異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第1章 ニオブざまぁ編

第44話 建国祭と、爆発と、炊き出し

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 時は過ぎ、今日は建国祭。
 通りは露店で溢れかえり、家には花が飾られた。

 俺はおも研のメンバー達と街に繰り出した。

「なんと言っても僕はこの時期が好きだね。僕の季節だと言って良い」

 そうアキシャルが楽しそうに言った。

「アキシャル君は花があれば満足なのだ」

 そうなんだろうな。
 でも何かが足りない。
 何が足りないんだろう。

 そうだ、花火が無いんだ。
 地球ではお祭りというとドカンドカンと祝砲みたいに花火を打ち上げてた。

「君、花火と言ったかね」

 独り言をエミッタに聞かれたらしい。

「お祭りには花火の爆発音が似合うと思って」
「ふむ、楽しい気分には爆発が似合うのか。では一発【爆発】」

 空中で爆発が起きて、爆発音が鳴り響いた。
 うわっ耳が。

「会長いきなりは、やめて下さい」

 アキシャルが文句を言った。

「爆発は人の目を集めるのね」

 感心したふうでマイラが言うとスペルブックを開いて何か書き始めた。
 マイラは努力の結果、文字を覚えたのだ。
 魔力は魔道具でブーストしてあるから、際限なく使えるので、マイラは魔法にも興味を持つようになった。

「【爆発】」

 マイラが魔法を使うとポンと可愛らしい音を立てて小さく爆発が起こった。

「それが何?」

 マイラの魔法にセレンが文句をつけた。

「注目が集まるとその隙に刺し放題」
「ふうん、それが前に言ってた必殺の魔法?」
「そう、必殺の魔法」

「マイラ、やらないとは分かっているけど、使う時と場所は選んでくれよ」
「うん、分かってる」

「ふむ、小さい爆発を何人も起せば、きっと楽しいのだ【小爆発】」

 ポンと音が出て火薬の臭いが漂ってきた。

「なんか楽しい音ではないのだ。もっとこう、楽しい音が出るはずなのだ」
「圧縮してないからだな。布や紙を包んだ中で爆発させると良いと思う」

 エミッタはスペルブックに書き込み始めた。

「ふむ、こうかね【小爆発】」

 パンと乾いた音がして紙の破片が辺りに飛び散った。

「凄い。これなら、必殺ができる」
「そうね、少なくても間抜けな音じゃないわ」
「気に入ったのだ」
「何でも散るのは美しいね」

 要らんことを教えたかな。
 でも火薬を使えるのはエミッタだけだ。
 問題はないだろう。

 人混みが激しい一角に出た。
 見るとそれは炊き出しをやっている場所だった。

「押さないで、まだ料理はあります」

 炊き出しの指揮を執っているのはアルミナだった。
 露店にはオルタネイト商会の文字がある。

「【拘束】。あなたスリですね」

 アルミナが魔法を発動させる。
 マイラがやったのかと思って一瞬ギクっとした。
 捕まったのは中年の男だった。

「放しやがれ」
「懐を探って下さい」

 炊き出しのスタッフが男の懐を探る。

「何しやがる。それは今日の稼ぎ」

 男の懐からは色んな財布が出て来た。

「財布はしかるべき所に届けて持ち主を探してもらいます」
「ちくしょう」
「もう行っていいですよ」

 アルミナが魔法を解いた。

「覚えてろよ」

 騒ぎを聞きつけたのか人が更に集まってきた。
 これ以上混雑したら堪らない。
 退散するか。

 ニオブがやって来るのが見えた。

「ひっ」
「俺が怖いのか」

「そんな訳あるか。良い所で会った。お前、父上に何をした」
「交渉をしただけだ」
「父上が言ってたぞ。『わしが悪かった。タイトに帰ってきてほしい。やり直そう』ってな。確かに伝えたぞ」

 タンタルが欲しいのは魔道具の利権だろう。

「お断りだ。今の境遇に満足している」
「そうだな。お前になんか帰ってきてほしくない。意見が一致したな」

「じゃあな。お前とは同じ空気を吸いたくない」
「俺もだ」

 今日はニオブと意見が一致する日か。
 縁起でもない。

「【製塩】」
「いきなり何っ? ぺっぺっ、塩じゃないの。気でも狂ったの」

 撒いた塩がセレンの頭に掛かった。

「ごめん、塩を撒きたい気分なんだ」

 書くまでもないが魔法はこんなだ。

extern MAGIC *salt_make(float mana);
extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void) 

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 mp=salt_make(0.00005); /*塩を作る*/
 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}

 遭難した時も、塩があれば調味料は問題ない。
 だから魔法を作っておいた。
 こんな場面で使うとは考えてなかったがな。

 さあ、嫌な気分は一新して、建国祭を楽しむぞ。
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