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第4章 盗まれたスペルブック編
第209話 知力と、連立方程式と、転生特典
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ベークがまたやって来た。
今度は早いな。
「勝負だ。次は知力を競う。問題も作ってきた」
ベークが作ってベークが解くのか。
それはいくら何でも、卑怯だろう。
「とりあえず問題を見せてみろ」
「いいだろう。問題は何百とある」
俺は問題用紙を一枚見せてもらった。
一問目はこうなっている。
リメル4個とナルル3個で銀貨1枚と銅貨34枚。
リメル3個とナルル2個で銅貨96枚。
リメルとナルルそれぞれ1個の値段を求めよ。
ちなみに、リメルとナルルは果物の名前だ。
二問目も同様だ。
ああ、連立方程式ね。
ベークはカンニングするんだろうな。
じゃあ俺も魔法でカンニングするか。
行列を使えば、連立方程式はプログラムで解ける。
「一時間後でどうかな。長丁場になるから、食べ物とか飲み物も用意したい」
「ふん、余裕なのも今のうちだけだ」
そう言うとベークは去って行った。
「私達は何が出来るかな」
セレンの申し訳なさそうな顔。
「そうだな。みんなは数学の教授を連れて来てくれ。連立1次方程式の問題を持ってくるのを忘れるなよ」
「ええ」
マイラは残った。
「料理と飲み物がいるのよね。調達してくる」
いや、要らないよ。
でも、それを言ったら角が立つ。
1時間後、準備は整った。
「げっ、何で教授がいる?」
「そりゃあ、問題を提供してもらう為だ。採点もな」
「卑怯だ」
「問題はさっき見せられたのと同等の奴だ。別に卑怯ではないだろう。何が問題なんだ」
「そ、それは。ばいしゅ……」
「おいおい、ここは魔法学園だぞ。エリートが集まる所で、しかも王族の管轄だ。失礼な事を言ってると評判が悪くなるぞ」
「ぐぬぬ。まあいい」
数学の勝負が始まった。
俺はマイラが用意したお菓子と飲み物をやりながら、問題を鼻歌混じりで解く。
30分ほどで、すべての問題を解き終わった。
入力の手間だけだからな。
ベークは6時間ほど掛かって問題を全て解いた。
「言っておくが、間違っていたら、減点だからな」
「教授、ご足労かけます」
「もう勝負は着いておる。タイト君の勝ちだ」
「俺の答案の採点は?」
ベークが顔を真っ赤にして言った。
「タイト君は全問正解。ベーク、お前は1枚目を1問、間違っとる」
「そんな、あのポンコツ魔導師の野郎」
「魔導師がどうかしたのか?」
「いや、……」
「この勝負、俺の勝ちだな」
「くそう、まだ一回ある」
俺はふと疑問に思った。
連立方程式を解くプログラムだ。
なんで覚えている。
習った事がないという訳ではない。
大学でやった記憶がある。
連立方程式を解くプログラムはいくつか手法がある。
2次方程式さえ解けるんだからな。
それは別にいい。
問題なのはそういうプログラムは細部まで覚えてないはずだ。
社会人になってそういうプログラムを作れと言われたら、ネットでサンプルでも漁らないと作れない。
完全記憶なんて持ってないはずなんだが。
どういう事か大体推測はつく。
英単語のスペルミスもほとんどない。
たぶん、前世の記憶を、過去だろうが、全て覚えている。
転生特典なのだろうか。
「難しい顔してどうしたの」
心配そうなセレンの顔。
「いや、少し不思議な事があったから」
「不思議には全て理由がある。私の好きな学者の言葉」
理由は転生特典。
シンプルな答えだ。
今はそれで良い様な気がした。
「この問題、難しい」
マイラが眉間にしわを寄せて言った。
「連立1次方程式はあまり難しくありませんわ。タイト様ほど早くは解けませんが、時間を掛ければですわ」
レクティは優秀だな。
「こういうのはさっぱり。頭が痛くなる。ねっ、サイリス」
リニアはサイリスをかまっている。
「タイトは凄い。私の憧れだ」
とセレン。
「聞いたぞ、セレンが教授を説得してくれたんだってな」
「まあそうだけど」
「何と言って説得したんだ」
「若者が数学の知を競っています、これに手を貸すのは教授の役目ではありませんかと言っただけよ」
「真っ直ぐだな。セレンの良い所だ」
「搦め手からいかないと。常に死角からの一撃」
「そうですわね。根回しは重要ですわ」
「腕力で大体解決するよ」
みんな個性があるな。
ベークの駄目な所が分かった。
あいつは自分でやろうとしない。
最初の勝負も部下任せだったんだろう。
