異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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閑話集その1

第69話 猫の手を借りた結果と、感覚共有と、抜け穴

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 この世界、体は肉体と魂から出来ている。
 異なる魂をくっつけたらどうなるんだろう。
 肉体の方はなんとなく想像がつく。

「タイト、お客さん」
「悪い悪い、少し考え事をしてた。あれっアノードさん、いらっしゃい」
「お邪魔するよ。実は困った事が起きてね」

「何かな。俺に出来る事なら協力するけど」
「学園に秘密の抜け穴が存在するらしい。防犯上、捨て置けないが、場所が分からなくて困っている」
「なるほど」

「そんなの締め上げれば一発よ」
「マイラ君、手荒な事は控えてもらいたい。彼らは校則には違反したが、罪人という訳ではない」

 嘘判別魔法も駄目そうだな。
 あれは拒否できる。

「やってみるよ」

 まずどこから手をつけよう。
 俺は学園の敷地をくまなく歩いて抜け穴を探した。
 外壁は損傷している箇所はないな。
 たぶんだが、穴を掘ったのだろう。

 トンネルなら出入り口は隠しておける。

 ええと、そういうのを見つける魔法は?
 地中を探査する魔法かな。
 でもどのくらいの深さまで調べたらいいか分からない。
 トンネルは魔法で作ったと推測されるので、かなり深い事も考えないと。

 それに敷地は広い。
 ここを駆けずり回って地中を探すのは嫌だ。

「にゃー」

 俺の思考は猫の鳴き声によって中断された。
 あれっ、この子猫どこかで会った事があるぞ。
 たしか、サイラが助けた猫だ。

 猫は思考の外においておこう。
 マイラが子猫にかまっている間に俺は地中探査魔法を作った。
 実行してみたが、地中のトンネルは発見できなかった。
 もっと深い所なのかな。

「にゃー」

 子猫が俺を見上げる。
 そう言えばこの子猫はどこから入ってきたんだ。
 学園の塀は分厚い石組みで猫は通れない。
 門の所は門番が立っているから、たぶん入れないはずだ。

 猫が抜け穴を通って来た。
 まさかな。
 そんな偶然が。
 いや猫は土管とかそういうのはわりと好きだ。
 通って来たのかも。

 猫の手を借りたい。
 なんて考えてしまった。

 魂の事を考えていたのを唐突に思い出した。
 猫に俺の魂をくっつけたら。
 いいや事故が起きたら取り返しがつかない。
 こういう実験は慎重にだ。

「マイラ、俺と一つになってくれ」
「はにゃにゃ、一つに。それって。まだ早いよ。でもタイトが言うんだったら」
「ええと、魔法の実験に付き合ってほしい」

「馬鹿。早く言いなさい」
「ごめん」
「さっさとその実験をやりなさいよ」

「マイラ、怒ってる?」
「怒ってないわ」
「じゃ、【魂融合】」

「うわっ、視界が二つある。私を見ているのと、タイトを見ているのが」
「そうか」

 俺は自分の手の平を眺めてみた。

「タイトの手の平が見える」
「実験は成功だ。マイラありがとう」

 魔法を終了する。
 ちなみに魔法はこんなだ。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
void main(void)
{
 system("copy /b カニキクカ.soul +  モンスチ.soul カニキクカ.soul"); /*俺の魂にマイラの魂を結合する*/
 while(1); /*無限ループ*/
}

 この魔法、俺の魂にマイラの魂のコピーを結合している。
 いうなればマイラの分身を俺に結合させたという事だ。

 魂を結合すると視界が共有できるんだな。
 安全性も確かめられたので俺は子猫に魂を結合した。

 頼むぞ子猫。
 子猫はマイラの前で鳴いている。
 マイラは屈むと頭をなでた。

 いかん、この目線はいかん。
 マイラのスカートの中が丸見えだ。
 俺は魔法を打ち切った。
 そうだよな。
 視界を共有できると言う事は、覗きがやりたい放題だ。
 この魔法は封印しよう。

 結論、猫の手、いいや、猫の目を借りてはいけない。
 この後どうなったかというと、子猫の後を追跡して、無事トンネルの入り口が発見できた。
 トンネルは魔力を吸収する魔道具が設置してあったそうだ。
 道理で魔法を使っても、トンネルが見つからない訳だ。
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