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第5章 魔戦士編
第270話 誘いと、呪文屋と、繰り返しと分岐
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「ちょっと行ってみませんか」
おも研の部室で、そろそろ引き上げようかなと思ってた俺に、レクティがそう声を掛けてきた。
「どこに?」
「新商売のお店です。ベーク・アンド・リッツという名前になってますけど」
「ベークとリッツのお店か。一度行ってみるのも良いか」
婚約者4人とそのお店の前に立った。
「うちの店は永久保証だよ。あっ、オーナー。いらっしゃいませ」
従業員、全員がお辞儀する。
レクティはオーナーらしい。
名前は二人のものだけど実質的にはレクティの店なんだな。
店に入ると普通の品ぞろえだ。
コンロ、水が出る蛇口、送風機、暖房、冷房、照明などが置いてある。
デモンストレーションとして一台稼働してあるところなど、前世の家電量販店を思わせる。
違うのは本棚が置いてある一角だ。
家電量販店の雰囲気の中に本屋さんは違和感だ。
いや、図書館かな。
「あれは何?」
「あれを見せたかったのです。なんだと思いますか?」
うーん、本屋さんは違うな。
本の中には少し汚れた物もある。
古本屋さんか。
でもそんなありきたりの物じゃないよな。
何だろ。
客が来たようだ。
「いらっしゃいませ。どのような呪文をお探しですか?」
店員が応対する。
「氷を作る呪文をお願い」
「かしこまりました」
店員が本棚から本を抜き取る。
「どのぐらいのサイズの氷ですか」
「コップに入るぐらいだから、これぐらいかな」
客が手で大きさを示す。
「ではこれになります」
開かれたページには、ソ・ミカカ語の呪文が書いてあった。
店員が複写の魔法を使って呪文を写して客に渡す。
代金を受け取り、これで売買が成立したようだ。
「呪文を売ってるのか?」
「正解ですが、時間切れですね」
レクティが得意げにそう言った。
「誰の考えだ」
「商売にするには、わたくしが色々と手を加えましたが、発案はベークです」
「コピー対策が問題だな」
「それは手を打ってあります。呪文の写しはお札になってます。迷信深い人が多いですし、商人がコピーをやると叩かれます」
「神様を使うとはな。それはレクティの考えだろう」
「はい」
この商売は巧妙に考えられているな。
ちょうどいい威力の魔法を作り出すには、ソ・ミカカ語を知らないといけない。
それに神様のお札を改造しようとする罰当たりは少ないだろう。
お札が古くなったら、また買いに来るんだろうな。
美味しい商売だ。
教会に金を払わないといけない所が少し勿体ないが。
「タイトぅ、売れそうな魔法を教えてよ」
いつの間にかベークがやって来て気持ちい目でねだる。
「お前いいかげんに新魔法作れるようになれよ」
「魔力を何か別の物にするのは覚えたんだ。でもそれじゃ便利だとは言えない」
「ループと分岐を覚えれば、ほとんど何でも出来る」
「ループって繰り返しだよね。ぜんぜん分からない」
「ループには4つの要素がある。まずカウンターの初期化。次に終了条件。次にカウンターの増減。最後にループの内容だ」
「全然分からない。カウンタって何?」
「数を数える物だ。指だと思えば良い。数を数える時に順番に折っていくよな。これと同じだ」
「うんうん、初期化は何?」
「カウンタ―をゼロから始めたり、1から始めたりする。これを初期化で決定する。もちろん初期設定で準備の魔法を組んでも良い。そんなのは特殊だが、まあ最初はカウンターが0から始まると覚えておけば良い」
「初期化はカウンター0ね。覚えた」
「次は終了条件だ。何回繰り返すかを決める」
「これは簡単だ」
いうほど簡単じゃないけどな。
プログラムでバグが起こり易いポイントだ。
「次はカウンターの増減。まあ最初は1ずつ増加で良い」
「うん」
「最後に繰り返す内容だ」
「こうして説明されると簡単だね。ええと」
そう言ってベークは紙に書き始めた。
『ニは0から始まり、10回繰り返す、ニは1ずつ増加。繰り返し始め。ここに内容。繰り返し終わり』と書かれた。
うん、出来てるね。
「じゃあ、1から10まで足す計算を作ってみろよ」
「ええと1から始まった方が良いのかな。答えをどうしたら良いんだ。ええと」
「カウンターと答えを入れる場所を分ける」
『チは0。ニは1から始まり、10回繰り返す、ニは1ずつ増加。繰り返し始め。チはチ足すニ。繰り返し終わり』と書かれた。
「出来てるね。優秀だ。次は分岐だ。もしも○○ならば、○○、違うならば○○。これが基本形だ。違うならば○○は省略できる」
