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第2章 実家ざまぁ編

第79話 ゴブリン農場と、毛長ゴブリンと、ぬいぐるみ

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 ゴブリン農場が生まれ変わったと言うので見に行った。

 あれっ、飼育されているのがゴブリンじゃない。
 雪男の小さい版みたいなのが歩いている。

「可愛いい。もふもふ」

 マイラがそれに抱きつき、じゃれる。

「どうです。わしらのゴブリンは。見事な毛並みでしょう」
「えっ、その俺達の背より低い雪男はゴブリンなの」
「ゴブリンの肌がツルツルなのは、激しく動き回るからなんでさぁ」
「へぇ、知らなかった」

「わしらも知りやせんでしたが、敵が居ないと判ったら寝てばかりで、こんなになったんで」
「肥満の肉が毛の方に行くのか。謎生態だな」
「おまけに寒くなくなったのか、食べる餌の量も減っとります」

「で、俺を呼んだって事は相談事かな」
「この毛長ゴブリンを、ペットとして売り出そうか考えている最中ですが……」

 急に黙る飼育員。

「問題がありそうだね」
「こいつら普段は大人しいが、たまに野生に戻るんでさ」

「ありがちだね。猿も一年に一回ぐらい飼っている人間に、反抗するらしい。群れの順位を確かめるための行為なんじゃないかな」
「良く考えたらわしらも似たようなもんだ。たまに上とやってみたくなるってもんで」

 奴隷化の魔法は、魔導師の魔法だから、ちょっと不味い。
 でも、そういう安全装置がないとな。
 気を許して一緒に暮らしていたら、寝込みを襲われたなんて事になったら、洒落にならない。

 中途半端に頭も良いのが難しい。
 檻を自分で開けるぐらいしそうだ。
 道具も使うからな。
 猿より頭が良い。

 奴隷化の魔法は作りたくないな。
 魔導師に知られたらややこしいのもあるが、倫理的にあまりやりたくない。
 奴隷の首輪なんてものも、ちょっとどうかと思う。
 人間に悪用される危険性が大だ。

 大人しくさせるのだったら、リラックスの魔道具なんてどうか。
 いや、魔道具の魔力が切れていたのに気づかず、やられていたという事態も考えられる。
 上手くいかないな。
 いっそ、性格を変えてしまおうか。
 魂を弄ればできない事もない。
 この方法は恐ろしいな。
 これじゃマッドサイエンティストだ。

「無理だね。毛を刈って何かに使った方が良いかもしれない」
「やっぱり、そうですか。そんな気はしてたんです」
「毛を刈っちゃうの」
「マイラ、もふもふはエレクで我慢するんだな」
「うん、我慢する」

 ゴブリン牧場の人が総出でゴブリンの毛を刈り取る。
 そして一人が毛で玉を作り、毛長ゴブリンのぬいぐるみを作った。

 やっぱり、子供に与えるのならこういうのがいいよな。
 これなら反抗して人間を殺しにもこない。
 付属の魔道具を考える。

extern MAGIC *button_make(float mana);
extern int touch(MAGIC *mp);
extern void speak(char *ss);
extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)
{
 MAGIC *mp; /*魔法の定義*/
 mp=button_make(0.00005); /*ボタン生成*/
 while(1){
  if(touch(mp)==1){ /*ボタンに触った*/
   switch(rand()%5){
    case 0:
     speak("くきゅう"); /*音声を流す*/
    break;
    case 1:
     speak("くぷ?"); /*音声を流す*/
    break;
    case 2:
     speak("きゅうきゅう"); /*音声を流す*/
    break;
    case 3:
     speak("くんくん); /*音声を流す*/
    break;
    case 4:
     speak("ぷった"); /*音声を流す*/
    break;
   }
  }
 }
 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}

 この魔道具をぬいぐるみにつける。
 5つの鳴き声がするようにした。
 子供に受けるに違いない。

「これでこいつらを、寿命以外に殺さなくてもいいんで、良かったです」

「殺す必要がないなら。殺す事もない。必要があれば、容赦はしない。魔石は必要だよ」
「いやマイラ、必要があってもよく考えないと」
「うん、考える」

 少しでも平和な世界になってくれるといい。
 でもなぁ、状況が許してくれなさそうだ。
 偽ニオブは何かやらかしそうだし、魔導師も黙っていないだろう。
 殺しはモンスターぐらいにしときたい物だ。
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