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第4章 盗まれたスペルブック編
第203話 飼い主探しと、ゴブリン農場と、内職
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茶トラの飼い主探しが始まった。
引き取りたいという人は現れない。
「わたくしが引き取ってもよろしいのですけど」
「レクティの所は駄目だ。だって猫を諜報活動に使うだろう」
「そうですね。訓練された猫はなかなかいないですから」
そうなんだよ。
茶トラ猫は訓練されていた。
簡単な鍵開けさえやってのける。
構造によっては入ったら閉める事も忘れない。
食べ物を隠していても、見つけ出し食ってしまう。
食った痕跡を隠すおまけ付きだ。
たしかにここまで賢い猫はいない。
モンスターの血が入っているような気もする。
仕方ないので元締めを頼った。
「いつ裏切るか分からない猫を預かってほしいんだけど」
「猫使いにでも訓練された奴か」
「まあそんなところ」
「ならゴブリン農場だな。あそこならゴブリンの飼育ぐらいしか秘密がない。ゴブリンの飼育方法を盗まれても痛くもかゆくもない」
「ありがと」
茶トラ猫をゴブリン農場に連れていった。
ゴブリン農場は拡大していた。
もう村の規模じゃない。
ゴブリンの数も1000を超えるんじゃないだろうか。
ゴブリンは長い毛を生やして、食っちゃ寝している。
相変わらず働いている飼育員は、荒くれ者が多いが、実に長閑だ。
「猫を引き取ってほしいんだけど」
「いいぜ。1匹ぐらい食い扶持が増えても問題ない」
俺は茶トラ猫をケージから出した。
茶トラ猫は新しい場所に若干戸惑ったがすぐに慣れたようだ。
道具の隙間に入ってくつろいでいる。
せっかくだから、農場を見学する。
ゴブリンは喉が渇くと生水の魔道具の所に行って水を飲む。
勝手に魔道具を操作している。
今は寒いから、火の魔道具にあたっていたりもする。
温水を出す魔道具で風呂にお湯を張って、入ったりもする。
のぼせると送風の魔道具で涼をとったりも。
文明的な生活をしてやがるな。
弓矢を使う頭があるのだから、魔道具ぐらい使うか。
茶トラ猫が来た。
茶トラ猫はゴブリンが水を飲むのを見て、生水の魔道具を操作して水を飲む。
馴染んでいるようで良かった。
ゴブリンに虐められたりもしてないようだ。
「あの、ゴブリンに内職をさせたらどうかな」
「ほう、そいつは良いな」
俺は石のブロックを作る魔道具を設置した。
ゴブリンは試しに何回かやってみたが、すぐに飽きた。
上手くいかないな。
ああそうだ。
前世のテレビでチンパンジーに計算を覚えさせようとしてたな。
その時、正解したら餌を自動で出すようにしてたっけ。
石のブロックを作ったら、おやつを出せば良いのか。
おやつをあらかじめ作っておいて召喚するのは容易い。
ただ、魔力の問題があるんだよな。
おやつを作った人の魔力が染み込むと他人には召喚できない。
解決策はある。
染み込んだ魔力を抜けばいいんだ。
無事、ブロックを作る魔道具は完成。
「ところで、石のブロックを誰が運ぶんでさぁ」
輸送は考えてなかったな。
ゴブリンが反乱した時の事を考えて、ここは少し王都から離れている。
石のブロックは重い。
輸送も手間だ。
俺は浮遊する板の魔道具を作った。
これを馬車に連結すれば問題ないだろう。
「おやつが足りないぜ」
おやつは練った低品質の小麦粉に、訳ありの果物の汁を混ぜて焼いた物だ。
低品質の小麦粉は安く手に入る。
問題は訳ありの果物だ。
鳥に半分食われたりした物でそんなに数があるわけじゃない。
糖分というのは、いろんな草に含まれている。
召喚も出来るが、不純物が混ざる為、不味い。
製糖魔法なんてどうやるんだ。
そんなのイメージできないぞ。
「ちょっと、この失敗作の砂糖をもらっても良いですかい」
「いいけど」
飼育員が失敗した砂糖でおやつを作る。
それをゴブリンに食わせた。
「ぐぎゃぎゃ」
喜んで食うゴブリン。
「美味いか。もっと食っていいぞ」
えっ、苦くてまずいだろ。
えぐみもあるし。
「やつら、雑草でも何でもくっちまいます。苦いぐらいへっちゃらってもんです」
野生では調味料なんてないからな。
確かに飢えれば何でも食うだろう。
人間より胃腸は丈夫そうだし。
ゴブリンに投げたおやつの一つを茶トラ猫が奪う。
茶トラ猫は、匂いを嗅いで食わなかった。
本当にこの猫賢いな。
体を壊すような物は食わないらしい。
やり直しを要求するとばかりに、飼育員に詰め寄る猫。
