよな。商人なのに裏工作もするのか」
「分かっているだろ。ロータリ商人の半分以上はスパイだ」
「まあそうだろな。商業の国だもんな」
「ぐふっ」

 アルニコも毒を飲んだようだ。
 ロータリとしてはトレンを殺して、ディッブとこの国が戦争する事を望んだのだろう。

「助けに来なくてもよかったのに」

 トレンの語気が荒い。

「私に勝ってから言うのね」

 マイラが挑発するように言った。

「トクナカ・ナセ!」
「なんて言っているのか分からないけど、負け惜しみよね。みっともないったら」
「トクナカ・ナセ!」

「とにかく死なないで良かったよ」
「リッツに完全回復してもらったから、このぐらいは平気よ」

 リッツに完全回復の魔道具を持たせておいて良かった。
 役に立ったようで何より。

「兄さん、目立てなかった」
「妹よ、俺達は戦闘狂にはなれない」

 ベスとコネクタも魔法で援護していたのは知っているぞ。
 良くやった。

「私は無力ですね」
「君はそのままでいい」
「ベーク様」

 ラチェッタとベークも魔法で援護していたのは知っているぞ。
 非殺傷魔法だったが、気をそらすのに役に立ったと思う。
 ラチェッタはこれから大変だ。
 捕虜にした魔戦士を改心させないといけない。
 出来るかな。
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