77 / 409
第2章 実家ざまぁ編
第77話 職業見学と、流民問題と、匂い魔法
しおりを挟む
今日は職業見学の授業だ。
俺達おも研メンバーは、オルタネイト商会の配下の魔道具工房に、お邪魔した。
「いらっしゃいませ」
出迎えたのは元アルミナで今はレクティ。
「たしか、アルミナさんは亡くなったのだ」
エミッタがさっそく疑問を口にした。
「私はレクティです。オルタネイト伯爵とは親戚にあたります。アルミナさんとは、はとこの関係です」
「失礼したのだ。あまりにも似ているのだ」
「よく言われます」
「じゃあ、見学させてもらおう」
俺達は職人達に質問を開始。
俺はレクティに手招きされた。
何だろ。
「ちょっと、困っているのです」
「何なのか分からないが、俺がやる筋合いなんてないだろ」
「いいえ、責任はあります。バリアブルが落ち目なのは知ってますよね?」
「まあな」
「食えなくなった。領民が多数、隣のオルタネイト領に、逃げ出してます。この工房の職人も元はバリアブルの住民です」
「俺にも責任の一端はありそうだから、同情はするよ。でも新しい魔道具の普及を止める事なんて出来ない」
「構造に問題があるのです。クラッド商会とオルタネイト商会が莫大な富を独占しています。なんとか新しい魔道具作成の技術をオルタネイトの職人に伝えられませんか」
魔道具を作る魔道具を貸し出す事は出来る。
出来るがこれをやったら、職人の技術が衰退しないか。
魔道具を作る魔道具は俺にしか作れない。
俺がその魔道具の供給が出来なくなったら、破滅一直線だ。
これは上手くない。
「何か手を考えてみるよ。ところで、レクティは何で工房に勤めているんだ?」
「スパイが入り込んでいるのです。私は彼らをあぶり出す囮ですね。オルタネイト伯の親戚が来たとなると怪しい人が浮足立ちます。捜査役の人がやり易いのだそうです」
「タイト、アルミナさんと何をこそこそ話しているの」
「マイラ、怒るなよ。えっ、アルミナ? ああ、歩き方で分かるんだったな。アルミナとは仕事の話だ」
「そう、ならいいけど」
俺は見学に戻った。
職人が紙に書いた呪文を見ながら、魔道具を作る。
プログラム言語を言語として認識させるのにはどれぐらいの教育が必要かな。
英語の基礎知識が必須だとして、それからプログラムの知識だ。
それに威力が大きすぎて、めったな者には教えられない。
プログラムを職人に教えるのは駄目だな。
現実的でない。
俺が考案した魔道具はクズ魔石を使っているから、良い魔石が余っているはずだ。
これの有効利用とか考えられたらいいと思う。
プログラムではない職人に伝えられる技術。
そんなのがあったらいいと思う。
「出来たわ。流星魔法の魔道具」
セレンがそう言って胸を張った。
メテオ魔法が出来たのか。
一体どうやったのだ。
「凄いよ、セレン。どうやったんだ?」
「最初は光る星をどうにかしようと思ったのだけど。うんともすんとも言わないのよ。まるで手ごたえ無し」
そりゃそうだ。
何光年離れているか分からないからな。
そこまで魔法が届いたら驚きだ。
「それで」
「でね。小石を空に浮かして落とそうと思ったの。浮かす魔道具と、私に追従させる魔道具と、目標に落とす魔道具の三位一体よ」
「なるほどね。人工衛星を作るのか。理にかなってる」
パンと音が鳴って紙の破片が散らばった。
「ひゃっ」
セレンが驚いて俺に抱き着いた。
「ちょっと、どさくさに紛れて何やってるの」
セレンが我に返って赤くなり俺から飛び退いた。
「さっきの爆発。マイラだろ」
「うん、エミッタと共同開発の爆竹魔道具」
「あんまり悪戯するなよ」
「しないよ」
アキシャルは何してるかと言えば、花を作ってレクティに渡していた。
いつもぶれない奴だ。
レクティは歯牙にもかけない感じだったが。
そうだ。
俺も何か作って学園にレポートを出さないと。
何を作ろう。
プログラムの呪文は不味いから、普通の呪文で作る。
魔法は召喚魔法の一種だから、花の良い匂いを召喚してみるか。
「【今の季節のよい花の匂い召喚】。うん、いい匂いだ」
「負けた。負けたよ。花に匂いをつける発想を、僕はなぜしなかったんだ」
アキシャルが俺の魔法を見てがっくりうなだれた。
「俺のアイデアを使ってもいいよ。でも季節で花は変わるから、花に詳しくないと、一年中は魔法が発動しないな」
「それなら、自信があるさ」
アキシャルが復活した。
さっきの呪文で作った花の匂いの魔道具を、マイラにプレゼントした。
「えへへ、大事にするね」
プログラムの呪文で一年の花の香りを指定するのは簡単だ。
でもアキシャルに任せたのだから彼にやらせよう。
花の匂いは悪臭みたいなのもあるからな。
専門家に任せた方がいい。
俺達おも研メンバーは、オルタネイト商会の配下の魔道具工房に、お邪魔した。
「いらっしゃいませ」
出迎えたのは元アルミナで今はレクティ。
「たしか、アルミナさんは亡くなったのだ」
