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第4章 盗まれたスペルブック編
第207話 演習と、5回勝負と、立てる
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俺は兵士が待機している場所で、収納魔法から次々に鍋を出した。
鍋には暖かい料理が入っている。
セレンが料理をよそう。
受け取る兵士が列になっている。
兵士の顔はみんなニコニコとしていて、一言いってから料理を受け取っていた。
口説き文句が多い。
セレンはいま15歳。
この世界では結婚適齢期だ。
兵士は下心満載だが、それでやる気を出してくれるなら良い。
セレンは、はにかんで答えを返していた。
それがまた男心をくすぐるらしい。
演習が始まった。
と言っても俺はバリアブルに攻め込んだ時しか兵士を率いた事がない。
軍事は素人だ。
魔法を使って一対一では負けないけど指揮はなぁ。
「任せた」
俺はレクティにそう言った。
「はい、大任を務めさせて頂きます」
丸投げだが仕方ない。
だって出来ないのだもの。
ドローンを操作する兵士から報告を聞いてレクティは次々に指示を出している。
堂々とした指揮ぶりだ。
相手は俺達を挟み撃ちにするつもりらしい。
「戦況は?」
「軍を二つに分けるのは愚策ですわ。特に動きがばれている時は。妨害電波を流しなさい。各個撃破します」
兵士の生死の判断だが、木剣で一当てすると死亡判定らしい。
それと殺傷力のない魔法が当たった時も同じだ。
魔力通信機で状況が伝わってくる。
敵が二つに分けたうちの一つの部隊を全滅させた。
もう勝ったも同然だな。
ほどなくして、本隊も全滅判定になった。
「汚いぞ」
ベークが押し掛けて来た。
どれの事だろう。
「何が汚いんだ?」
「オルタネイトの製品の欠点を隠していたな」
「ああ、妨害電波の事か。敵の物を使うからだ。だってそうだろ。敵国に武器を売って、その武器で襲って下さいなんて国もないだろ」
「僕が間抜けだと言いたいのか。お前なんか腰抜けだろう。聞いたぞ。レクティ嬢が指揮を執ったんだってな。女の後ろに隠れて悔しくないのか」
「それがなんだ。出来る人に任せるのは、将としての器だと思うぞ」
「とにかくこの勝負は無効だ」
「限がない奴だな。あと何回勝負すれば良いんだ」
「あと3回だ。5回勝負にする」
「負けた2回をカウントするのか。お前、馬鹿だな。勝ちたいのなら、今からの3回勝負にしとけば良い」
「そんなみっともない事が出来るか」
プリプリ怒ってベークが去って行った。
「お疲れ」
俺はレクティとセレンをねぎらった。
「疲れてはいませんわ。あのくらい余裕です」
「私も今日は盛り付けただけよ」
「じゃあ、打ち上げするか」
王都に戻り喫茶店で打ち上げとなった。
「マスターあれを」
喫茶店のマスターがケーキを運んで来る。
「初めて見るお菓子ですね」
「私も」
生クリームを作るのは苦労した。
そんな物を作ったら、腹を壊すってマスターが嫌がった。
魔法で殺菌して実際に食ってみせたら納得してくれたようだ。
チョコレートがないのが少し物足りないな。
果物を使っているからこういう物だと割り切れば食える。
イチゴショートにはチョコは使わないからな。
ただ、クリスマスとか、誕生日なんかだと飾りでチョコとかを使ったケーキだ。
そういう意味で物足りない。
「髭が出来てるぞ」
俺はセレンの口元のクリームを指で拭って舐めた。
「はわわ」
真っ赤になるセレン。
「わたくしもやりたいですわ」
「レクティは上品に食べるからな。そういうのは似合わない」
「ですわね。ドローンですが、譲っては貰えないですか」
あれは、便利すぎる。
音もしないし姿が見えないから、地球の物より優れているかもな。
「1機だけだ」
「渋いですね。1機では運用が難しいですわ」
「今回、私は役に立てたでしょうか」
と少し落ち込んだ感じのセレン。
「役に立ったぞ。たぶんセレンはレクティと比べてそう言っているんだと思うが。指揮を執るのは優秀な者なら出来る。セレンは兵士の士気を高めた。そういう事は狙って出来るものじゃない。セレンは大将の資質ありだ」
「そう言ってもらえると気が晴れる」
「お世辞じゃないぞ。本心だ。あれっ、また髭が出来てるな」
「えっ」
慌てて確認するセレン。
「嘘だよ」
「もう、年上をからかうなんて悪い子だ」
セレンは笑っている。
「そう、その笑顔が将の資質なんだ。守りたいって思わせたら勝ちなんだ。意識する必要はない。セレンはそのままでいい。普通が良い時もある」
「聞き捨てなりませんわ。私が普通でないように聞こえるんですが」
「レクティは普通ではないな。だが、それが個性って言うものだろ。個性のない人形みたいな人間だけだったら、つまらない」
