異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第3章 狂戦士の守護者編

第167話 演習旅行と、投げ文と、リラ

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 演習旅行の季節になった。
 去年はごたごたしてたから、行くのをパスした。
 在学中に一度行っておけばいいものらしい。
 成績を良くしたいのなら何度でも挑戦できるけど。

 マイラと一緒に参加する事にした。
 おも研で他に参加するのはリラだけだった。

 馬車に乗り込み目的地の森まで揺られていく。
 飛ぶ板の方が快適なんだけど、道中の行動も採点に入っている。
 別に良い点が欲しい訳じゃないけど、こういう旅行もたまには良いかなと思っただけだ。

「タイト先輩は、18歳でずっといないの。あの姿が好き。きゃは」
「年齢操作はマイラに合わせているんだ。マイラが12歳なので今は13歳に設定している」
「マイラ先輩、愛されてますね。ちょっと焼けちゃうな。あはっ」

「タイトは誰にも渡さない」
「うん、モンスターみたいな視線」
「お前こそモンスターみたいだぞ」

「二人とも馬車の中で喧嘩しないでくれよ」
「タイト先輩、ヒロインみたい。私の為に争わないでって、きゃは」
「俺は寝るよ」

 馬車の中で寝転がり俺は眠った。
 しばらくして、俺はマイラに揺すられていた。
 眠り込んでいたらしい。

 馬車が最初の野営地に着いたようだ。
 毛布とマットを下ろす。
 くるくる巻いてあるマットを広げて、その上に毛布を広げる。
 冬ではないので、毛布1枚でも寒くはない。

 見張りの順番を聞かれたので、最初の人員にマイラと志願した。

 盗賊退治はしたのでこの街道は安全だ。
 魔法学園の演習旅行に合わせて騎士団も街道の掃除をしている。
 モンスターもいないはずだ。

 退屈だが、来る途中に眠ったので、ぜんぜん眠くない。
 警報の魔道具を念の為に設置しておこう。

「マイラはエミッタとアキシャルが恋仲だって知ってたか」
「うん。みえみえ」

「そうか。俺は機微にうといのか」
「真の強者は弱者の事など知らなくて良い。手下の気持ちに気を使わないのは3流。手下の気持ちに気を使っているのは2流。手下に惚れさせるのは1流。超1流は歯牙にもかけなくても上手くいく」

「さいですか。リラをどう見る?」
「一匹狼の寂しがり屋。強がっているけど仲間を求めている」

 そうだよな。
 おも研で嫌味を言った事がない。
 悪口もだ。

 根は良い奴なのかも知れない。
 ただ、仮面を被っているだけで。

 リラの本名は推測できている。
 ペットがどこにいるかだ。

 石に結ばれた投げぶみが飛んできた。
 レクティの手下からだ。

 リラのペットの事について書いてある。
 最近、学園の外でペットに会った形跡はなしと。
 会ってないのかな。
 いや、愛しいあなたなんて書くぐらいだから、会っているはずだ。
 気になる事が書いてあった。
 外出中、サイリスに呼び掛けているのを何度も目撃したと。

 サイリスって狼仮面の名前だよな。
 自分で自分に呼び掛けるのは、多重人格以外になさそうだ。
 サイリスはリラの別人格か。

 まさかサイリスがリラのペット。
 リラの中にペットの魂が入っているのか。
 そうか、それなら納得できる。

 多重人格の病気でなくて、魔法の何かで強制的にそうなったのだな。
 よく生きていられるな。
 ああ、それがリラの病気か。

 複数の生き物がごっちゃになって存在しているのか。
 可哀想に、辛かったろう。
 想像は出来ないな。
 でも辛かったに違いない。

 浄化魔法の事が分かったぞ。
 浄化は精神を安定させる。
 ごっちゃになった人格を安定させたのか。
 なるほど。
 それは効くはずだ。

 身体能力を考えるに、魂だけでなく、体も一緒になっているな。
 これは難問だ。
 リラの心を解きほぐすのも必要だが、滅茶苦茶になった魂と体を元に戻さないといけない。

 簡単な方法として、リラ以外の要素を魔法で分離する。
 この方法を取ったらリラは助かるだろう。
 だが、リラの中にいるサイリスはたぶん助からない。
 それをリラが望むかな。
 たぶん拒否するに違いない。

 リラを納得させる方法を見つけないとな。

「レクティは何んて言ってるの?」
「リラのペットの情報をくれた。だが解決方法がな。前にリラはキメラだと言ったよな。それを元に戻してやりたいが、そうするとリラは助かる。だが、中にいるペットは助からない」

「ペットはリラに寄生して生きてるのね」
「そうだな」

「じゃあ、寄生している部分で生命を創造すれば良んじゃない。通信の魔道具を作る時に人工生命体を作ったでしょう」
「でもあれは魔道具だ。生命体とは呼べないな」

「手足を付けて、目と耳と声を与えれば、生命体よ」
「力技だな」
「強者は些細な事にはこだわらないものよ」

 それしか手はないか。
 魔法を構築するとしよう。
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