飼育員は魚の干物を裂いて猫にやっている。
茶トラ猫はここでなんとかやっていけそうだ。
引き取りたいという人は現れない。
「わたくしが引き取ってもよろしいのですけど」
「レクティの所は駄目だ。だって猫を諜報活動に使うだろう」
「そうですね。訓練された猫はなかなかいないですから」
そうなんだよ。
茶トラ猫は訓練されていた。
簡単な鍵開けさえやってのける。
構造によっては入ったら閉める事も忘れない。
食べ物を隠していても、見つけ出し食ってしまう。
食った痕跡を隠すおまけ付きだ。
たしかにここまで賢い猫はいない。
モンスターの血が入っているような気もする。
仕方ないので元締めを頼った。
「いつ裏切るか分からない猫を預かってほしいんだけど」
「猫使いにでも訓練された奴か」
「まあそんなところ」
「ならゴブリン農場だな。あそこならゴブリンの飼育ぐらいしか秘密がない。ゴブリンの飼育方法を盗まれても痛くもかゆくもない」
「ありがと」
茶トラ猫をゴブリン農場に連れていった。
ゴブリン農場は拡大していた。
もう村の規模じゃない。
ゴブリンの数も1000を超えるんじゃないだろうか。
ゴブリンは長い毛を生やして、食っちゃ寝している。
相変わらず働いている飼育員は、荒くれ者が多いが、実に長閑だ。
「猫を引き取ってほしいんだけど」
「いいぜ。1匹ぐらい食い扶持が増えても問題ない」
俺は茶トラ猫をケージから出した。
茶トラ猫は新しい場所に若干戸惑ったがすぐに慣れたようだ。
道具の隙間に入ってくつろいでいる。
せっかくだから、農場を見学する。
ゴブリンは喉が渇くと生水の魔道具の所に行って水を飲む。
勝手に魔道具を操作している。
今は寒いから、火の魔道具にあたっていたりもする。
温水を出す魔道具で風呂にお湯を張って、入ったりもする。
のぼせると送風の魔道具で涼をとったりも。
文明的な生活をしてやがるな。
弓矢を使う頭があるのだから、魔道具ぐらい使うか。
茶トラ猫が来た。
茶トラ猫はゴブリンが水を飲むのを見て、生水の魔道具を操作して水を飲む。
馴染んでいるようで良かった。
ゴブリンに虐められたりもしてないようだ。
「あの、ゴブリンに内職をさせたらどうかな」
「ほう、そいつは良いな」
俺は石のブロックを作る魔道具を設置した。
ゴブリンは試しに何回かやってみたが、すぐに飽きた。
上手くいかないな。
ああそうだ。
前世のテレビでチンパンジーに計算を覚えさせようとしてたな。
その時、正解したら餌を自動で出すようにしてたっけ。
石のブロックを作ったら、おやつを出せば良いのか。
おやつをあらかじめ作っておいて召喚するのは容易い。
ただ、魔力の問題があるんだよな。
おやつを作った人の魔力が染み込むと他人には召喚できない。
解決策はある。
染み込んだ魔力を抜けばいいんだ。
無事、ブロックを作る魔道具は完成。
「ところで、石のブロックを誰が運ぶんでさぁ」
輸送は考えてなかったな。
ゴブリンが反乱した時の事を考えて、ここは少し王都から離れている。
石のブロックは重い。
輸送も手間だ。
俺は浮遊する板の魔道具を作った。
これを馬車に連結すれば問題ないだろう。
「おやつが足りないぜ」
おやつは練った低品質の小麦粉に、訳ありの果物の汁を混ぜて焼いた物だ。
低品質の小麦粉は安く手に入る。
問題は訳ありの果物だ。
鳥に半分食われたりした物でそんなに数があるわけじゃない。
糖分というのは、いろんな草に含まれている。
召喚も出来るが、不純物が混ざる為、不味い。
製糖魔法なんてどうやるんだ。
そんなのイメージできないぞ。
「ちょっと、この失敗作の砂糖をもらっても良いですかい」
「いいけど」
飼育員が失敗した砂糖でおやつを作る。
それをゴブリンに食わせた。
「ぐぎゃぎゃ」
喜んで食うゴブリン。
「美味いか。もっと食っていいぞ」
えっ、苦くてまずいだろ。
えぐみもあるし。
「やつら、雑草でも何でもくっちまいます。苦いぐらいへっちゃらってもんです」
野生では調味料なんてないからな。
確かに飢えれば何でも食うだろう。
人間より胃腸は丈夫そうだし。
ゴブリンに投げたおやつの一つを茶トラ猫が奪う。
茶トラ猫は、匂いを嗅いで食わなかった。
本当にこの猫賢いな。
体を壊すような物は食わないらしい。
やり直しを要求するとばかりに、飼育員に詰め寄る猫。
飼育員は魚の干物を裂いて猫にやっている。
茶トラ猫はここでなんとかやっていけそうだ。
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