ポリゴンスキルは超絶チートでした~発現したスキルをクズと言われて、路地裏に捨てられた俺は、ポリゴンスキルでざまぁする事にした~

喰寝丸太

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第3章 Sランク挑戦編

第56話 街を歩く

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 一日一件の薬草採取の依頼は順調だ。
 着実にポイントが貯まっていく。
 シェードからの干渉はない。
 実に静かなものだ。

 午前中に薬草採取を終えて、俺とマリーは午後の街を歩いた。

「納品に来たよ」

 着いたのは土産物屋だ。

「ご苦労さん」
「在庫はまだある?」
「ふわふわ浮く奴がもうないね」
「じゃ今出すよ。【具現化】八面体」

「最近は人相の良くないのがうろついているから、気をつけなよ」
「へぇー、盗賊かな」
「身なりは普通で、武装もしてないし、盗賊には見えない奴らだよ」
「ほう、当てはまるのは詐欺師かな」
「それだと上手い話に気をつければいいから安心だけど、ちょっと不気味さね」

「今日は新作を持ってきたんだ。【具現化】知恵の輪」
「これはなんだい」
「カチャカチャ動かして外れたら、正解という遊びだよ」
「面白いね」
「いくつか置いておくから、じゃまたね」

 ふーん、人相の良くない男か。
 考え事をしていたら石屋の前に来ていた。

「坊主、久しぶりだな。また石のタイルを売りにきたのか」
「せっかく来たんだから、置いていくか。【具現化】石のタイル」

「嬢ちゃんも綺麗になったな。これだとしっかりつかまえておかないと、さらわれるかもな。がははは」
「マリーは強いのよ。魔獣を何匹も倒したんだから」
「悪い悪い、気分を悪くしたか。それだけ嬢ちゃんが美人って事だ」
「褒めても好きになったりしないよ。ディザ、美人だって」
「マリーは可愛いよ。じゃ、おじさん行くね」
「また石のタイル売りたくなったら、いつでも来い」

「マリー、クランハウスに寄ろう」
「うん」

 昼のクランハウスに人は少なかった。
 テントとカンテラとジャンプ傘を補充して、事務のお姉さんに話し掛けた。

「商品を補充しておいたよ。何か伝言は入ってる?」
「特にないわね。そうそう、クラン・デスタスのメンバーが帰ったそうよ」
「それは知ってる」
「Aランク依頼を根こそぎ受けたものだから、このクランのAランクはみんな遠征に出ちゃって寂しいな。ディザ君は遠征しないわよね」
「うん、遠征はやったばかりだからね」

 ここの用事はもういいな。
 タルコットさんへの雑用を片付けよう。

「ええと失敗だな」

 空き地で草刈り機を使った結果、俺はしょぼくれた。

「消えちゃったね。草刈り機」
「そうなんだよ。刃が大きい石に当たったらご覧の有り様だ」
「こうなったら、刃のパーツは別売にしよう」

 ええと、草刈り機にネジ穴を開けて。
 うがぁ、螺旋のモデリングがめんどくさい。
 ええと、円運動しながら、へこます。
 これにぴったり合うネジを作るのはどうやったら。
 隙間がないと入らないよな。
 かといって合ってないと固定が上手くいかない。

 ムービーを作る目的なら、ネジとネジ穴が合わなくても問題ない。
 ただ具現化してあると無理だ。
 こんなのやってやれっか。

 作成依頼を出そうっと。

「刃のポリゴン数も増やしたし、これで大丈夫のはずだ」
「私にも使えるかな」
「子供用のを作るよ」
「これで庭の手入れもばっちりね」

 うん、大ヒット商品の予感。
 今度、冒険者ギルドにも売ってみよう。

 商業ギルドに行く。

「配送依頼お願いします」
「偉いわね。たしかこの間も来てたわね」
「うん、実は俺が商売をしているんだ」
「大人をからかっちゃいけません」

 本当なんだけどな。
 まあいいか。

「これからもちょくちょく来るから、よろしく」
「はい、よろしくされました」

 指定された倉庫に行って具現化した商品を箱詰めする。
 馬は厩に繋いだ。

 冒険者ギルドに納品に行く。

「お姉さん、こんにちは」
「こんにちは。納品ね。魔法カードと振動包丁を100個。倉庫にお願いね。それと鷹は便利ね。増やせない?」
「うん、簡単だよ。【具現化】鷹。手紙を運ぶ仕事をしろ」
「ありがとう。助かったわ」

「じつはこんなのも作ったんだ。【具現化】草刈り機」
「なんの道具?」
「草を刈る道具なんだけど、冒険者に需要あるかな」
「うーん、一般家庭向けね。それも庭持ちのね」
「野営に持って行けたら良いのに。野営に草が邪魔って事はよくあるのよね。草があると蛇なんかが近づいても気がつかないから」
「なるほど、それなら」

 モデリングを立ち上げ草刈り機を組み立て式に改良する。
 エンジンで動いている訳じゃないので、ぶった切っても問題ない。
 鞄に収まるぐらいの大きさになった。

「【具現化】組み立て式草刈り機」
「良いわね。これなら馬に載せたり出来るわね。いくつか置いてみるわ」

 冒険者ギルドの中に冒険者がいつもより少ない。
 Aランクが居ないのは分かるけど、他はどうしたんだろ。

「お姉さん、冒険者が少ないようだけど」
「Aランク達の遠征に、みんなついて行ってしまったの」

 へぇー、そういう事もあるか。
 何か嫌な予感がする。
 気のせいかな。
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