全てがそれだ。
他人に任せるのも重要だが、やれる所はやらないと。
次はどんな勝負で来るのかな。
少し楽しみだ。
今度は早いな。
「勝負だ。次は知力を競う。問題も作ってきた」
ベークが作ってベークが解くのか。
それはいくら何でも、卑怯だろう。
「とりあえず問題を見せてみろ」
「いいだろう。問題は何百とある」
俺は問題用紙を一枚見せてもらった。
一問目はこうなっている。
リメル4個とナルル3個で銀貨1枚と銅貨34枚。
リメル3個とナルル2個で銅貨96枚。
リメルとナルルそれぞれ1個の値段を求めよ。
ちなみに、リメルとナルルは果物の名前だ。
二問目も同様だ。
ああ、連立方程式ね。
ベークはカンニングするんだろうな。
じゃあ俺も魔法でカンニングするか。
行列を使えば、連立方程式はプログラムで解ける。
「一時間後でどうかな。長丁場になるから、食べ物とか飲み物も用意したい」
「ふん、余裕なのも今のうちだけだ」
そう言うとベークは去って行った。
「私達は何が出来るかな」
セレンの申し訳なさそうな顔。
「そうだな。みんなは数学の教授を連れて来てくれ。連立1次方程式の問題を持ってくるのを忘れるなよ」
「ええ」
マイラは残った。
「料理と飲み物がいるのよね。調達してくる」
いや、要らないよ。
でも、それを言ったら角が立つ。
1時間後、準備は整った。
「げっ、何で教授がいる?」
「そりゃあ、問題を提供してもらう為だ。採点もな」
「卑怯だ」
「問題はさっき見せられたのと同等の奴だ。別に卑怯ではないだろう。何が問題なんだ」
「そ、それは。ばいしゅ……」
「おいおい、ここは魔法学園だぞ。エリートが集まる所で、しかも王族の管轄だ。失礼な事を言ってると評判が悪くなるぞ」
「ぐぬぬ。まあいい」
数学の勝負が始まった。
俺はマイラが用意したお菓子と飲み物をやりながら、問題を鼻歌混じりで解く。
30分ほどで、すべての問題を解き終わった。
入力の手間だけだからな。
ベークは6時間ほど掛かって問題を全て解いた。
「言っておくが、間違っていたら、減点だからな」
「教授、ご足労かけます」
「もう勝負は着いておる。タイト君の勝ちだ」
「俺の答案の採点は?」
ベークが顔を真っ赤にして言った。
「タイト君は全問正解。ベーク、お前は1枚目を1問、間違っとる」
「そんな、あのポンコツ魔導師の野郎」
「魔導師がどうかしたのか?」
「いや、……」
「この勝負、俺の勝ちだな」
「くそう、まだ一回ある」
俺はふと疑問に思った。
連立方程式を解くプログラムだ。
なんで覚えている。
習った事がないという訳ではない。
大学でやった記憶がある。
連立方程式を解くプログラムはいくつか手法がある。
2次方程式さえ解けるんだからな。
それは別にいい。
問題なのはそういうプログラムは細部まで覚えてないはずだ。
社会人になってそういうプログラムを作れと言われたら、ネットでサンプルでも漁らないと作れない。
完全記憶なんて持ってないはずなんだが。
どういう事か大体推測はつく。
英単語のスペルミスもほとんどない。
たぶん、前世の記憶を、過去だろうが、全て覚えている。
転生特典なのだろうか。
「難しい顔してどうしたの」
心配そうなセレンの顔。
「いや、少し不思議な事があったから」
「不思議には全て理由がある。私の好きな学者の言葉」
理由は転生特典。
シンプルな答えだ。
今はそれで良い様な気がした。
「この問題、難しい」
マイラが眉間にしわを寄せて言った。
「連立1次方程式はあまり難しくありませんわ。タイト様ほど早くは解けませんが、時間を掛ければですわ」
レクティは優秀だな。
「こういうのはさっぱり。頭が痛くなる。ねっ、サイリス」
リニアはサイリスをかまっている。
「タイトは凄い。私の憧れだ」
とセレン。
「聞いたぞ、セレンが教授を説得してくれたんだってな」
「まあそうだけど」
「何と言って説得したんだ」
「若者が数学の知を競っています、これに手を貸すのは教授の役目ではありませんかと言っただけよ」
「真っ直ぐだな。セレンの良い所だ」
「搦め手からいかないと。常に死角からの一撃」
「そうですわね。根回しは重要ですわ」
「腕力で大体解決するよ」
みんな個性があるな。
ベークの駄目な所が分かった。
あいつは自分でやろうとしない。
最初の勝負も部下任せだったんだろう。
全てがそれだ。
他人に任せるのも重要だが、やれる所はやらないと。
次はどんな勝負で来るのかな。
少し楽しみだ。
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