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第2章 実家ざまぁ編
第130話 説得と、タンタルの最後と、降りた幕
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診たところ、サイラは致命傷でも即死でもない。
これなら助けられる。
助ける前に。
「マイラ、ダイナ、タンタルの相手をして差し上げろ。魔法は食らうな。それと殺すなよ」
「任せて」
「簡単な任務です」
これでいい。
「ノッチ、復讐は周りを不幸にするんだよ。ノンポーラもだが、お前は何人殺した?」
「分からない。地中爆弾で何人死んだか分からないんだ」
「あれはお前が作ったのか。その爆弾で死んだ人間にも家族がいるんだ。復讐を諦めて罪を償え」
「そうすればサイラは助かるのか?」
ノッチが泣いている。
「ああ、復讐より人を生かす選択をしろ」
「亡き母とサイラに誓う。もう人は殺さないと。罪も償う」
俺はサイラに完全回復を掛けてやった。
「良かった。サイラ、良かった」
ノッチの後悔の涙が、安堵の涙に変わったようだ。
「皆、悪いな。この部屋から出てってくれ。タンタルと決着をつけないといけない」
何かを察したのか皆が無言で出て行く。
俺とタンタルが部屋に残された。
「タイト、どういうつもりだ。お前の命で他の者を見逃せとでも言うのか」
「マイラとダイナはいつでもあんたを殺せたんだよ。秘伝の魔法は凄いが、食らわなければどうという事はない。戦闘訓練なんかろくに受けてないだろ。魔法の使い方もだが、動きも遅いんだよ」
「挑発のつもりか。その手には乗らんぞ」
「事実を言ったまでだ」
「減らず口を、【必滅矢】」
「【魔法キャンセル】」
「何だと!」
「そういう所が隙だらけなんだ。【火球】」
タンタルが身長の倍もある火球に飲み込まれて灰になった。
親子三人であの世で暮らすんだな。
拍手する音がした。
隠し通路から白い仮面の男が現れて拍手している。
誰だこいつ。
「魔法キャンセルですか。お見事です。タンタルのスペルブックもですが。あなたのも回収すると致しましょう。あなたとノッチを殺した後で【太陽火球】」
俺はバリアで防いで、魔道具を使い火球を放った。
「【障壁】」
相手はバリアみたいなのを張った。
「【魔法キャンセル】」
火球が衝突する前に障壁を消した。
「くっ、ここまでか」
仮面の男は黒焦げになった。
こいつ、誰だったんだ。
自信ありげに出て来たが弱かった。
遺留品のスペルブックに魔導師を思わせる文言が出て来た。
たぶん、下っ端の魔導師だな。
推測するに反乱失敗の責任を取らされる可能性があったのではないかな。
後はそうだな、自暴自棄になってたか。
反乱は魔導師が裏で動いていたらしい。
詳しくはランシェ辺りが調べるだろう。
隠し通路で戦闘を見ていたのなら、魔法キャンセルの存在を知らせている可能性がある。
どうやら、魔導師は全員をやらないと安心して眠れないようだな。
それにこの反乱のツケを払わせないと。
部屋の外に出るとノッチの顔がさっきより穏やかに変わっていた。
憑いていた物が落ちたという事なのか、それとも魔法が切れたのか。
どちらにせよ元の顔に戻ってきているんだと思う。
「さて、城内は制圧したから、後は後詰めを待つだけだ」
『アルゴ、俺が作った道を人が通る。護衛してやってくれ。あとでオークを腐るほど食わせてやる』
「やるやる」
子供がするような返事が城の外から聞こえて来た。
終わったな。
バリアブルという呪縛がなくなった気分だ。
「後始末が大変ですね」
レクティがため息と共にそう漏らした。
「そういう時の為にランシェがいる。俺はなんと言っても成人前の子供だからな」
「スラムの人間は成人なんか関係ない」
「殺し屋もです」
「スラムの人間や殺し屋になったつもりはないんだけどな」
「捨てられた子供はみんな浮浪児。仲間だよ」
「そう言われれば、仲間かもな」
「何人か殺せば、殺し屋です」
「報酬は貰ってない」
「では殺人鬼ですね。おお、恐ろしい。猫でこの恐ろしさを浄化しないとです」
「ダイナ、猫を探しに行っていいぞ」
「では」
ダイナが瞬く間に消えた。
「グリフォンの目玉をまた頂けませんか? 使ってしまったので」
とレクティが言う。
「いいけど、何に使ったんだ」
「牛の興奮剤です」
「牛ねぇ」
なぜに牛?
