異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第4章 盗まれたスペルブック編

第221話 こけら落としと、入れない鍵と、怪しいリッツ

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 今日はダンスホールのこけら落とし、だいぶ早い完成だ。
 1ヶ月掛かってないんじゃないかな。

 楽団もスタンバイして、マイラと踊る。
 何曲も踊って汗をかいたので、控室に行こうとした。
 俺が使う控室でない部屋の前でリッツとソレノが揉めている。
 ソレノはリッツの彼女だ。

 リッツとソレノはスーツとドレスを持っている。
 ここで着替えるつもりなんだな。

 こけら落としをやると言ったら、リッツが踊りたいと言ったので、許可を出した。

「何で入れないんだよ?」

 何だろう。

「どうした?」
「ああ、タイト先輩。鍵が合わなくて、入れないんだ」

「控室使用の許可は取ったんだろうな」
「それは……。でも、この鍵で入れるはず」

「鍵はどこで手に入れた?」
「見知らぬ人から売ってもらった」
「つかまされたな」

「高かったのに。じゃあ正面入り口の鍵も偽物。一年中ダンスホールが使い放題って話も嘘なのか」
「ねぇ、リッツ、その鍵要らないわよね」

 ソレノがそう言った。

「欲しいの? 何に使うんだよ?」
「アクセサリーにでもしようかと思って。ほら高くっても、私へのプレゼントにすれば、納得できない」
「うん、納得できる。流石、僕のソレノ。はい、鍵」

「くしゅん」
「マイラ、汗をかいて冷えちゃったな。早く着替えよう」
「うん」
「リッツ、鍵ならマイラが持っている。マイラ貸してやれ」
「控室に置いてあるから、取って来る」

「聖女マイラ様、恩に着ます」

 控室に入るとマイラが鍵を渡しに出る。
 俺は服を脱いだ。
 開放感。
 こういう特別な服ってなんできついんだろう。
 ゆったりとした感じで作ってくれてもいいのに。

 シャワー室に入る。
 この控室はシャワー完備だ。
 冷蔵庫もエアコンもある。

 シャワーから出て冷たいジュースを飲んだ。
 マイラが帰ってきた。
 マイラの服を脱がすのを手伝う。

 マイラもすっぽんぽんになってシャワー室に消えってった。

 やばい、自然に振る舞ってしまった。
 くそう、毒されている。
 この後、3人と踊るけど、これをまたやるのかな。
 断固、拒否する。

 3人とは1曲ずつにしよう。
 それなら、俺以外は汗をそれほどかかないだろう。
 俺だけシャワーすれば良い。

 着替えて、ダンスホールに戻る。
 リッツとソレノは既に踊っていた。

 3人と1曲ずつ踊った。

「ずるい。マイラとは何曲も踊ったのに」

 リニアが不満を漏らす。

「体力はあるほうだけど、流石に4人相手はきつい。勘弁してくれ」
「そうよね。リニアさん、違う日に踊りましょう」

「それって、マイラに頭を下げないといけないって事よね」
「ふふん、私はケチじゃないから、頭を下げれば、使わせてあげてもいいわよ」
「ぐぬぬ」
「リニアさん、諦めましょう。マイラさん、ダンスホールを使わせて下さい」

「ええ、良いわよ。リニア、お願いしますは? うりうり」
「お願いします。ぐっ屈辱」

 レクティが何も言わない。
 レクティも金を出しているから、ダンスホールを使うのは出来る。
 だから何も言わないのか。

「レクティともまた今度踊るよ」
「ええ、ダンスパーティは頻繁に開催されていますから、よろしくですわ」

 そうか、ここで踊る事にこだわらなくても良いのか。
 でもレクティ以外だとダンスパーティはきついかも。

 服や靴はともかく、馬車なども用意しなくちゃならない。
 それに招待状だ。
 上流階級の付き合いがないと用意出来ない。
 マイラなら力技でなんとかしそうだけど。

「先輩、ありがとう。おかげでソレノと楽しい思いができました」
「言ってくれれば、また使わせてあげるよ」
「お願いします」

 レクティに後でと耳打ちされた。
 何だろ。
 ダンスパーティの事じゃないよな。

 寮に戻るとレクティが深刻な顔で切り出した。

「あの鍵、細工されたのとぴったり合います」
「リッツが星崇拝教団に取り込まれた」
「まだ分かりませんがおそらく。ソレノが交友関係を洗っています」

 ソレノはレクティがリッツに紹介した彼女で、オルタネイトの諜報機関に属している。

「身内を疑うのは嫌だな」
「ですね。諜報機関も2重スパイとかが出ますから、そういう時は心が痛みます」

 でもなぁ。
 うーん。
 いや。
 リッツは白だな。
 状況からするに白。
 俺がそう信じたいだけかも知れないが、そんな気がする。
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