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第8章 領主ヴァンパイアから始まる教会排斥
第48話 萌芽
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「平等こそ正義。禁忌持ちや差別職を生み出すシュプザム教会は間違っている」
ドラゴンを退治して救った街、キノルルで神官候補が説法をしていた。
俺達はあの後、すぐに街に入ったが。
入った時には既に神官候補は説法をしていた。
フライングもいいところだろう。
チンピラ神官が有能すぎる。
「じゃあ、貴族はどうなんだ。生まれ持った地位は不平等じゃないのか」
なかなか鋭いところをつくな。
「運命です。創造神が作られた運命という道を我々は歩いています。創造神様は努力がお好きです。この道を努力で独自に切り開く者に奇跡を与えます」
「じゃあ、俺には努力が足りないってのか」
「そうです。平民から英雄になって貴族になった物語を知りませんか。運命という困難を打ち破った者だけが栄光をつかめるのです。平民すら貴族になれるのです。皆さんは初代王の父親が何をしていたか知っていますか。貴族だった者もいるのでしょうが、平民だった者もいるはずです。努力の機会は平等に与えられている。そういう事です」
うわ、青臭いなぁ。
努力だけで全てが解決したらいいだろう。
しかし、無駄な努力になって死んで行く者のなんと多いことか。
シンデレラなんてのは夢物語だ。
俺も努力を否定する訳じゃない。
農家は努力の連続だ。
手を抜けば抜いた結果が出る。
だが、天候という努力ではどうにも出来ない敵もいる。
折り合いだなと思うんだ。
自分の精一杯をやって折り合いをつける。
そんな所かなと思っている。
キノルルではドラゴンの襲撃で身寄りの無い死者が沢山でた。
それでヴァンパイアとデュラハンを作ったんだがどうもおかしい。
レベルが上がると魔力が上がるのは分かっていた。
段々と増えているなとは思っていたんだ。
こんなに増えているとは。
なぜ気づいたかというとデュラハンを四体作ったのに魔力がまだ余裕だったからだ。
デュラハンを四体はヴァンパイア十二体分だ。
レベル50の時はヴァンパイア九体の運用しか出来なかったのが、今ではなんと三十体分。
デュラハン四体は開拓地の護衛にあてる事にした。
キノルルで馬の死体を見つけるとデュラハンは首無し馬のアンデッドを作っていた。
そんな特殊能力があるのだな。
だが、これで開拓地と街の間の往復は問題ないだろう。
首無し馬には後で作り物の首をつけるとしよう。
そうでないと街道を行く人が驚くからな。
デュラハン四体は輸送部隊に任命した。
桂馬隊と名前をつけた。
こいつらには開拓地と街を往復してもらおうか。
倒してアンデッドにしたドラゴンは街の外で眠っている。
開拓地に移動して教会が攻めてきたら起こす手はずにしようかな。
開拓地の戦力も増えてきたな。
桂馬隊にドラゴンを開拓地に誘導するように指示を出して、ホームにしている街の手前で別れた。
そして、一仕事を終えた俺達は宿屋の食堂を改装したリビングに集まった。
「あたい、今回はいいところなかったぜ」
「魔獣使いの本領は集団対集団だと思うんだ」
「ドラゴンを使役できたらなぁ」
「思ったんだけど、植物魔獣は使役できないのか」
「やってみなくちゃ分からないが、出来るはずだ」
「なら世界樹を使役するなんてどうだ」
「そんな事やってなんになる」
「実が取り放題にできたらなと思って」
「いいね。金持ちになるのは」
「私も今回いい所なかったわ。盲目の呪い自信あったんだけど」
「ジュサは道具に呪いをかけるのを頑張ったらいいと思うんだ」
「剣に相手を腐敗させる呪いを掛けるのは考えたけど、持っている者も腐敗しちゃうのよね」
「矢に呪いを掛けるんだ。クロスボウなら矢に触らないで発射できるだろ」
「なるほど良いかも」
「ねえ私は? 秘密兵器は用意したけど他になにかできないの」
「秘密兵器を作った道具あっただろ。大砲っていうんだが、それを運用したらいい」
「あんな重い物、どうやって運用するのよ」
「城壁の上に設置するんだよ。角度を調整するのは男達にさせたらいい」
「なるほどね。やってみる」
「ミディは?」
「ミディは今まで通りで良い。小技が便利すぎて絶賛するレベルだよ。斥候とかゴーストには天職だ。自信を持って良い」
「えへへ」
ドラゴン戦は各人の刺激になったみたいだな。
新しい事を始めるのはいいことだ。
俺も何か始めてみようか。
手始めに貧者の楽音工場だな。
すり潰すのは子供でも出来る。
孤児院の子供に仕事としてやらせてみるのも良いかもしれない。
マンドラゴラヴァンパイアを切るのは危険がともなう。
子供達にやらせる訳にはいかない。
どこかに良い人材はいないかな。
待てよ。
昔、水車でカラクリを動かしたみたいなのを読んだ事がある。
マンドラゴラヴァンパイアを切断してから血を与える。
この工程を全て自動で出来ないだろうか。
機械は故障するからやはり危険は伴うな。
単純な機構ほど故障が少ないのは道理だ。
ホムンクルスなら事故が起こっても問題ないか。
