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第6章 チーム・フリーダークから始まる大脱出
第37話 約束の地
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途中、聖騎士が何度かすれ違ったり追い越して行ったりしたが、特に呼び止められる事もなく家まで辿り着けた。
後は開拓地まで行けば良いだけだ。
羊の呪いを解かれた人々は装備を受け取り、一列になって歩き始めた。
先頭はあのチンピラ神官だ。
家と開拓地の間にはチンピラヴァンパイア達が作った細い道がある。
前よりましだとはいえ、最後の難関だろう。
俺は殿を勤めた。
「きゃー」
先頭の方で悲鳴が上がる。
なんだオークか。
チンピラ神官が装備していた剣で薙ぎ払った。
オークは足を切断され返す刀で喉を切り裂かれた。
チンピラ神官、強いな。
ああ、レベルが上がっているのか。
戦闘は扇子がほとんど担当していたと思ったのだが。
俺が知らない所で戦闘をしてたのか。
信者は戦いの邪魔にならないよう逃げていたので俺は一人近寄る。
「ずいぶんと強いな」
「ええ、ネズミを一杯始末しましたから」
ネズミってもしかしてスパイの事か。
そういえばネズミを始末しましたと前に報告を受けたな。
家の表で動物のネズミを始末していたから、てっきりそのことかと思ってた。
スラムのあちこちでネズミを見かけるものな。
その時、今度からネズミの事は報告しないで良いと言っちゃった。
どんだけスパイを始末したんだろう。
「あまり信者にそういう場面を見せるなよ」
「ええ、心得ています」
開拓地に向う人々の顔に疲れが見える。
「ここらで、休憩しよう」
「ええ、信者に伝えます」
人々は鞄から食い物を取り出し久しぶりの人間らしい食事に舌つづみを打った。
荷物が軽くなればそれだけ心も軽くなるだろう。
食事がいけなかったのだろうか。
匂いに釣られて歓迎されないお客がやってきた。
オーガだ。
これはチンピラ神官には荷が重いな。
そう思っていたら。
「黒炎よ敵を焼き尽くせ【ダークフレア】」
「このままじゃ殺されるよ。従いなさい【ドミネート】」
コミュニティのメンバーがあっと言う間に片付けてしまった。
魔獣使いは強力だな魔獣になら無敵なんじゃねぇのか。
「オーガが大人しくしているうちに早く止めを」
チンピラ神官が一太刀で切り捨てた。
長時間従えておくのには魔力が沢山いるのね。
そこは死体術士と一緒だな。
格が高いのは魔力が沢山要るのも一緒か。
「オーガよゾンビになれ【メイクアンデッド】」
俺は倒されたオーガをゾンビにした。
宝石瓜でレベルアップしたのでオーガの一体ぐらいは運用できる。
オーガを護衛に行くとするか。
けして飛車と角行が頼りない訳じゃない。
ただ、誰一人欠く事無く開拓地に着いてほしいと思っただけだ。
半日ほど掛けて開拓地が見えてきた。
人々は丸太の塀を見てほっとしたようだった。
先遣隊の代表が進み出る。
「ようこそ、約束の地へ。故郷だと思ってくつろいで下さい」
「ここが約束の地」
「ネオシンクの伝説がここから始まるのですね」
「そうです。シュプザム教会の打倒の拠点として発展しようではありませんか」
チンピラ神官が演説を始めた。
それを信者でないコミュニティのメンバーが冷ややかに見つめていた。
「好きな家に入って下さい!!」
なんとなく場の空気を壊さないといけないと思い俺は大声で皆に言った。
信者でないコミュニティのメンバーが真っ先に家に入り始めると、信者達も我先に家に入り始めた。
村の家は全て埋まったようだ。
相部屋ならぬ相家している家族もいる。
これは拡充を急がないと。
リソースを全て家作りに振り分けるべきなのだろうな。
その前に信者とそうで無い者との溝をなんとかしないと。
民主主義を導入するか。
五人の議員を選出して合議制としたい。
この世界に民主主義は根付くだろうか。
チンピラ神官に会いに行く。
相変わらず信者に囲まれていた。
「投票によって村の代表を決めたいと考えた」
「それは良いですね。平等の精神に沿ってます」
チンピラ神官は反対しないと思っていた。
「それは誰でも良いのですか」
「ええ、この村の人間であれば」
「神官様はどうなされるのですか」
「私は神に使える身。まだ修行の途中なので、信者以外の人間に手を差し伸べるのは、控えたいと思います」
「そうですか、残念です」
チンピラ神官には村長の役目は降りるように前もって言ってある。
後はコミュニティのメンバーの方だな。
ジュラムの家に行く。
「選挙をやりたい」
「選挙ってなんだ」
「投票によって村の代表を決める」
「ほう、それだとネオシンクの信者にだいぶ有利じゃねぇのか」
「村の代表は五人選ぶ。この五人の合議制で行きたいから。コミュニティのメンバーが一人でも入れば発言権はある」
「難しいことは分からねぇが。五人の意見が分かれた時はどうするんだ」
「ぶっちゃけ俺の意見が通る」
「なんであんたの意見が通るんだ」
「俺はネオシンクにお金を出している。当然、神官様にも影響力が強い。話し合いなんてのは茶番だよ」
「お前、物騒な奴だな」
「納得したか」
「ああ、お前ならコミュニティに無茶な要求もしないだろう」
「その辺は臨機応変にやるさ」
これで些事からは解放されるだろう。
揉めるような案件だけ捌けばいい。
最終的には全て任せてもいいがな。
議員が裏切って教会と手を結ぶなどという事が起こらない限りは静観してもいい。
後は開拓地まで行けば良いだけだ。
羊の呪いを解かれた人々は装備を受け取り、一列になって歩き始めた。
先頭はあのチンピラ神官だ。
家と開拓地の間にはチンピラヴァンパイア達が作った細い道がある。
前よりましだとはいえ、最後の難関だろう。
俺は殿を勤めた。
「きゃー」
先頭の方で悲鳴が上がる。
なんだオークか。
チンピラ神官が装備していた剣で薙ぎ払った。
オークは足を切断され返す刀で喉を切り裂かれた。
チンピラ神官、強いな。
ああ、レベルが上がっているのか。
戦闘は扇子がほとんど担当していたと思ったのだが。
俺が知らない所で戦闘をしてたのか。
信者は戦いの邪魔にならないよう逃げていたので俺は一人近寄る。
「ずいぶんと強いな」
「ええ、ネズミを一杯始末しましたから」
ネズミってもしかしてスパイの事か。
そういえばネズミを始末しましたと前に報告を受けたな。
家の表で動物のネズミを始末していたから、てっきりそのことかと思ってた。
スラムのあちこちでネズミを見かけるものな。
その時、今度からネズミの事は報告しないで良いと言っちゃった。
どんだけスパイを始末したんだろう。
「あまり信者にそういう場面を見せるなよ」
「ええ、心得ています」
開拓地に向う人々の顔に疲れが見える。
「ここらで、休憩しよう」
「ええ、信者に伝えます」
人々は鞄から食い物を取り出し久しぶりの人間らしい食事に舌つづみを打った。
荷物が軽くなればそれだけ心も軽くなるだろう。
食事がいけなかったのだろうか。
匂いに釣られて歓迎されないお客がやってきた。
オーガだ。
これはチンピラ神官には荷が重いな。
そう思っていたら。
「黒炎よ敵を焼き尽くせ【ダークフレア】」
「このままじゃ殺されるよ。従いなさい【ドミネート】」
コミュニティのメンバーがあっと言う間に片付けてしまった。
魔獣使いは強力だな魔獣になら無敵なんじゃねぇのか。
「オーガが大人しくしているうちに早く止めを」
チンピラ神官が一太刀で切り捨てた。
長時間従えておくのには魔力が沢山いるのね。
そこは死体術士と一緒だな。
格が高いのは魔力が沢山要るのも一緒か。
「オーガよゾンビになれ【メイクアンデッド】」
俺は倒されたオーガをゾンビにした。
宝石瓜でレベルアップしたのでオーガの一体ぐらいは運用できる。
オーガを護衛に行くとするか。
けして飛車と角行が頼りない訳じゃない。
ただ、誰一人欠く事無く開拓地に着いてほしいと思っただけだ。
半日ほど掛けて開拓地が見えてきた。
人々は丸太の塀を見てほっとしたようだった。
先遣隊の代表が進み出る。
「ようこそ、約束の地へ。故郷だと思ってくつろいで下さい」
「ここが約束の地」
「ネオシンクの伝説がここから始まるのですね」
「そうです。シュプザム教会の打倒の拠点として発展しようではありませんか」
チンピラ神官が演説を始めた。
それを信者でないコミュニティのメンバーが冷ややかに見つめていた。
「好きな家に入って下さい!!」
なんとなく場の空気を壊さないといけないと思い俺は大声で皆に言った。
信者でないコミュニティのメンバーが真っ先に家に入り始めると、信者達も我先に家に入り始めた。
村の家は全て埋まったようだ。
相部屋ならぬ相家している家族もいる。
これは拡充を急がないと。
リソースを全て家作りに振り分けるべきなのだろうな。
その前に信者とそうで無い者との溝をなんとかしないと。
民主主義を導入するか。
五人の議員を選出して合議制としたい。
この世界に民主主義は根付くだろうか。
チンピラ神官に会いに行く。
相変わらず信者に囲まれていた。
「投票によって村の代表を決めたいと考えた」
「それは良いですね。平等の精神に沿ってます」
チンピラ神官は反対しないと思っていた。
「それは誰でも良いのですか」
「ええ、この村の人間であれば」
「神官様はどうなされるのですか」
「私は神に使える身。まだ修行の途中なので、信者以外の人間に手を差し伸べるのは、控えたいと思います」
「そうですか、残念です」
チンピラ神官には村長の役目は降りるように前もって言ってある。
後はコミュニティのメンバーの方だな。
ジュラムの家に行く。
「選挙をやりたい」
「選挙ってなんだ」
「投票によって村の代表を決める」
「ほう、それだとネオシンクの信者にだいぶ有利じゃねぇのか」
「村の代表は五人選ぶ。この五人の合議制で行きたいから。コミュニティのメンバーが一人でも入れば発言権はある」
「難しいことは分からねぇが。五人の意見が分かれた時はどうするんだ」
「ぶっちゃけ俺の意見が通る」
「なんであんたの意見が通るんだ」
「俺はネオシンクにお金を出している。当然、神官様にも影響力が強い。話し合いなんてのは茶番だよ」
「お前、物騒な奴だな」
「納得したか」
「ああ、お前ならコミュニティに無茶な要求もしないだろう」
「その辺は臨機応変にやるさ」
これで些事からは解放されるだろう。
揉めるような案件だけ捌けばいい。
最終的には全て任せてもいいがな。
議員が裏切って教会と手を結ぶなどという事が起こらない限りは静観してもいい。
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