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第5章 魔戦士編
第273話 剣技大会と、マイラの魔法と、種明かし
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4月、剣技大会の季節だ。
大会はトレンが優勝した。
魔力を循環する技というか体質は、魔法ではないから、反則負けにはならない。
優勝したトレンは舞台の上でクイクイと指を動かした。
リニアにリベンジするのか思ったらマイラだ。
マイラに挑むとは命知らずの奴だ。
例によってカソードにエキシビジョン・マッチの許可を取る。
まあオッケーはでるよね。
マイラとトレンが舞台の上で木剣を構える。
「始め!」
審判の合図で二人が動き始める。
トレンの動きは見えないほど早い。
しかし、ピタッとその動きが止まった。
マイラには打ち込まれていない。
それどころかマイラの剣がトレンの体に軽く触れられていた。
マイラの剣の動きは俺にも見えていた。
それぐらいゆっくりとした動きだったのだ。
だのにトレンがピタっと止まった。
まるで魔法だ。
「テクチカ・シニシ・ンラナ・シラめ」
「さて何でしょう」
トレンが何を言ったかは分かる。
たぶん『何をしたんだ』と言ったのだろう。
トレンがマイラに良い様に打たれる。
「勝者マイラ」
審判が試合を止めた。
マイラが舞台を降りてくる。
「凄いな。まるで魔法だ。何をやったの?」
「循環する魔力の流れを変えてやった」
ああ、マイラの能力は流体把握だものな。
持っている剣も微弱な魔力を帯びる。
触ったぐらいではわずかな影響しかない。
ないが、マイラがやったのなら話は別だ。
流れのツボというかポイントがあるのだろう。
そこを乱されたのだ。
それで動けなくなった。
強化するはずの力が拘束する力になったんだな。
「トレンにとってマイラは天敵だな」
「あんな女には負けない」
「ええっ、トレンが最強だと思っていたのに」
「リッツ、幼児の時から修羅の世界で生きてきたマイラを倒すのは、簡単ではないぞ。俺だってやばいかも」
「魔王のタイト先輩も負けるんですか?」
「まあね。やった事ないから分からないが、厳しい戦いになるだろうな」
納得がいかなかったのだろう。
トレンが舞台から降りて来てマイラの所に来た。
「何したの教えなさい」
「はしゃいでる子供は良く転ぶ」
「私が子供だって言うの」
「自分の武器でやられるなんて、ナイフを持ったばかりで傷を負う子供と変わりない。間抜けね」
「くっ、キチシシイモ」
「だから、その言葉は分かんないって」
「ちくしょうという意味だよ」
リッツが解説してくれた。
「負けを認めるのね。ちくしょうという奴は負けを認めた奴。スラムの常識」
「トレン、順位戦と今回に勝って、ランシェに何を願い出たんだ。それを教えれば、マイラが何をやったか教えてやろう」
「順位戦ではうちの国に、外交使節を派遣する事を願い出た。今日はうちの国から、留学生を何人か受け入れてもらえるよう、願い出るつもりよ」
平和交流が目的なのか。
「マイラの技だがな。人間とその持ち物には魔力が宿る。木剣とて同じだ。そして他人の魔力は反発する。触られるとそこに衝突が起きる。それでトレンの魔力の流れが乱された」
「トクニカ」
トレンが悔しそうに悪態をついた。
「要は岩だってここにノミを打ち込んだら、割れるというポイントがある。ある種の達人じゃないと出来ない。相手が悪かったな」
「礼を言う」
そう言ってトレンは大股に去っていった。
マイラがあっかんべーをしている。
マイラ、その仕草はトレンには伝わらないぞ。
分かってやっているのかも知れないけどな。
「マイラ、解説して悪かったな」
「ううん、たぶんあの女は自分で気づいてた。それに対策は難しい。動いている最中ってのは、足をちょんと掛けただけでこける。これは防ぎようがない。あの技は駆け回る事で強くしている。隙を消せないと思う」
そういう意味では魔法もマイラに負けるかもな。
魔力の流れにも弱点はあるだろう。
勝てるとしたら、圧倒的な熱量で焼き尽くすとかかな。
流石に漫画にあった激熱のお湯にもツボがあるとかいうみたいに、高温の炎にもツボがあると言って無傷とか言わないよな。
