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第5章 魔戦士編
第267話 建国祭と、パトロールと、風向きは常に変わる
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王都は建国祭だ。
出し物を考えないといけない。
「というわけで催し物を決めたいと思う」
「ええと、建国祭は悪者が暴れまわっている記憶しかないよね」
そうマイラが口火を切った。
「確かに」
みんな頷く。
1年目はレクティ暗殺事件。
2年目は醤油と焼き鳥で平和だった。
3年目はレジスタと魔導士の抗争で死人のでる展開。
4年目はベークとの勝負だった。
2年目と4年目はわりかし平和だったが、他は物騒だったな。
「パトロールという名の買い食い選手権を開いて、露店ベスト10を決めたいと思います」
「まあたまには良いですわね」
「そうね。楽しまないと」
「パトロールには賛成」
「僕はラチェッタさえいれば」
「ベーク様♡」
「パトロールにソレノを呼んでも良い?」
「好きにすれば」
「楽しそうだね」
「賛成しておきます」
「どうやら、露店ベスト10パトロール風味に決まりそうだな。各自武装とお小遣いを忘れないように。あと胃薬もな」
建国祭の日が来た。
俺の周りには4人の婚約者がいて、リッツはソレノと、ベークはラチェッタと手を繋いで歩いている。
ベスとコネクタは微妙に距離を取って歩いていた。
リッツはトレンを呼ばなかったのだな。
一度話してみたいと思っていたんだがな。
俺のお薦めは醤油だれの焼き鳥だ。
ジャガイモのチーズ焼きも侮れないな。
ソーセージを串に刺して焼いて、ケチャップみたいな調味料をつけたのもなかなかいける。
おっ、寮の仲間は、即席麺を出しているじゃないか。
露店で即席麺は、まあありだろう。
そこそこ流行っているのがその証拠だ。
「リニア」
マイラが何か見つけたらしい。
リニアに声を掛けると、一緒に路地へ入って行った。
「ソレノ、安全な場所に隠れてて」
とリッツが男らしい態度を見せた。
「はい」
ソレノが頷く。
俺はレクティがソレノに手で合図を送ったのを見逃さなかった。
たぶん援軍要請の命令を出したのだろう。
ソレノを除いた俺達はマイラ達を追った。
戦闘音がする。
倒れている人間を見る限り魔戦士だな。
肩パットを着けているから分かり易くて良い。
だが戦っていたのはマイラ、リニア、そしてトレンだった。
トレンの組織は魔戦士と敵対しているらしい。
複雑な関係があるんだろうな。
だが、そうは言ってもトレンが俺達の味方だとは限らない。
「くっ退くぞ」
魔戦士が撤退していく。
「シラミやカ・ラヒイスシラ・ニカ」
「リッツなんて言っている?」
「余計な事をするなだって」
「だから、その言葉は分からないって」
「私一人でもなんとかなった」
「こういう奴なのよ。放っておきましょ」
少し呆れた様子のリニア。
「この女、リニアと似てるね」
マイラが煽る様に言う。
「テクチカ!」
「どこが?!」
「息ピッタリ」
「キチトセ」
「ぐっ」
「ほら」
「マイラそのぐらいにしておけ」
「トレン、大丈夫だった?」
リッツがトレンに気遣う声を掛ける。
「あのぐらい平気よ」
「トレンに聞きたいが、俺達は敵なのか?」
「どちらでもないわ。完全な中立ね。コナカ・カクイ・テニミシ・チリテチント・ソクチミキイト・シニスイソカニラミ」
トレンはそう言って去って行った。
「リッツなんて?」
「ええと風向きが。風向きは常に変わるだと思う」
不確定要素という訳だ。
魔戦士はそれを嫌がったのかな。
味方以外の奴は敵の論理なんだろうな。
レクティの部下が到着して魔戦士の遺体を片付ける。
「トレンの経済状態は裕福なようです。アルバイトはしてませんね。トレーニングの毎日です。ただ食事には気を使っているようです。卵は高いのに白身だけを毎日食べています。黄身は捨てているようです」
「少なくとも貧乏な家庭で育った奴じゃないな。ミカカ語クラブの誰かに黄身を食わせても良いのに」
「おそらく支配階級の出だと思われます。クラブでの人扱いが貴族のそれです」
「それにまだある。2ヶ国語を喋る頭はあるから、記憶力も相当良いな。学園の試験にカンニングしてなければ応用力も利くはずだ」
「ただの脳筋ではないようですわね」
「リニアもそれなりに頭は良い」
「それなりは余計」
「失礼、リニアも相当頭が良い。入学試験に受かったんだからな」
「分かればいいのよ」
トレンの出自も気になるが、魔戦士の動きも気になる。
