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第2章 実家ざまぁ編
第120話 地中爆弾と、自動扉と、僕はニオブ
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Side:偽ニオブ
僕がやるより早く地中爆弾が撤去された。
どうやったのかは分からないが平民の被害の報告は減った。
地中爆弾を渡した商人は全員逮捕されたようだ。
王家もなかなかやる。
商人の財産は全部没収で、地中爆弾の被害者に充てられたと聞いた。
王家の人気取りの施策なのだろうが、僕の心も少し軽くなったような気がする。
それより地中爆弾を解除されないように工夫しないと。
爆発の所を【火薬の爆発を持って鉄玉を飛ばせ】に変更してみよう。
これならかなり離れていても解除されないはずだ。
地中爆弾の試験はもうやめよう。
僕は改良型の地中爆弾を量産して、バリアブル領に送った。
これで反乱を起こした時に領の守備は最低限で済むはずだ。
兵器でない平和な魔道具を作りたい。
僕はかねてから考えていた人が近づくと開くドアの開発を始めた。
普通の扉だと危険だな。
閉じる扉に挟まれたり、開く扉に体を打たれたりする。
何か良い扉はないだろうか。
しばらく考えて部屋を行ったり来たりする。
ああ、僕の動きだ。
これだ、横に行ったり来たりする扉だ。
これが自動的に開く扉にふさわしい。
開くときに危険になる事はこれで解消された。
閉じるときに挟まれるのは、人がいなくなってから閉じれば良い。
こういう複雑な動きをさせる場合はラベルと条件分岐を使うのだな。
敵であるタイトの論文だ。
敵ながらあっぱれだ。
敵でなければ、魔道具について一晩中話し合いたい。
王族でなくて平民なら良かった。
風の力で扉は開いたり閉まったりする。
もっと良い方法がありそうだが、自動的に開く扉はすぐに完成した。
「ちょっと、そこに立ってくれる」
「ここですか」
メイドが扉の前に立つ。
すーっと扉が滑って開く。
「凄い、扉が何もしなくても開きました」
「扉からこっちに来てごらん」
「うわ、今度は閉まりました。物を持っている時にこの扉だと便利ですね。坊ちゃんは天才です」
「僕なんか天才じゃない。ラジオを作ったような奴を天才と言うんだ」
「あれ、人気ですよね。歌の時間は必ずラジオの前に座っています」
「基本の発明は、僕と同じぐらいの女の子がしたらしいんだ」
「凄いですね。きっと儲けたんでしょうね」
「ああ、通信講座にお金を湯水のようにつぎ込んでいるらしい」
「通信講座も面白いです。料理の時は聞くようにしてます」
「それに腕時計もだ。今までの魔道具の時計は、魔道具を作る人の時間感覚で、時間の進みが左右されたから」
「私も腕時計持ってます」
「彼女とも話をしてみたいな」
「私、会いに行って来ましょうか」
「ぜひ頼む。いいや、やめとこう」
「どうしてです?」
「僕の手は血塗られてしまった。魔道具職人を名乗ってはいけないような気がするんだ」
「でも魔道具職人さんは、攻撃の魔道具もお作りになられますよ」
「そうだけど、その矛先はモンスターに向けられている。僕のは人間に向いてしまったんだ」
「それは使う人が愚かだっただけではないでしょうか」
「そうなのかな。僕はまだ魔道具職人を名乗れるのだろうか」
「坊ちゃんは公爵家嫡子です。貴族が仕事なのでは」
「ああ、そうだった。忘れていたよ。扉の魔道具を作ったのか嬉しくって、魔道具職人になりきってしまった」
「変な、坊ちゃん」
「さっきの話は忘れてくれ」
「はい」
ふう、危なかった。
魔道具職人見習いではない。
今の僕は公爵家嫡子のニオブだ。
ふと、思った手をかざすと、水が出てくる蛇口も作れるし、地図の前に立つと自動的に案内が表示されるのも作れる。
ニオブになってから魔道具設計のアイデアが浮かぶようになってきた。
これも仮面の男が持って来た資料を読んだからだ。
いけない、いけない。
僕は魔道具職人ではない。
反乱が成功して、いつか魔道具開発に明け暮れる未来がくるのだろうか。
反乱が始まれば犠牲者は沢山出るだろう。
僕は今よりもっと血塗られてしまうに違いない。
でもやめられない。
死んだ母の顔が今でも思い起こされる。
