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第3章 狂戦士の守護者編

第135話 入学式と、リラと、新人勧誘

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 今日は魔法学園の入学式だ。
 首席入学が誰なのか見物に行く事にした。

 式が進み代表が進み出る。
 あれか。
 名前はリラか。
 平凡な名前だな。
 銀髪でツインテールにしている。
 眼鏡っこだな。
 年の頃は17歳ぐらいか。
 小さい子がツインテールにしていると可愛いと思うが、十代後半だと少し痛いような気がする。
 まあ顔が童顔だから、普通の十代後半より似合っている気はするが。
 俺はファッションセンスがない方だからとやかくは言うまい。

 でも、何か引っ掛かる。
 何だろう?
 思い当たらないという事は、それほど重要ではないって事かも知れない。

 まあいいや。
 見物は終わったので、おも研でやる新人勧誘に合流した。

 チラシは複写の魔法で何百枚と作ってある。
 アキシャルは相変わらず魔法で花を作って配っていた。
 エミッタは空で爆発を起こしている。

 俺とマイラとレクティとセレンはチラシを配る役だ。
 人はそこそこ来た。
 アキシャルの花が好評で、それには女子の列が出来た。

 今回のアキシャルの花は、色々な色に染めた紙を材料に作っている。
 暖かい感じが去年の石や鉄とは違う。
 それに香りまでついている。
 進化しているけど、こういう方面には手を抜かないとは、アキシャルらしいな。

 だが、入部したいという人はいない。
 変わり者の集まりだと噂が立っているせいだ。
 俺ってそんなに変わっているかな。
 魔法を抜けば普通だと思うんだけど。
 他のメンバーは変わっているとは思う。
 俺をその仲間に入れるのは勘弁してほしい。

 俺の前に女の子が立った。
 それはあのリラだった。

「入部したいの。きゃっ言っちゃった」
「変人の巣窟にようこそ。言っとくけど俺は普通だから」

「知ってる。反乱を鎮圧した英雄でしょ。凄かった。オーラ満載。爆発してた」
「パレード、見てたのか」
「すごく見てたよ。目が痛くなるぐらい」

「入部希望者の君には花をあげよう。名前を聞いてもいいかな」

 アキシャルが花を差し出した。

「リラでーす」

 リラは花を受け取りにっこり笑った。
 違和感を感じてよく見ると、目が笑ってない。
 一癖ぐらいはありそうだ。
 やっぱり変人だな。
 類は友を呼ぶって事か。

「素晴らしい。花の名前だね。たしか、白いリラの花言葉は無邪気だったはず。確かに君はそんな感じだね」

 そうか、違うと思うけど。

「入部ありがとうなのだ。どんな面白魔法を使いたいのだ」

 エミッタがそばに来て尋ねた。

「魔法で可愛いーペットを作りたいな」
「それは面白いのだ。モンスターでないゴーレムの研究は、他の部でもやっているけど、可愛さに主眼を置くとは侮れないのだ」
「名前ももう決めてあるの」
「何なのだ? 言いたまえ」
「ペットを作った時まで教えなーい。だって、いま言ってしまうと価値が下がりそうなんだもん」
「そのこだわりも良いのだ」

 リラがおも研に入る事になりそうだ。
 あの見せかけの無邪気さ奥に何を隠しているのだろう。
 だけど、ペットを作りたいと言った時には目が笑ってた。

 動物好きなのだと思う。
 ダイナと気が合ったりしてな。

 俺はゴブリンの毛で魔法を使いぬいぐるみを作った。

「寮でペットは飼えないけど、これなら大丈夫だよね」

 ぬいぐるみをリラに渡した。

「ありがとね」

 目が笑ってない。
 生きた動物の方がいいのかな。
 でもペットを作りたいって言ったんだよね。
 ぬいぐるみも好きそうだと思ったんだけど。
 人の心は難しい。

「へぇ、この子が入るのか」
「マイラ、年上だよ。この子はないと思うけど」
「新入りは下につく。スラムの掟」

「むーっ、この子じゃないもん。リラだよ」
「私はマイラ。先輩だから、さん付けで呼ぶように」
「えーっ、そういうのは好きじゃない」

「マイラ、仲良くしてやりなよ」
「そうね。仲良くしましょ。さん付けは別にいいわ。スカートの右側が乱れているわよ。それと上着の左側」
「えっ、変じゃないけど。何の事? 分かんない」
「それなら、別に良いわ」

 何か意味深な台詞だな。
 マイラにさっきのあれ何って耳打ちすると、そのうち分かると言われた。
 何か問題児が入ってきたみたいだ。
 マイラとはひと悶着ありそうだな。
 殺し合いになったりはしないだろうと思いたい。
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