真空を作り出したりしたら、そういう方法でも防げないんだけどね。
俺は何を考えているんだ。
マイラが敵に回ったら大人しく討たれてやろう。
その時はたぶん譲れない理由があるに違いない。
大会はトレンが優勝した。
魔力を循環する技というか体質は、魔法ではないから、反則負けにはならない。
優勝したトレンは舞台の上でクイクイと指を動かした。
リニアにリベンジするのか思ったらマイラだ。
マイラに挑むとは命知らずの奴だ。
例によってカソードにエキシビジョン・マッチの許可を取る。
まあオッケーはでるよね。
マイラとトレンが舞台の上で木剣を構える。
「始め!」
審判の合図で二人が動き始める。
トレンの動きは見えないほど早い。
しかし、ピタッとその動きが止まった。
マイラには打ち込まれていない。
それどころかマイラの剣がトレンの体に軽く触れられていた。
マイラの剣の動きは俺にも見えていた。
それぐらいゆっくりとした動きだったのだ。
だのにトレンがピタっと止まった。
まるで魔法だ。
「テクチカ・シニシ・ンラナ・シラめ」
「さて何でしょう」
トレンが何を言ったかは分かる。
たぶん『何をしたんだ』と言ったのだろう。
トレンがマイラに良い様に打たれる。
「勝者マイラ」
審判が試合を止めた。
マイラが舞台を降りてくる。
「凄いな。まるで魔法だ。何をやったの?」
「循環する魔力の流れを変えてやった」
ああ、マイラの能力は流体把握だものな。
持っている剣も微弱な魔力を帯びる。
触ったぐらいではわずかな影響しかない。
ないが、マイラがやったのなら話は別だ。
流れのツボというかポイントがあるのだろう。
そこを乱されたのだ。
それで動けなくなった。
強化するはずの力が拘束する力になったんだな。
「トレンにとってマイラは天敵だな」
「あんな女には負けない」
「ええっ、トレンが最強だと思っていたのに」
「リッツ、幼児の時から修羅の世界で生きてきたマイラを倒すのは、簡単ではないぞ。俺だってやばいかも」
「魔王のタイト先輩も負けるんですか?」
「まあね。やった事ないから分からないが、厳しい戦いになるだろうな」
納得がいかなかったのだろう。
トレンが舞台から降りて来てマイラの所に来た。
「何したの教えなさい」
「はしゃいでる子供は良く転ぶ」
「私が子供だって言うの」
「自分の武器でやられるなんて、ナイフを持ったばかりで傷を負う子供と変わりない。間抜けね」
「くっ、キチシシイモ」
「だから、その言葉は分かんないって」
「ちくしょうという意味だよ」
リッツが解説してくれた。
「負けを認めるのね。ちくしょうという奴は負けを認めた奴。スラムの常識」
「トレン、順位戦と今回に勝って、ランシェに何を願い出たんだ。それを教えれば、マイラが何をやったか教えてやろう」
「順位戦ではうちの国に、外交使節を派遣する事を願い出た。今日はうちの国から、留学生を何人か受け入れてもらえるよう、願い出るつもりよ」
平和交流が目的なのか。
「マイラの技だがな。人間とその持ち物には魔力が宿る。木剣とて同じだ。そして他人の魔力は反発する。触られるとそこに衝突が起きる。それでトレンの魔力の流れが乱された」
「トクニカ」
トレンが悔しそうに悪態をついた。
「要は岩だってここにノミを打ち込んだら、割れるというポイントがある。ある種の達人じゃないと出来ない。相手が悪かったな」
「礼を言う」
そう言ってトレンは大股に去っていった。
マイラがあっかんべーをしている。
マイラ、その仕草はトレンには伝わらないぞ。
分かってやっているのかも知れないけどな。
「マイラ、解説して悪かったな」
「ううん、たぶんあの女は自分で気づいてた。それに対策は難しい。動いている最中ってのは、足をちょんと掛けただけでこける。これは防ぎようがない。あの技は駆け回る事で強くしている。隙を消せないと思う」
そういう意味では魔法もマイラに負けるかもな。
魔力の流れにも弱点はあるだろう。
勝てるとしたら、圧倒的な熱量で焼き尽くすとかかな。
流石に漫画にあった激熱のお湯にもツボがあるとかいうみたいに、高温の炎にもツボがあると言って無傷とか言わないよな。
真空を作り出したりしたら、そういう方法でも防げないんだけどね。
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