異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

文字の大きさ
上 下
138 / 409
第3章 狂戦士の守護者編

第138話 肉弾戦と、大食いと、リラの生い立ち

しおりを挟む
 3日目、2回戦が始まる。
 何となく気になったので、リラの観戦に行く。
 リラの相手は、蛮族のような出で立ち。
 上半身には派手な首飾り以外は身に着けていない。
 ペイントなのか入れ墨なのか分からないなが、模様が肌に描かれている。
 髪型もモヒカンに近いヘアスタイルだ。

 どんなファッションが好きだろうが、俺には関係ない。
 ないが、個性的だとどんな人も思うだろう。
 他国からの留学生かな。

 始めの合図と共に両者がぶつかる。
 追突音がして空気が震えた。
 身体強化系が得意な奴だったか。

 目は二人の動きを追えてないが、感知の魔法は二人の動きを捉えている。
 最初の激突はパンチの拳同士が相打ちになった。

 そして、蹴りを交えた格闘戦。
 1秒間に数十のやり取りがある。
 二人とも人間の限界を超えていないか。

 リラのパンチが一発、モヒカン男の顔に刺さる。
 二人は距離を取った。
 モヒカン男が、口の端から垂れた血を指で拭って、唾を吐いた。
 そして、リラと会話を交わした。

 歓声に包まれているので会話の内容は聞き取れない。
 モヒカン男が気合を溜める。

 湯気のような物がモヒカン男から立ち昇った。
 さっきより数段速い速度で二人が応酬を始めた。
 モヒカン男の拳に電撃が宿る。

 必殺技か?
 音速を超えたんじゃないかという電撃付きパンチが、リラの腹に突き刺さった。

 リラの動きが一瞬止まる。
 勝負あったか。
 というか、リラの最初の一撃で勝負ありだろ。
 審判をみると試合を止める気配がない。

 こいつ、二人の応酬が見えてないな。
 いや、買収されているのか。
 分からないが、審判は役に立ってないって事だ。

 動きの止まったリラから唸り声が聞こえた気がした。
 次の瞬間、モヒカン男は飛ばされ、壁に叩きつけられ、クレーターを壁に作った。
 死んでないだろうな。

 モヒカン男はフラフラと歩み出て降参の合図をして、審判が勝負ありの声を発した。
 リラが石の舞台から降りて俺の所にやってきた。
 唸り声が微かに聞こえる。
 脇にいるダイナが構えを取った。
 大丈夫かこれ。
 俺はバリアを最強で起動した。

「やだぁ、怖い顔。リラ、お腹が空いちゃった。先輩、食べても良いよね」

 リラはバスケット6つを食い入るように見つめている。
 俺とダイナはリラの気迫に押されて、サンドイッチが入ったバスケットを速攻で差し出した。
 リラが貪るようにサンドイッチを食う。
 おも研のメンバー全員分の昼飯がリラの腹に消えた。

 リラの唸り声が止まる。

「大食いなんだな」
「てへっ、だって腹ペコだったんだもん」

 ダイナが構えを解く。
 俺もバリアを解除した。

 モヒカン男も気になるが、リラはもっと気になる。

「リラはどういう育ち?」
「孤児院育ちだよーん」
「よく魔法学園に入る為の勉強が出来たな」
「親切な貴族さんが助けてくれたの」
「その貴族の名前は?」
「死んじゃって悲しいから、忘却の彼方に、ぽいぽい」

 言いたくないようだな。
 レクティはリラの事を、もう調べ始めているんだろうな。

 俺は露店で昼飯を補充してから、レクティの試合会場に向かった。
 レクティの試合は終わっていた。

「リラの情報はどうなっている」

 レクティに俺は尋ねた。

「孤児院で育った後に、ある子爵家の支援を受けてます。その貴族は病気で亡くなっているので詳しい事は分かりません」
「それはリラに聞いた話と一致するな。おかしい所はあったか?」
「いいえ、一点もありません」

 ハングリー精神があるのは分かった。
 恵まれない生活をしてきたんだろう。
 だが、あの飢えた獣のような有様はなんだ。

 子爵に人体改造されているのか。
 それならレクティが何か掴んでるはずだ。
 何かがおかしい。
 モヒカン男に話を聞いてみるか。

 俺はモヒカン男を探した。
 彼の友人に話を聞くと未熟を悟って退学して帰郷したという。
 モヒカン男の話も聞けた。
 いわくリンゴを握り潰せるだけでなく、石も握り潰せるとの事。
 こっちも、人体改造の疑いありだな。
 リラと同じ組織ではないのだろう。
 物騒な事だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

処理中です...