生憎と口の堅い錬金術師には知り合いがいない。
困った時の領主頼みだな。
最近こればっかりだ。
今度会ったら尋ねてみよう
ドラゴンを退治して救った街、キノルルで神官候補が説法をしていた。
俺達はあの後、すぐに街に入ったが。
入った時には既に神官候補は説法をしていた。
フライングもいいところだろう。
チンピラ神官が有能すぎる。
「じゃあ、貴族はどうなんだ。生まれ持った地位は不平等じゃないのか」
なかなか鋭いところをつくな。
「運命です。創造神が作られた運命という道を我々は歩いています。創造神様は努力がお好きです。この道を努力で独自に切り開く者に奇跡を与えます」
「じゃあ、俺には努力が足りないってのか」
「そうです。平民から英雄になって貴族になった物語を知りませんか。運命という困難を打ち破った者だけが栄光をつかめるのです。平民すら貴族になれるのです。皆さんは初代王の父親が何をしていたか知っていますか。貴族だった者もいるのでしょうが、平民だった者もいるはずです。努力の機会は平等に与えられている。そういう事です」
うわ、青臭いなぁ。
努力だけで全てが解決したらいいだろう。
しかし、無駄な努力になって死んで行く者のなんと多いことか。
シンデレラなんてのは夢物語だ。
俺も努力を否定する訳じゃない。
農家は努力の連続だ。
手を抜けば抜いた結果が出る。
だが、天候という努力ではどうにも出来ない敵もいる。
折り合いだなと思うんだ。
自分の精一杯をやって折り合いをつける。
そんな所かなと思っている。
キノルルではドラゴンの襲撃で身寄りの無い死者が沢山でた。
それでヴァンパイアとデュラハンを作ったんだがどうもおかしい。
レベルが上がると魔力が上がるのは分かっていた。
段々と増えているなとは思っていたんだ。
こんなに増えているとは。
なぜ気づいたかというとデュラハンを四体作ったのに魔力がまだ余裕だったからだ。
デュラハンを四体はヴァンパイア十二体分だ。
レベル50の時はヴァンパイア九体の運用しか出来なかったのが、今ではなんと三十体分。
デュラハン四体は開拓地の護衛にあてる事にした。
キノルルで馬の死体を見つけるとデュラハンは首無し馬のアンデッドを作っていた。
そんな特殊能力があるのだな。
だが、これで開拓地と街の間の往復は問題ないだろう。
首無し馬には後で作り物の首をつけるとしよう。
そうでないと街道を行く人が驚くからな。
デュラハン四体は輸送部隊に任命した。
桂馬隊と名前をつけた。
こいつらには開拓地と街を往復してもらおうか。
倒してアンデッドにしたドラゴンは街の外で眠っている。
開拓地に移動して教会が攻めてきたら起こす手はずにしようかな。
開拓地の戦力も増えてきたな。
桂馬隊にドラゴンを開拓地に誘導するように指示を出して、ホームにしている街の手前で別れた。
そして、一仕事を終えた俺達は宿屋の食堂を改装したリビングに集まった。
「あたい、今回はいいところなかったぜ」
「魔獣使いの本領は集団対集団だと思うんだ」
「ドラゴンを使役できたらなぁ」
「思ったんだけど、植物魔獣は使役できないのか」
「やってみなくちゃ分からないが、出来るはずだ」
「なら世界樹を使役するなんてどうだ」
「そんな事やってなんになる」
「実が取り放題にできたらなと思って」
「いいね。金持ちになるのは」
「私も今回いい所なかったわ。盲目の呪い自信あったんだけど」
「ジュサは道具に呪いをかけるのを頑張ったらいいと思うんだ」
「剣に相手を腐敗させる呪いを掛けるのは考えたけど、持っている者も腐敗しちゃうのよね」
「矢に呪いを掛けるんだ。クロスボウなら矢に触らないで発射できるだろ」
「なるほど良いかも」
「ねえ私は? 秘密兵器は用意したけど他になにかできないの」
「秘密兵器を作った道具あっただろ。大砲っていうんだが、それを運用したらいい」
「あんな重い物、どうやって運用するのよ」
「城壁の上に設置するんだよ。角度を調整するのは男達にさせたらいい」
「なるほどね。やってみる」
「ミディは?」
「ミディは今まで通りで良い。小技が便利すぎて絶賛するレベルだよ。斥候とかゴーストには天職だ。自信を持って良い」
「えへへ」
ドラゴン戦は各人の刺激になったみたいだな。
新しい事を始めるのはいいことだ。
俺も何か始めてみようか。
手始めに貧者の楽音工場だな。
すり潰すのは子供でも出来る。
孤児院の子供に仕事としてやらせてみるのも良いかもしれない。
マンドラゴラヴァンパイアを切るのは危険がともなう。
子供達にやらせる訳にはいかない。
どこかに良い人材はいないかな。
待てよ。
昔、水車でカラクリを動かしたみたいなのを読んだ事がある。
マンドラゴラヴァンパイアを切断してから血を与える。
この工程を全て自動で出来ないだろうか。
機械は故障するからやはり危険は伴うな。
単純な機構ほど故障が少ないのは道理だ。
ホムンクルスなら事故が起こっても問題ないか。
生憎と口の堅い錬金術師には知り合いがいない。
困った時の領主頼みだな。
最近こればっかりだ。
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