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第4章 盗賊団との対決編

第66話 通商破壊

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 盗賊が商人を襲い始め品物が完全に届かなくなった。
 通商破壊って奴か。

「おはよう」
「あら、あなた達も盗賊退治の依頼を受けに来たの」

 冒険者ギルドの受付でそう言われた。
 いよいよギルドも本腰を入れるらしい。

「受けられなら受けるよ」
「ギルドとしては採取や雑用もやって欲しいから、先着100名までだけど。あなた達は特別よ」
「何か頼み事がありそうだな」

「そうなの、手紙を運ぶ鷹を増やしてもらいたくて」
「そんな事。お安い御用だよ」

 鷹を納入して、盗賊討伐の依頼を受けた。
 盗賊討伐は生死を問わないと書いてある。
 何人か下っ端を捕まえてあるそうで、首実検が出来るらしい。

「マリー、街道を見張る事にしよう」
「うん」

 盗賊を恐れて街道を通る馬車の姿はない。
 囮の馬車を用意すべきだな。
 ポリゴンで作って偽物だと思われないかな。

 やるだけやってみよう。
 俺はポリゴンで馬車を作り、街道を走らせた。
 盗賊は出て来ないな。

 道が森に差し掛かる。
 その時矢が飛んできてポリゴンの馬車に突き刺さった。
 消えるポリゴンの馬車。
 俺とマリーは尻餅をついた。

「痛た」
「きゃ」
「盗賊のお出ましだ。気を付けろよ」
「うん」

 しかし、待てども待てども盗賊は現れない。
 馬車が消えたので幻術の類だと思われたようだ。

 本物の商人と馬車を用意しないと駄目か。
 待てよ。
 ポリゴンの馬車を最初は見抜けなかった。
 なら、攻撃されない物を餌にすれば良いんだ。
 金じゃなければエロだろ。
 ボンキュッボンの美女をポリゴンで作れば騙されるかも。

 俺はポリゴンで美女を作った。
 作成依頼したが顔の造形は甘いので、ポリゴンとばれる可能性がある。
 フードで顔をよく見えないようにした。
 フードなどの衣類は本物を使った。

 腰を揺らして街道を美女が歩く。
 こんなのいねぇと言う突っ込みが入りそうだ。
 俺もこれは失敗したかなと思った。

「ぐへへっ、ねえちゃんちょっと待ちな」

 おー、釣れたよ。
 俺とマリーは美女の兄弟という設定だ。

「【具現化】巨大ゴム輪。縮め」

 盗賊達は全員が拘束された。
 ちょろいぜ。
 と思ったら、森の奥から大柄なスキンヘッドの男が現れた。

「捕まりやがって。お前ら罰として飯抜きだ」
「お頭、酷い」

 こいつが頭目か。

「【具現化】巨大ゴム輪。縮め」
「ふんがぁ」

 ポリゴンのゴム輪は引き千切られた。
 能力を使わせないと。

「【具現化】大岩。落ちろ」
「ふん、ふんがぁ」

 大岩がパンチで粉砕される。
 まじかよ。
 素の筋肉で負けるとは。

「【具現化】ファイヤアロー。飛べ」

 ファイヤアローは頭目に当たり消えた。

「ふん、効かないな」

 ファイヤアローが効いてない。

「今度はこちらの番だ」
「不味い。【具現化】石の壁」
「こんなの何でもない。とりゃー」

 ポリゴンで出来た石の壁が壊された。

「【具現化】サンダーアロー。飛べ」

 サンダーアローは頭目に当たり、頭目は少しよろけた。

「ぐがっ。ちょいと痺れたぜ」
「ディザ、援護するよ」

 マリーがライフルを撃つ。
 弾が当たり頭目がのけぞる。
 弾が砕けたのだろう。
 マリーのライフルが消える。
 弾に当たっても平気だなんて、物凄いタフな奴だ。

「飛び道具を使われたら堪らないぜ。おいお前らいつまでも寝てる。ずらかるぞ」
「へい」

 頭目によって盗賊達の拘束が解かれると、盗賊達は森の中に逃げて行った。

「逃げられちゃったね」
「そうだな。能力が分からないのは痛いな。こちらの手の内はほとんど通用しなかったし」

 盗賊を殺していたら、頭目も本気になったのかもな。
 それだとこちらの負けだったかも知れない。
 少し変なんだよな。
 ファイヤアローが効かなくて、サンダーアローは効いた。

 それに拘束もライフルの弾も生身で打ち破れるものだろうか。
 大岩を砕くのもそうだ。
 もしかしてスキルを使われていた。
 何のスキルだろう。
 外見に変化がないから分からない。
 筋力強化系だろうか。

 ジュエルスターがやられたのとは別の頭目という可能性もあるな。
 盗賊団が一つだとは限らない。
 下部組織があるのかも。
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