母の無念を忘れてはいけない。
貴族と王族全てを殺すのだ。
でないと母が浮かばれない。
僕がやるより早く地中爆弾が撤去された。
どうやったのかは分からないが平民の被害の報告は減った。
地中爆弾を渡した商人は全員逮捕されたようだ。
王家もなかなかやる。
商人の財産は全部没収で、地中爆弾の被害者に充てられたと聞いた。
王家の人気取りの施策なのだろうが、僕の心も少し軽くなったような気がする。
それより地中爆弾を解除されないように工夫しないと。
爆発の所を【火薬の爆発を持って鉄玉を飛ばせ】に変更してみよう。
これならかなり離れていても解除されないはずだ。
地中爆弾の試験はもうやめよう。
僕は改良型の地中爆弾を量産して、バリアブル領に送った。
これで反乱を起こした時に領の守備は最低限で済むはずだ。
兵器でない平和な魔道具を作りたい。
僕はかねてから考えていた人が近づくと開くドアの開発を始めた。
普通の扉だと危険だな。
閉じる扉に挟まれたり、開く扉に体を打たれたりする。
何か良い扉はないだろうか。
しばらく考えて部屋を行ったり来たりする。
ああ、僕の動きだ。
これだ、横に行ったり来たりする扉だ。
これが自動的に開く扉にふさわしい。
開くときに危険になる事はこれで解消された。
閉じるときに挟まれるのは、人がいなくなってから閉じれば良い。
こういう複雑な動きをさせる場合はラベルと条件分岐を使うのだな。
敵であるタイトの論文だ。
敵ながらあっぱれだ。
敵でなければ、魔道具について一晩中話し合いたい。
王族でなくて平民なら良かった。
風の力で扉は開いたり閉まったりする。
もっと良い方法がありそうだが、自動的に開く扉はすぐに完成した。
「ちょっと、そこに立ってくれる」
「ここですか」
メイドが扉の前に立つ。
すーっと扉が滑って開く。
「凄い、扉が何もしなくても開きました」
「扉からこっちに来てごらん」
「うわ、今度は閉まりました。物を持っている時にこの扉だと便利ですね。坊ちゃんは天才です」
「僕なんか天才じゃない。ラジオを作ったような奴を天才と言うんだ」
「あれ、人気ですよね。歌の時間は必ずラジオの前に座っています」
「基本の発明は、僕と同じぐらいの女の子がしたらしいんだ」
「凄いですね。きっと儲けたんでしょうね」
「ああ、通信講座にお金を湯水のようにつぎ込んでいるらしい」
「通信講座も面白いです。料理の時は聞くようにしてます」
「それに腕時計もだ。今までの魔道具の時計は、魔道具を作る人の時間感覚で、時間の進みが左右されたから」
「私も腕時計持ってます」
「彼女とも話をしてみたいな」
「私、会いに行って来ましょうか」
「ぜひ頼む。いいや、やめとこう」
「どうしてです?」
「僕の手は血塗られてしまった。魔道具職人を名乗ってはいけないような気がするんだ」
「でも魔道具職人さんは、攻撃の魔道具もお作りになられますよ」
「そうだけど、その矛先はモンスターに向けられている。僕のは人間に向いてしまったんだ」
「それは使う人が愚かだっただけではないでしょうか」
「そうなのかな。僕はまだ魔道具職人を名乗れるのだろうか」
「坊ちゃんは公爵家嫡子です。貴族が仕事なのでは」
「ああ、そうだった。忘れていたよ。扉の魔道具を作ったのか嬉しくって、魔道具職人になりきってしまった」
「変な、坊ちゃん」
「さっきの話は忘れてくれ」
「はい」
ふう、危なかった。
魔道具職人見習いではない。
今の僕は公爵家嫡子のニオブだ。
ふと、思った手をかざすと、水が出てくる蛇口も作れるし、地図の前に立つと自動的に案内が表示されるのも作れる。
ニオブになってから魔道具設計のアイデアが浮かぶようになってきた。
これも仮面の男が持って来た資料を読んだからだ。
いけない、いけない。
僕は魔道具職人ではない。
反乱が成功して、いつか魔道具開発に明け暮れる未来がくるのだろうか。
反乱が始まれば犠牲者は沢山出るだろう。
僕は今よりもっと血塗られてしまうに違いない。
でもやめられない。
死んだ母の顔が今でも思い起こされる。
母の無念を忘れてはいけない。
貴族と王族全てを殺すのだ。
でないと母が浮かばれない。
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