エミッタがさっそく疑問を口にした。
「私はレクティです。オルタネイト伯爵とは親戚にあたります。アルミナさんとは、はとこの関係です」
「失礼したのだ。あまりにも似ているのだ」
「よく言われます」
「じゃあ、見学させてもらおう」
俺達は職人達に質問を開始。
俺はレクティに手招きされた。
何だろ。
「ちょっと、困っているのです」
「何なのか分からないが、俺がやる筋合いなんてないだろ」
「いいえ、責任はあります。バリアブルが落ち目なのは知ってますよね?」
「まあな」
「食えなくなった。領民が多数、隣のオルタネイト領に、逃げ出してます。この工房の職人も元はバリアブルの住民です」
「俺にも責任の一端はありそうだから、同情はするよ。でも新しい魔道具の普及を止める事なんて出来ない」
「構造に問題があるのです。クラッド商会とオルタネイト商会が莫大な富を独占しています。なんとか新しい魔道具作成の技術をオルタネイトの職人に伝えられませんか」
魔道具を作る魔道具を貸し出す事は出来る。
出来るがこれをやったら、職人の技術が衰退しないか。
魔道具を作る魔道具は俺にしか作れない。
俺がその魔道具の供給が出来なくなったら、破滅一直線だ。
これは上手くない。
「何か手を考えてみるよ。ところで、レクティは何で工房に勤めているんだ?」
「スパイが入り込んでいるのです。私は彼らをあぶり出す囮ですね。オルタネイト伯の親戚が来たとなると怪しい人が浮足立ちます。捜査役の人がやり易いのだそうです」
「タイト、アルミナさんと何をこそこそ話しているの」
「マイラ、怒るなよ。えっ、アルミナ? ああ、歩き方で分かるんだったな。アルミナとは仕事の話だ」
「そう、ならいいけど」
俺は見学に戻った。
職人が紙に書いた呪文を見ながら、魔道具を作る。
プログラム言語を言語として認識させるのにはどれぐらいの教育が必要かな。
英語の基礎知識が必須だとして、それからプログラムの知識だ。
それに威力が大きすぎて、めったな者には教えられない。
プログラムを職人に教えるのは駄目だな。
現実的でない。
俺が考案した魔道具はクズ魔石を使っているから、良い魔石が余っているはずだ。
これの有効利用とか考えられたらいいと思う。
プログラムではない職人に伝えられる技術。
そんなのがあったらいいと思う。
「出来たわ。流星魔法の魔道具」
セレンがそう言って胸を張った。
メテオ魔法が出来たのか。
一体どうやったのだ。
「凄いよ、セレン。どうやったんだ?」
「最初は光る星をどうにかしようと思ったのだけど。うんともすんとも言わないのよ。まるで手ごたえ無し」
そりゃそうだ。
何光年離れているか分からないからな。
そこまで魔法が届いたら驚きだ。
「それで」
「でね。小石を空に浮かして落とそうと思ったの。浮かす魔道具と、私に追従させる魔道具と、目標に落とす魔道具の三位一体よ」
「なるほどね。人工衛星を作るのか。理にかなってる」
パンと音が鳴って紙の破片が散らばった。
「ひゃっ」
セレンが驚いて俺に抱き着いた。
「ちょっと、どさくさに紛れて何やってるの」
セレンが我に返って赤くなり俺から飛び退いた。
「さっきの爆発。マイラだろ」
「うん、エミッタと共同開発の爆竹魔道具」
「あんまり悪戯するなよ」
「しないよ」
アキシャルは何してるかと言えば、花を作ってレクティに渡していた。
いつもぶれない奴だ。
レクティは歯牙にもかけない感じだったが。
そうだ。
俺も何か作って学園にレポートを出さないと。
何を作ろう。
プログラムの呪文は不味いから、普通の呪文で作る。
魔法は召喚魔法の一種だから、花の良い匂いを召喚してみるか。
「【今の季節のよい花の匂い召喚】。うん、いい匂いだ」
「負けた。負けたよ。花に匂いをつける発想を、僕はなぜしなかったんだ」
アキシャルが俺の魔法を見てがっくりうなだれた。
「俺のアイデアを使ってもいいよ。でも季節で花は変わるから、花に詳しくないと、一年中は魔法が発動しないな」
「それなら、自信があるさ」
アキシャルが復活した。
さっきの呪文で作った花の匂いの魔道具を、マイラにプレゼントした。
「えへへ、大事にするね」
プログラムの呪文で一年の花の香りを指定するのは簡単だ。
でもアキシャルに任せたのだから彼にやらせよう。
花の匂いは悪臭みたいなのもあるからな。
専門家に任せた方がいい。
0
お気に入りに追加
1,137
あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ
犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。
僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。
僕の夢……どこいった?

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる