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第1章 ニオブざまぁ編

第34話 アースと、薔薇の庭園と、グラインダー

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「ところでカソード、電撃を消したよな。あれはどういう魔道具?」
「ああ、あれね。左手の皮手袋に針金を仕込んである。それで電撃に触ったのさ」
「何だ、ローテクかよ」
「そんな事はないよ。被覆して体に当たっても、感電しないようにしてある。凄い発明だろ」

 この世界にしては凄い発明なんだろな。
 被覆線とアースの仕組みか。
 カソードが考えたとは信じられない。

「お前が考えたのか」
「いいや、兄貴だ」
「やっぱりな。そんな気がしたよ」

 そして試合は進み。
 俺の出番となった。
 対戦相手はアキシャルだった。
 トーナメント表を見ると俺の知人とばかり当たるようだ。
 意図してと仕組まれたのか。

 いいや、偶然だろう。
 みんな勝ち残っているのが、奇跡みたいなものだしな。

「シャル君、頑張ってぇ」
「君達に花をプレゼントしよう【石英の花束】。見ててくれ。僕は君達に勝利を奉げるよ」

 アキシャルは余裕だな。
 花を作って配っている。

「きゃー、アキシャル君、こっち向いて」
「ずるい。あなた花を2本とったでしょ」
「絡まってくっついたのよ。無理にはがそうとすると壊れるわ。まるで私とシャル君みたいに」
「うわっ、寒っ。あんた言動が寒いのよ」

 女の子同士で喧嘩なんかも発生している。

「対戦相手の男の子、良くない?」
「ええっ、あんたショタだったの!? お付き合いお断りだわ!」

 俺のファンもいるようだ。
 別にファンなど欲しくないが、俺は醜男ではないようで安心した。

「準備はいいか。では始め」

「【薔薇の庭園】。タイト君、君に僕の花を散らせるかい」

 始めの合図と共に、アキシャルの周りに石英と鉄の花で庭園が出来上がった。
 防御の構えと言ったところか。

「【火球】」

 手始めに火球を撃ってみた。

「【薔薇よ防げ】」

 石英の薔薇が火球を受け止める。
 駄目なのは分かってた。

「これでどうだ。【電撃発射】」

 電撃は鉄の花に吸い込まれた。
 そうだな、金属に電撃は効かない。
 近くに金属があると電撃は吸い寄せられる。

 仕方ない、切り札を切るか。

「【グラインダー】」

 石をディスク状にして回転させて、石英と鉄と薔薇を刈り取る事にした。
 この魔法は牢屋などに閉じ込められるのを想定して作った。

 石のグラインダーが石の薔薇に接触すると火花を上げた。

「手折られるのも花の宿命。火花を伴って手折られるのは美しい」

 アキシャルまで射線が確保された。

「【電撃発射】」
「はうっ」

「そこまで、勝者タイト」
「きゃー」
「気絶するシャル君も素敵」

 使った魔法はこれだ。

extern MAGIC *stone_disk_make(float mana);
extern void magic_spin_move(MAGIC *mp);
extern void magic_tracking_move(MAGIC *mp);
extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void) 

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 mp=stone_disk_make(0.0001); /*石の円盤を作る*/

 while(1){ /*無限ループ*/
  magic_spin_move(mp); /*回転させる*/
  magic_tracking_move(mp); /*体に合わせて動かす*/
 }
 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/
}

 俺がアキシャルのそばに行くとアキシャルは目を開けた。
 気絶なんかしてなかったんじゃないかな。
 手を出して引っ張って、アキシャルを立たせた。

「負けちゃったね。でも美しく散れた」
「さいですか」

「残りの花も全て刈ってくれないか。記念に彼女達にプレゼントしたい」
「ええ、いいですよ」

 俺は花を刈って、アキシャルに手渡した。

「僕を応援してくれてありがとう。また来年も応援よろしくね」

 アキシャルは女子一人一人に花を手渡した。
 ふと疑問に思った。
 魔法おもしろ研究会は何で寂れているのだろう。
 アキシャルを好きな女の子が沢山入りそうだ。

「おも研って何で人気ないんですか。アキシャル先輩の魅力でなんとかなりそうだけど」
「ああ、それね。昔、色々とあって、戦争になったんだよ。それで休戦協定が出来たって訳なのさ」

 休戦協定の中身は分からないが、なんとなく想像がつく。
 たぶん、アキシャルのファンの子はおも研に入れないんだろう。

 寂れているのは、野郎だと嫉妬して入らない。
 こんな所か。
 順位戦4日目が終わった。
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