異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第1章 ニオブざまぁ編

第37話 表彰と、王族と、へぇー

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「タイト、ここに君の健闘を称え表彰する。優勝おめでとう」
「ありがとうございます」

 俺はいま表彰式の最中だ。
 見回すとおも研のメンバーが拍手している。
 知識チートを使っていたので、みんなに何か悪い気がした。

「タイト、胸を張って」

 マイラに背中を叩かれた。
 そうだ、これが俺だ。
 知識もひっくるめて俺だ。

 その人の個性は様々。
 それを尊重しないでどうする。
 悪い気がしたと言うのは戦った彼らに失礼だ。

「優勝者は特別なお願いが一つ許されている。もちろん出来る範囲でだが」

 どうしよう。
 何を頼もうか。
 決めた。

「学園にいる間は実家からの干渉を遮断してほしい」
「実家というとバリアブル家かね」
「ええ」
「魔報などを止めれば良いのだね。よろしい取り計らおう」

「そなた、バリアブル家の出だったのか」

 金髪の縦ロールで、つり目がちな偉そうな二十歳ぐらいな女性が、貴賓席から出て来た。

「はい」
「名前はなんと言う」
「タイトです」

「侍従、この者の王位継承権は?」
「43位にございます」
「ふむ、ではわらわの従弟殿か。タイト、ざっくばらんに話すのを許す。敬語なぞ使わなくてもよいぞ」

「俺に王位継承権があっただなんて」
「ふむ、タンタル・バリアブルは王弟だ。わらわの叔父にあたる。一応、名乗っておこう。アヴァランシェ・バラクタだ」
「それで俺に何か用か」
「それよ。実家の干渉を断ち切りたいとな。ならわらわの養子になれ。王族にいれて進ぜよう。王位継承権を持つなら、反対もなかろう」

 これは考えないと。
 デメリットは責任と仕事が増える事だな。
 男だから政略結婚はないな。
 メリットはタンタルより偉くなれる。

「むっ、迷っとるな。王族など末端は楽なものじゃ。公務もさほどない」
「分かった。よろしく。母上」
「わらわの事はアヴァラかランシェで呼ぶがいい」

「ではランシェと呼ばせてもらう。美人の母が出来て自慢出るよ」
「わらわも魔法学園の順位戦で、優勝するような子が持てて、鼻が高いぞ。では、王宮を気兼ねなく訪ねてくるがよい」

 ランシェが貴賓席に戻る。

「タイト、王族になっちゃったのね。どんどん遠くに行くような気がする」

 マイラの表情は暗い。

「関係は変わらないさ。マイラも魔王を目指してみるか。身分差がなくなるぞ」
「やるわ。やってやる。魔力アップの魔道具もあるし、私にも出来るはず」
「それでこそ、マイラだよ」

 戦いの舞台の上にテーブルが置かれ、料理が用意されて、打ち上げが始まった。

「次は負けない」

 そう宣言したのはセレンだった。

「それより、セレンのおも研でのテーマは決まった?」
「ええと。魔法で面白い事など考えた事がなかったわ。そうよ、私は魔法で強さを求める」
「それじゃ面白くないのだ」

 エミッタが話に加わった。

「強さと言っても色々とあるよな」
「強さの種類……正面突破……一撃必殺。そう、一撃必殺よ」
「どうやって?」

「流れ星よ。あれを再現するわ」

 予想外の答え。
 メテオ魔法を目指すのか。
 無理だと思うが、人それぞれだ。

「面白い、面白いぞ。魔法で星を作るのか。気に入ったのだ。頑張るのだ」
「流れ星、美しい。乙女の祈りで星が落ちる。なんてロマンチックなのだろう」
「無理だと思うけど。夢見るお子様はこれだから」

 マイラが茶々を入れた。

「私の夢を馬鹿にしてくれたわね。マイラはどうなのよ」
「私は魔法で奇術を使う。キラキラした物で気を惹いて、死角からぐさっ。これが現実の一撃必殺よ」

「魔法を奇術に使うのも面白いのだ。タイト、場を盛り上げる為に面白い一発芸をするのだ」

 なんかあったかな。
 そうだあれが良い。

extern MAGIC *button_make(float mana);
extern int touch(MAGIC *mp);
extern void speak(char *ss);
extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)
{
 MAGIC *mp; /*魔法の定義*/
 mp=button_make(0.00005); /*ボタン生成*/
 while(1){
  if(touch(mp)==1){ /*ボタンに触った*/
   speak("へぇー"); /*音声を流す*/
  }
 }
 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}

 昔、日本で流行ったへぇーボタンだ。
 ボタンを触るとへぇーと言うだけのしょうもない魔法だ。

「へぇー、へぇー」

 エミッタがボタンを押しまっくて、うるさい。

「ぷぷっ、何か間抜けな声なのだ」
「うふふふ」
「あははは」

 笑いが連鎖し始めた。
 誰かが笑うと連鎖するんだよな。
 だが、笑っている光景は心が和む。
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