ちらりと前世で猥談の延長で同僚達と見た映像が頭をかすめた。
まさかな。
「何を考えてます」
レクティに睨まれた。
「いや、子牛が一杯産まれるといいね」
「まあ」
レクティの顔が真っ赤になった。
マイラもだ。
何かいけない事言ったかな。
俺はしこたまレクティとマイラにポカポカ殴られた。
なんでだ。
これなら助けられる。
助ける前に。
「マイラ、ダイナ、タンタルの相手をして差し上げろ。魔法は食らうな。それと殺すなよ」
「任せて」
「簡単な任務です」
これでいい。
「ノッチ、復讐は周りを不幸にするんだよ。ノンポーラもだが、お前は何人殺した?」
「分からない。地中爆弾で何人死んだか分からないんだ」
「あれはお前が作ったのか。その爆弾で死んだ人間にも家族がいるんだ。復讐を諦めて罪を償え」
「そうすればサイラは助かるのか?」
ノッチが泣いている。
「ああ、復讐より人を生かす選択をしろ」
「亡き母とサイラに誓う。もう人は殺さないと。罪も償う」
俺はサイラに完全回復を掛けてやった。
「良かった。サイラ、良かった」
ノッチの後悔の涙が、安堵の涙に変わったようだ。
「皆、悪いな。この部屋から出てってくれ。タンタルと決着をつけないといけない」
何かを察したのか皆が無言で出て行く。
俺とタンタルが部屋に残された。
「タイト、どういうつもりだ。お前の命で他の者を見逃せとでも言うのか」
「マイラとダイナはいつでもあんたを殺せたんだよ。秘伝の魔法は凄いが、食らわなければどうという事はない。戦闘訓練なんかろくに受けてないだろ。魔法の使い方もだが、動きも遅いんだよ」
「挑発のつもりか。その手には乗らんぞ」
「事実を言ったまでだ」
「減らず口を、【必滅矢】」
「【魔法キャンセル】」
「何だと!」
「そういう所が隙だらけなんだ。【火球】」
タンタルが身長の倍もある火球に飲み込まれて灰になった。
親子三人であの世で暮らすんだな。
拍手する音がした。
隠し通路から白い仮面の男が現れて拍手している。
誰だこいつ。
「魔法キャンセルですか。お見事です。タンタルのスペルブックもですが。あなたのも回収すると致しましょう。あなたとノッチを殺した後で【太陽火球】」
俺はバリアで防いで、魔道具を使い火球を放った。
「【障壁】」
相手はバリアみたいなのを張った。
「【魔法キャンセル】」
火球が衝突する前に障壁を消した。
「くっ、ここまでか」
仮面の男は黒焦げになった。
こいつ、誰だったんだ。
自信ありげに出て来たが弱かった。
遺留品のスペルブックに魔導師を思わせる文言が出て来た。
たぶん、下っ端の魔導師だな。
推測するに反乱失敗の責任を取らされる可能性があったのではないかな。
後はそうだな、自暴自棄になってたか。
反乱は魔導師が裏で動いていたらしい。
詳しくはランシェ辺りが調べるだろう。
隠し通路で戦闘を見ていたのなら、魔法キャンセルの存在を知らせている可能性がある。
どうやら、魔導師は全員をやらないと安心して眠れないようだな。
それにこの反乱のツケを払わせないと。
部屋の外に出るとノッチの顔がさっきより穏やかに変わっていた。
憑いていた物が落ちたという事なのか、それとも魔法が切れたのか。
どちらにせよ元の顔に戻ってきているんだと思う。
「さて、城内は制圧したから、後は後詰めを待つだけだ」
『アルゴ、俺が作った道を人が通る。護衛してやってくれ。あとでオークを腐るほど食わせてやる』
「やるやる」
子供がするような返事が城の外から聞こえて来た。
終わったな。
バリアブルという呪縛がなくなった気分だ。
「後始末が大変ですね」
レクティがため息と共にそう漏らした。
「そういう時の為にランシェがいる。俺はなんと言っても成人前の子供だからな」
「スラムの人間は成人なんか関係ない」
「殺し屋もです」
「スラムの人間や殺し屋になったつもりはないんだけどな」
「捨てられた子供はみんな浮浪児。仲間だよ」
「そう言われれば、仲間かもな」
「何人か殺せば、殺し屋です」
「報酬は貰ってない」
「では殺人鬼ですね。おお、恐ろしい。猫でこの恐ろしさを浄化しないとです」
「ダイナ、猫を探しに行っていいぞ」
「では」
ダイナが瞬く間に消えた。
「グリフォンの目玉をまた頂けませんか? 使ってしまったので」
とレクティが言う。
「いいけど、何に使ったんだ」
「牛の興奮剤です」
「牛ねぇ」
なぜに牛?
ちらりと前世で猥談の延長で同僚達と見た映像が頭をかすめた。
まさかな。
「何を考えてます」
レクティに睨まれた。
「いや、子牛が一杯産まれるといいね」
「まあ」
レクティの顔が真っ赤になった。
マイラもだ。
何かいけない事言ったかな。
俺はしこたまレクティとマイラにポカポカ殴られた。
なんでだ。
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