異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第4章 盗まれたスペルブック編

第223話 熊の置物と、盗聴器と、罠

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 授業が終わり、おも研の部室にマイラと顔を出した。

「むっ、誰かに話を聞かれている。そこっ」

 マイラが指さした先には、置物が置かれてた。
 可愛らしい熊の置物だ。
 女の子が好きそうなデフォルメがしてある。
 魔道具の盗聴器かな。
 魔道具を停止させた。
 それで、魔道具を解析して、どこで盗聴しているか突きとめた。

「ダイナ、頼む」

 ダイナに頼んだから、王家の影が対処するだろう。
 この置物は誰が置いたのか。
 メンバーが全員そろったところで何気なく聞いてみる事にした。

「熊の置物可愛いね。別の種類があったら、買ってみたい」
「ああ、それ。この間、先輩がデートした時に買った奴だ。俺が置いたけど不味かった?」

 そうリッツが名乗り出た。

「いいや。マイラが欲しがったから、譲ってくれないか?」

「別にいいですよ。それ気に入らなかった奴なんで。値段も銅貨1枚だったから」
「どこの店?」
「地図を描いてもいいけど、会員制で決まった日しか店を開けないらしいよ。入れるかなぁ」

 リッツから地図を貰い置物の熊を撤去する。
 熊はレクティが持っていった。
 製造元を突き止めるらしい。
 こういうのは職人の癖が出るので、工房に聞けば作った職人が分かるんだそうだ。

 みんなが帰ったので、4人と俺で会議をする。

「リッツはかなり怪しいですわね」
「まあね。俺も否定しない。でも隠そうとしないんだよな。利用されているのかも」

おぼろ、報告を」
「へい」

 マイラの言葉で、音もなく扉を開けて、男が現れた。
 幽霊みたいな男だな。

「リッツの交友関係で怪しいのはおりません。買い物につき合った女達と、どうやって繋ぎを取ったのかも不明となっとります。女達にはかれました」
「マイラ、いつの間に密偵を雇ったの?」
「スラム時代の伝手よ。お金を払えば何でもする奴は多いから」

「ではあっしはこれで」

 足音も立てずに男が去る。

「レクティの所も似たり寄ったりか」
「悔やしいですが、そうですね。付け加えるなら、鍵を売った男との接点も見つかってません。それとリッツが利用したダンスホールの控室に盗聴魔道具らしき物が置かれてました」
「どんな形の?」
「柄にライオンの頭が付いた靴ベラです。ライオンの中に魔石があるので、魔道具だと思います」
「リッツは盗聴器をばら撒くように言われたのかな。聞いてみるか」
「ですね。直接聞くのが手っ取り早いでしょう」

「セレンとリニアはなんかある?」
「なんか諜報組織の幹部の集まりみたいだね」
「こういう仕事は嫌いだわ。腕力でなんともならないから」

 ノックの音がして、ドアの隙間から紙が入ってきた。
 レクティがそれを読む。

「あの女達の店はもぬけの殻だそうです。近隣の人の話では何年も空き家だとか。置物の職人は突きとめましたが、依頼主は分からずじまいですわ」

 レクティの所は仕事が早い。
 さっき情報を渡して、1時間ぐらいでこれだものな。

 さて、リッツに話を聞くか。
 リッツの所は男子寮なので俺が聞きに行った。

「ダンスホールの控室に靴ベラを持っていった?」
「置いたけど、私物を置いたら不味かったですかね」

 あっけらからんと言うリッツ。
 これで嘘をついていたら大した役者だ。

「そうだね。みんなが使う所だから、私物を置かれると色々と不味い。少し不味いと知って何で置いたんだ?」
「占いに出てたんだ。出先の部屋にライオンの物を置くと良いって。1日だけの話だから、片付けてもいいよ」
「リッツはもう靴ベラは要らないのかな」
「手元に戻ってくると不吉らしいんだよね。そっちで処分してほしいなぁ」

 みんなの所に戻る。

「簡単にリッツが置いたと認めた。占いに従ったと本人は言っているが、嘘だとは思えない」
「利用されている可能性は高いでしょうね。ですが、こう尻尾を掴ませないのは手練れですね」

「あの」

 セレンが手を上げる。

「何?」
「罠を張ったらどうですか」
「セレン、ナイスな意見だ」
「どうやるの?」

「私達が暮らしている寮に招くんです。それで敵なら何かしらの反応を示すと思う」
「うん、チャンスだとみれば、何かするか。やってみよう」

「見張りは任せて。リッツの挙動は見逃さないから」
「わたくしは部下に外を警戒させます」
「私はお茶を淹れます」
「荒事はないと思うけど、リッツが暴れたら取り押さえるよ」

 作戦は決まったな。
 そうだ招く口実をどうしよう。
 ええと、そうだ。
 説教してやれ。
 ソレノが居ながら、女といちゃつきやがってと。
 軽く叱ればいいだろう。
 口実だからな。
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