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第3章 狂戦士の守護者編

第151話 建国祭と、火球フルパワーと、戦闘

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 建国祭が始まった。
 魔法学園の前の敷地を借りて、パンチングマシーンの露店をやる。
 金は取らない。
 その代わりに挑戦は一人一回だけだ。

「【爆発】パンチしてスカッとして景品を貰うのだ」

 エミッタが爆発を起こし、注目を集め人を呼び込む。
 最初の挑戦者は幼女だった。

 マットに届かないので付き添いの大人が胴を持ち上げる。
 ポスっという音がして、景品は最低ランクの靴ベラになった。

「えーん、ぬいぐるみがほしい」
「今回は特別サービスで全部あげるよ」

 アキシャルは景品を全部1つずつあげた。
 泣く子と地頭には勝てぬだったっけ。
 まあ良いよね。
 めでたい催し物なんだから。

 露店は大盛況だった。
 文句を言ってきた奴は、リラがパンチングマシーンを殴って大人しくさせた。
 プロボクサーを超えるパンチ力を見せられたら黙るしかない。
 リラは『きゃ、新記録だしちゃった。るん』などと言っていたが。

 見知った顔が現れた。
 あの5人組のレジスタの戦闘部隊だ。

「見回りか。めでたい日にいざこざを起こすなよ」
「それは相手しだいってもんです」

 言っても聞かなさそうだ。

「タイト先輩の知り合いですか。景品の靴ベラをどうぞ」
「おう、ありがとう」

 熊がリラから靴ベラを受け取った。

「魔王の魔法を見せて。約束」

 狐が期待に胸を膨らませている感じで、そう言った。

「仕方ないな【火球フルパワー】」

 俺はドラゴンのアルゴもびびった火球を空に出して消した。

「ほあ、あれは勝てない」
「狐、魔王に勝負を挑むつもりだったの」

 虎が茶化したような口調でそう言った。

「頂点の高みがどれほどか知りたかった」
「狐は魔導師と一対一で敵わないわよね」
「夢は大きく」
「寝ションベンしても知らないよ」

「いっけなーい。リラ、バイトの時間。急がないと遅れちゃう」

 そう言ってリラが駆け出して行った。
 忙しい子だな。

「では吾輩たちはこれにて」

 戦闘員も去って行った。
 それからトラブルもなく露店は終わり、後片付けをしていたら、フラフラした足取りで狐が現れた。

「酷い怪我だ【完全回復】」
「助けて、みんなが大変なの」

 狐は地図を渡すと気を失った。

「レクティ、後は任せた。マイラ、行くぞ」

 俺は身体強化を掛けて走った。
 くそっ、パレードが始まるので人が多い。
 板を浮かべて、それに乗って空を飛んだ。

 マイラは建物の屋根の上を走って付いてくる。

「私をお忘れになっては困ります」

 ダイナも追いかけて来た。
 二人とも屋根の上を走るのが様になっているな。
 訓練でもしているのだろうか。

 3人とも問題なく目的地であるバーに着いた。
 入口は無残に壊され、中に入ると多数の死人がいる。
 仮面を被ったの人間と町人風が半々だ。
 戦闘音がするので目をやると、壁が粉々に壊され、熊が飛んできた。

「【エアクッション】、【完全回復】」

 俺はエアクッションの魔法で受け止めてから、回復魔法を掛けてやった。

「すまねぇ。恩に着る」

 熊はそう言うと崩れた壁の穴から、戻って行った。
 俺も中を覗く。

 サイリスと4人が戦っていた。
 サイリスは時々、武器で攻撃を受けるが、傷一つなかった。
 回復ではなくてバリアの一種だな。

「マイラとダイナの攻撃は効果がなさそうだ」
「嫌がらせは出来る」
「気をそらすことぐらいなら」

「よし、隙を作ってくれ」

 マイラがサイリスの背後に回る。
 ダイナは投げナイフを投げまくった。
 さて、どんな魔法を使おうか。

「【真空】」

 サイリスの周りの空気を抜く。
 サイリスは飛び退いた。
 マイラが背中に短剣を突き立てる。
 だが、バリアに阻まれたようだ。

 サイリスは唸り声を上げると逃げ出した。

「今回も見逃された気分だぜ」

 狸がやれやれというジェスチャーをする。

「それより何でアジトの場所が分かったのよ。スパイがいるわね」

 虎がそう言った。

「よせ」

 鷹が制止する

「そうだ。同胞を疑うのは良くないぜ」

 と熊が言う。

「魔法で追跡されたんじゃないかな。俺は魔力の残滓を追跡できる」

 俺はそう言ってみた。

「何でもありってわけですか」
「同胞を疑って、私が悪かったわ。追跡には気をつけているつもりだけど、一筋縄じゃいかないのね」

 サイリスが強くなっている。
 サイリスにフルパワー魔法は使いたくないな。
 被害が大きすぎる。
 ここら一帯が焦土になっていいなら構わないけど、そういうわけにもいかない。
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