ハーレムはつらい。
二人とも立てるのは難しい。
この場にマイラとリニアがいなくて良かった。
鍋には暖かい料理が入っている。
セレンが料理をよそう。
受け取る兵士が列になっている。
兵士の顔はみんなニコニコとしていて、一言いってから料理を受け取っていた。
口説き文句が多い。
セレンはいま15歳。
この世界では結婚適齢期だ。
兵士は下心満載だが、それでやる気を出してくれるなら良い。
セレンは、はにかんで答えを返していた。
それがまた男心をくすぐるらしい。
演習が始まった。
と言っても俺はバリアブルに攻め込んだ時しか兵士を率いた事がない。
軍事は素人だ。
魔法を使って一対一では負けないけど指揮はなぁ。
「任せた」
俺はレクティにそう言った。
「はい、大任を務めさせて頂きます」
丸投げだが仕方ない。
だって出来ないのだもの。
ドローンを操作する兵士から報告を聞いてレクティは次々に指示を出している。
堂々とした指揮ぶりだ。
相手は俺達を挟み撃ちにするつもりらしい。
「戦況は?」
「軍を二つに分けるのは愚策ですわ。特に動きがばれている時は。妨害電波を流しなさい。各個撃破します」
兵士の生死の判断だが、木剣で一当てすると死亡判定らしい。
それと殺傷力のない魔法が当たった時も同じだ。
魔力通信機で状況が伝わってくる。
敵が二つに分けたうちの一つの部隊を全滅させた。
もう勝ったも同然だな。
ほどなくして、本隊も全滅判定になった。
「汚いぞ」
ベークが押し掛けて来た。
どれの事だろう。
「何が汚いんだ?」
「オルタネイトの製品の欠点を隠していたな」
「ああ、妨害電波の事か。敵の物を使うからだ。だってそうだろ。敵国に武器を売って、その武器で襲って下さいなんて国もないだろ」
「僕が間抜けだと言いたいのか。お前なんか腰抜けだろう。聞いたぞ。レクティ嬢が指揮を執ったんだってな。女の後ろに隠れて悔しくないのか」
「それがなんだ。出来る人に任せるのは、将としての器だと思うぞ」
「とにかくこの勝負は無効だ」
「限がない奴だな。あと何回勝負すれば良いんだ」
「あと3回だ。5回勝負にする」
「負けた2回をカウントするのか。お前、馬鹿だな。勝ちたいのなら、今からの3回勝負にしとけば良い」
「そんなみっともない事が出来るか」
プリプリ怒ってベークが去って行った。
「お疲れ」
俺はレクティとセレンをねぎらった。
「疲れてはいませんわ。あのくらい余裕です」
「私も今日は盛り付けただけよ」
「じゃあ、打ち上げするか」
王都に戻り喫茶店で打ち上げとなった。
「マスターあれを」
喫茶店のマスターがケーキを運んで来る。
「初めて見るお菓子ですね」
「私も」
生クリームを作るのは苦労した。
そんな物を作ったら、腹を壊すってマスターが嫌がった。
魔法で殺菌して実際に食ってみせたら納得してくれたようだ。
チョコレートがないのが少し物足りないな。
果物を使っているからこういう物だと割り切れば食える。
イチゴショートにはチョコは使わないからな。
ただ、クリスマスとか、誕生日なんかだと飾りでチョコとかを使ったケーキだ。
そういう意味で物足りない。
「髭が出来てるぞ」
俺はセレンの口元のクリームを指で拭って舐めた。
「はわわ」
真っ赤になるセレン。
「わたくしもやりたいですわ」
「レクティは上品に食べるからな。そういうのは似合わない」
「ですわね。ドローンですが、譲っては貰えないですか」
あれは、便利すぎる。
音もしないし姿が見えないから、地球の物より優れているかもな。
「1機だけだ」
「渋いですね。1機では運用が難しいですわ」
「今回、私は役に立てたでしょうか」
と少し落ち込んだ感じのセレン。
「役に立ったぞ。たぶんセレンはレクティと比べてそう言っているんだと思うが。指揮を執るのは優秀な者なら出来る。セレンは兵士の士気を高めた。そういう事は狙って出来るものじゃない。セレンは大将の資質ありだ」
「そう言ってもらえると気が晴れる」
「お世辞じゃないぞ。本心だ。あれっ、また髭が出来てるな」
「えっ」
慌てて確認するセレン。
「嘘だよ」
「もう、年上をからかうなんて悪い子だ」
セレンは笑っている。
「そう、その笑顔が将の資質なんだ。守りたいって思わせたら勝ちなんだ。意識する必要はない。セレンはそのままでいい。普通が良い時もある」
「聞き捨てなりませんわ。私が普通でないように聞こえるんですが」
「レクティは普通ではないな。だが、それが個性って言うものだろ。個性のない人形みたいな人間だけだったら、つまらない」
ハーレムはつらい。
二人とも立てるのは難しい。
この場にマイラとリニアがいなくて良かった。
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