奴ら、またラチェッタを狙ってくるだろう。
学校行事で遠出する時は一緒に行くとするか。
ベークじゃ頼りないからな。
出し物を考えないといけない。
「というわけで催し物を決めたいと思う」
「ええと、建国祭は悪者が暴れまわっている記憶しかないよね」
そうマイラが口火を切った。
「確かに」
みんな頷く。
1年目はレクティ暗殺事件。
2年目は醤油と焼き鳥で平和だった。
3年目はレジスタと魔導士の抗争で死人のでる展開。
4年目はベークとの勝負だった。
2年目と4年目はわりかし平和だったが、他は物騒だったな。
「パトロールという名の買い食い選手権を開いて、露店ベスト10を決めたいと思います」
「まあたまには良いですわね」
「そうね。楽しまないと」
「パトロールには賛成」
「僕はラチェッタさえいれば」
「ベーク様♡」
「パトロールにソレノを呼んでも良い?」
「好きにすれば」
「楽しそうだね」
「賛成しておきます」
「どうやら、露店ベスト10パトロール風味に決まりそうだな。各自武装とお小遣いを忘れないように。あと胃薬もな」
建国祭の日が来た。
俺の周りには4人の婚約者がいて、リッツはソレノと、ベークはラチェッタと手を繋いで歩いている。
ベスとコネクタは微妙に距離を取って歩いていた。
リッツはトレンを呼ばなかったのだな。
一度話してみたいと思っていたんだがな。
俺のお薦めは醤油だれの焼き鳥だ。
ジャガイモのチーズ焼きも侮れないな。
ソーセージを串に刺して焼いて、ケチャップみたいな調味料をつけたのもなかなかいける。
おっ、寮の仲間は、即席麺を出しているじゃないか。
露店で即席麺は、まあありだろう。
そこそこ流行っているのがその証拠だ。
「リニア」
マイラが何か見つけたらしい。
リニアに声を掛けると、一緒に路地へ入って行った。
「ソレノ、安全な場所に隠れてて」
とリッツが男らしい態度を見せた。
「はい」
ソレノが頷く。
俺はレクティがソレノに手で合図を送ったのを見逃さなかった。
たぶん援軍要請の命令を出したのだろう。
ソレノを除いた俺達はマイラ達を追った。
戦闘音がする。
倒れている人間を見る限り魔戦士だな。
肩パットを着けているから分かり易くて良い。
だが戦っていたのはマイラ、リニア、そしてトレンだった。
トレンの組織は魔戦士と敵対しているらしい。
複雑な関係があるんだろうな。
だが、そうは言ってもトレンが俺達の味方だとは限らない。
「くっ退くぞ」
魔戦士が撤退していく。
「シラミやカ・ラヒイスシラ・ニカ」
「リッツなんて言っている?」
「余計な事をするなだって」
「だから、その言葉は分からないって」
「私一人でもなんとかなった」
「こういう奴なのよ。放っておきましょ」
少し呆れた様子のリニア。
「この女、リニアと似てるね」
マイラが煽る様に言う。
「テクチカ!」
「どこが?!」
「息ピッタリ」
「キチトセ」
「ぐっ」
「ほら」
「マイラそのぐらいにしておけ」
「トレン、大丈夫だった?」
リッツがトレンに気遣う声を掛ける。
「あのぐらい平気よ」
「トレンに聞きたいが、俺達は敵なのか?」
「どちらでもないわ。完全な中立ね。コナカ・カクイ・テニミシ・チリテチント・ソクチミキイト・シニスイソカニラミ」
トレンはそう言って去って行った。
「リッツなんて?」
「ええと風向きが。風向きは常に変わるだと思う」
不確定要素という訳だ。
魔戦士はそれを嫌がったのかな。
味方以外の奴は敵の論理なんだろうな。
レクティの部下が到着して魔戦士の遺体を片付ける。
「トレンの経済状態は裕福なようです。アルバイトはしてませんね。トレーニングの毎日です。ただ食事には気を使っているようです。卵は高いのに白身だけを毎日食べています。黄身は捨てているようです」
「少なくとも貧乏な家庭で育った奴じゃないな。ミカカ語クラブの誰かに黄身を食わせても良いのに」
「おそらく支配階級の出だと思われます。クラブでの人扱いが貴族のそれです」
「それにまだある。2ヶ国語を喋る頭はあるから、記憶力も相当良いな。学園の試験にカンニングしてなければ応用力も利くはずだ」
「ただの脳筋ではないようですわね」
「リニアもそれなりに頭は良い」
「それなりは余計」
「失礼、リニアも相当頭が良い。入学試験に受かったんだからな」
「分かればいいのよ」
トレンの出自も気になるが、魔戦士の動きも気になる。
奴ら、またラチェッタを狙ってくるだろう。
学校行事で遠出する時は一緒に行くとするか。
ベークじゃ頼りないからな。
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