「簡単だね」
果たしてそうかな。
まあ良いだろ。
やってみると良いさ。
おも研の部室で、そろそろ引き上げようかなと思ってた俺に、レクティがそう声を掛けてきた。
「どこに?」
「新商売のお店です。ベーク・アンド・リッツという名前になってますけど」
「ベークとリッツのお店か。一度行ってみるのも良いか」
婚約者4人とそのお店の前に立った。
「うちの店は永久保証だよ。あっ、オーナー。いらっしゃいませ」
従業員、全員がお辞儀する。
レクティはオーナーらしい。
名前は二人のものだけど実質的にはレクティの店なんだな。
店に入ると普通の品ぞろえだ。
コンロ、水が出る蛇口、送風機、暖房、冷房、照明などが置いてある。
デモンストレーションとして一台稼働してあるところなど、前世の家電量販店を思わせる。
違うのは本棚が置いてある一角だ。
家電量販店の雰囲気の中に本屋さんは違和感だ。
いや、図書館かな。
「あれは何?」
「あれを見せたかったのです。なんだと思いますか?」
うーん、本屋さんは違うな。
本の中には少し汚れた物もある。
古本屋さんか。
でもそんなありきたりの物じゃないよな。
何だろ。
客が来たようだ。
「いらっしゃいませ。どのような呪文をお探しですか?」
店員が応対する。
「氷を作る呪文をお願い」
「かしこまりました」
店員が本棚から本を抜き取る。
「どのぐらいのサイズの氷ですか」
「コップに入るぐらいだから、これぐらいかな」
客が手で大きさを示す。
「ではこれになります」
開かれたページには、ソ・ミカカ語の呪文が書いてあった。
店員が複写の魔法を使って呪文を写して客に渡す。
代金を受け取り、これで売買が成立したようだ。
「呪文を売ってるのか?」
「正解ですが、時間切れですね」
レクティが得意げにそう言った。
「誰の考えだ」
「商売にするには、わたくしが色々と手を加えましたが、発案はベークです」
「コピー対策が問題だな」
「それは手を打ってあります。呪文の写しはお札になってます。迷信深い人が多いですし、商人がコピーをやると叩かれます」
「神様を使うとはな。それはレクティの考えだろう」
「はい」
この商売は巧妙に考えられているな。
ちょうどいい威力の魔法を作り出すには、ソ・ミカカ語を知らないといけない。
それに神様のお札を改造しようとする罰当たりは少ないだろう。
お札が古くなったら、また買いに来るんだろうな。
美味しい商売だ。
教会に金を払わないといけない所が少し勿体ないが。
「タイトぅ、売れそうな魔法を教えてよ」
いつの間にかベークがやって来て気持ちい目でねだる。
「お前いいかげんに新魔法作れるようになれよ」
「魔力を何か別の物にするのは覚えたんだ。でもそれじゃ便利だとは言えない」
「ループと分岐を覚えれば、ほとんど何でも出来る」
「ループって繰り返しだよね。ぜんぜん分からない」
「ループには4つの要素がある。まずカウンターの初期化。次に終了条件。次にカウンターの増減。最後にループの内容だ」
「全然分からない。カウンタって何?」
「数を数える物だ。指だと思えば良い。数を数える時に順番に折っていくよな。これと同じだ」
「うんうん、初期化は何?」
「カウンタ―をゼロから始めたり、1から始めたりする。これを初期化で決定する。もちろん初期設定で準備の魔法を組んでも良い。そんなのは特殊だが、まあ最初はカウンターが0から始まると覚えておけば良い」
「初期化はカウンター0ね。覚えた」
「次は終了条件だ。何回繰り返すかを決める」
「これは簡単だ」
いうほど簡単じゃないけどな。
プログラムでバグが起こり易いポイントだ。
「次はカウンターの増減。まあ最初は1ずつ増加で良い」
「うん」
「最後に繰り返す内容だ」
「こうして説明されると簡単だね。ええと」
そう言ってベークは紙に書き始めた。
『ニは0から始まり、10回繰り返す、ニは1ずつ増加。繰り返し始め。ここに内容。繰り返し終わり』と書かれた。
うん、出来てるね。
「じゃあ、1から10まで足す計算を作ってみろよ」
「ええと1から始まった方が良いのかな。答えをどうしたら良いんだ。ええと」
「カウンターと答えを入れる場所を分ける」
『チは0。ニは1から始まり、10回繰り返す、ニは1ずつ増加。繰り返し始め。チはチ足すニ。繰り返し終わり』と書かれた。
「出来てるね。優秀だ。次は分岐だ。もしも○○ならば、○○、違うならば○○。これが基本形だ。違うならば○○は省略できる」
「簡単だね」
果たしてそうかな。
まあ良いだろ。
やってみると良いさ。
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