異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った知識は魔王級。家族に捨てられたけど、世界法則には気に入られた。プログラム的呪文で最強無双~

喰寝丸太

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第1章 ニオブざまぁ編

第29話 魔王と、兄弟の戦いと、狩りの計画

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「魔王って何?」
「童話を読んだ事がないの?」

 セレンが不思議そうに俺の問いに問いを重ねた。
 家の本には童話はなかったな。
 子供部屋には置いてあったのかも知れない。
 でも、そこにはニオブが居たからな。

「読んだ事が無いんだ」
「良いわ、レクチャーしてあげる。色々と魔王の逸話はあるけど。魔王には二種類あるわ。モンスターの王と魔法の王よ」
「モンスターの王は分かる。キングウルフとかああいうのだろう」
「そうね。もっと凶悪な奴だけど」

「人間の方は分からないな」
「モンスターの王を単独で倒した人物とか、魔法で成り上がった王がそう呼ばれるわ。もっとも人間の魔王は俗称で、魔法王が正式な呼び方よ」

 俺の実力って、魔王級はあるのではなかろうか。
 だが、俺の魔力は高くない。
 防御が紙装甲だ。
 バリアはあるが、あんなのはただの盾と変わりない。
 アンバランスだな。
 攻撃特化と言えば聞こえが良いが、戦いになると真っ先に死にそうだ。

 この辺りは後で改善しよう。

 前方に目をやると、アノードとカソードがまだ戦っている。

「【水球発射】【水球発射】【水球誘導弾】。これでどうかな」

 アノードが水球を三つ放つそのうち一つは誘導弾だ。

「【水の盾】。まだまだぁ。うわっ危ない」

 カソードは盾を出すと誘導弾を防ぎ、残りの水球はさけた。

「【水球発射】【水球発射】。そら、お返しだ」

 お返しとばかりにカソードが水球を二つ放つ。

「【水球発射】【水球発射】【水球発射】。弟よ、甘いな」

 アノードが水球を三つ放ち、そのうち二つが相殺された。
 最後の水球がカソードに迫る。
 カソードは水球をギリギリでかわした。

「ふぅ、危ない」

 どうやら、アノードは手数で圧倒しているようだ。

「【水球生成】【水球発射】【水球誘導弾】。これが避けられるかな」

 アノードが攻撃を放つ。
 ただの水球と、水球の攻撃が二つ。
 ただの水球は何に使うんだろう。

「ちょ、たんま」

 最初に水球が出来上がり、一直線にカソードへ向かう。
 そして誘導弾が出来上がりカソードに向かう。
 最初に作った水球は時間差で頭上に出来上がった、
 離れた所に魔法を作るのは時間が掛かるのだな。

 カソードは頭上に出来た水球に気を取られ、誘導弾の餌食になった。
 頭上に物を作るのは中々良い手だ。
 岩とかでやられたらたまらない。

 結局、兄のアノードが手数で押し切って勝った形だ。

「どうだね。首席君から見て弟の実力は?」

 アノードが俺に感想を求めてきた。

「よく見てなかったけど、善戦してたと思う。手数で負けるなら、魔道具を使ったら良いんじゃないかな」
「兄貴、金貸して」
「弟よ、働いて稼ぐのだな」

 俺が作ってやるとは言わない。
 そんな事をしていると墓穴を掘るような気がしたからだ。

「材料を集めて自分で作るのはどうかな」
「ナイスアイデア! 兄貴、週末にモンスター退治を付き合って」
「仕方ないな」

 アノードも弟には甘いらしい。
 二人はモンスター退治の計画でも練っているのだろう、話し合いながら去って行った。

「私もモンスターを狩って作りたい。誘導弾の魔道具がいいわね」

 セレンがそう言ってきた。

「しっしっ、一人で行け」
「聞いたぞ。楽しそうな催しだ。皆で行こう」

 いつの間にか合流したエミッタがそう言った。

「近場だとゴブリン退治か。あまり美しくないね」

 そうアキシャルは言っているが、少しも嫌そうじゃない。

「仕方ない。ひよっこ共にEランク冒険者のマイラが手ほどきしてやる」
「ゴブリン退治はやった事があるから、危険はないだろう」

 俺達5人はゴブリン退治に行く事になった。
 ゴブリンの魔石ぐらい買えば良いと思わないでもない。
 銅貨1枚だからな。
 冒険者ギルドから買ったら、銅貨3枚ぐらいか。
 子供の小遣い程度の値段だが、自分でモンスターを仕留めて作るのが良いのだろう。
 たまにはこういうのも、いいのかも知れない。
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